世界女王と回った36H 渋野日向子は何を感じたのか | ゴルフのポータルサイトALBA.Net
リーダーボード
Pos 選手名 Sco 1 コ・ジンヨン -7 畑岡奈紗 -7 3 H・グリーン -5 4 M・リー -4 カン・ヘジ -4 6 朴仁妃 -3 リウ・ユ -3 L・サラス -3 E・ペダーセン -3 10 J・コールマン -2 順位の続きを見る
19年には日本で一緒に回ったが、同じ舞台に来るとさらに凄みを感じる(撮影:GettyImages)
<DIOインプラントLAオープン 2日目◇22日◇ウィルシャーCC(米カリフォルニア州)◇6447ヤード・パー71>
ロス連戦の最初の36ホールが終わった。渋野日向子は、2日間トータル3オーバー、全選手がホールアウトできずに日没サスペンデッドとなったが、なんとか予選を突破する成績で、決勝ラウンドの巻き返しにかける。
予選2日間は、うまくいかないことだらけだった。距離は短いながら、グリーンが小さく、その回りにはバンカーと、よく聞く戦略的という言葉がピッタリあてはまるコース。ただ飛ばせばいいというものでもない。ピン位置を考えて、2打目のポジショニング、さらにはその2打目のためのティショットと考えれば、ティイングエリアから頭をフル回転して、スコアを作っていく必要がある。
渋野はこの2日間で、そんなコース攻略に苦戦した。「ここは本当にマネジメントをちゃんとしないと大変」。予選通過が厳しいスコアで回っているのを感じた渋野は無理に攻めに行くなど、途中、精彩を欠いた。「余裕がなくなるとできなくなるんだな」と、直近2試合で演じた上位争いとは違った状況でのプレーに、未熟さを感じざるを得なかった。
米ツアー本格参戦初年度、今週もはじめて体験する種類のコース。もちろんルーキーゆえ、毎週が新発見なのは当たり前。そんな渋野にとって、この2日間は貴重な経験となっている。海外女子メジャー7勝を含む米ツアー通算21勝を上げているインビー・パーク(韓国)とともに36ホールを完走したことも理由の一つだ。
今年で34歳。ピークを越えたとされるインビーだが、女子世界ランキングで4度にわたり1位を続け、LPGAゴルフ殿堂入りをすでに果たしている。飛距離こそ落ちたものの、ここぞという時のマネジメントはやはり世界女王のもそれだ。ピンチと思っても当たり前のようにアプローチで寄せ、パーセーブ。右のピンならティショットをフェアウェイ左に置き、ピンが奥なら無理に攻めずに手前のバンカーに入れて、そこからパーセーブ。勝負どころでは、長いバーディパットも当たり前のように沈めてみせる。
そんなインビーのゴルフを見た渋野は、「スゴかったですね。パターというか、ぜんぶヤバい。パーパット耐えすぎでしょ(笑)」と舌を巻く。経験、技術、どれをとっても今の渋野とは比較にならないが、なぜ世界1位に君臨してきたかが分かる貴重な時間だったはずだ。
今では5大メジャーだが、2013年からあらたに加わった「エビアン・チャンピオンシップ」以外の4大メジャーをすべて制覇、そして16年のリオ五輪でも金メダル。まぎれもなく、世界最高峰のプレーは、渋野の道しるべにもなったはずだ。
全英制覇後、「5大メジャーを制覇する」という目標を渋野は口にした。もちろんリップサービスもあったが、一つ目の権利を得た渋野が目指すものは、やはり頂点であってほしい。そのためには、インビーのゴルフを知ることができたのは大きい。この日は自身のゴルフに四苦八苦。余裕がなかったと振り返るが、インビーのゴルフはしかと目に焼き付いた。悪いなりにも予選を突破し、進む決勝ラウンド。足りない物に挑戦するチャンス時間はまだまだこれから、いくらでもある。(文・高桑均)
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