日本代表の「楽勝」を各国メディアが報じるなか、伯メディアは厳しく指摘「脆弱な中国には十分でも、サウジを倒すには…」
1月27日、カタール・ワールドカップ予選のアジア最終予選が行なわれ、日本代表は2-0で中国代表を下し、5勝2敗でグループBの2位をキープした。
【動画】中山のクロスにドンピシャのヘッド!伊東純也の鮮やかな3戦連発弾
キャプテンの吉田麻也、守備の要である冨安健洋を揃って欠くなど不安材料の多かった日本だが、埼玉スタジアムでは中国相手に序盤から主導権を握り、13分には伊東純也の突破からのクロスが相手DFのハンドを誘発してPKを獲得、大迫勇也がゴール右隅に決めて早々に先制。その後は攻勢ながらも好機を逸してスコアを動かせずにいたが、61分に交代出場の中山雄太のクロスを伊東が頭で合わせ、2点目を挙げた。
得点はこれで打ち止めとなったが、強いプレッシングで終始中国にチャンスを与えず、スコア以上の完勝を収めた日本。森保一監督は「コンディションがバラバラのなか、イメージを共有し、連係や連動をすることができたのが大きい」「選手たちは相手の強みを見極めて、うまく対応してくれた」とチームを褒め称えたが、選手からは口々に「もっと積極的に仕掛けても良かった」という声が上がり、誰もが2月1日の大一番とも言える首位サウジアラビアとの一戦に目を向けていた。
そんな日本について、アジア・サッカー連盟(AFC)は公式サイトで「日本は中国を倒してハンティングを続ける」と題した記事で、「試合開始とともに日本は試合を支配」「オオサコが自信を持って放ったPKは、中国GKが正しい方向に飛んだにもかかわらず、少しのチャンスも与えなかった」「ズヴォレ所属のナカヤマからの魅力的なクロスを、イトウは自信を持ってゴールの下隅にパワフルに叩き込んだ」とレポートしている。
シュート2本に終わり、本大会出場へ望みを繋ぐための勝点を増やせなかった中国のメディアでは、通信社『新華社』が「中国は『5人の警備員』をスタメンに並べ、守備的な姿勢からカウンターでチャンスを創ろうとしたが、日本は4-3-3の攻撃的なスタイルで強いプレッシャーをかけて主導権を握り続けた。中国は効果的な反撃を構成できず、後半もメンバー交代を試みたが、ほとんど成功しなかった。数字上では、3位でプレーオフ進出はあり得るが、それは理論的な可能性に過ぎない」と終始ネガティブに綴った。
中東のメディアも日本の結果に注目しており、スポーツ専門メディア『SPORT360』は「中国から貴重な勝利を収めた日本が、サウジアラビアに火をつけた」と報道。今節はオマーンを1-0で下した首位チームとの直接対決を前にした日本について、「今予選でのスタートが鈍く最初の3戦で2敗を喫するも、その後は予選突破に向けて復活。4連勝を飾ってサウジに肉迫し、一時は勝点1差まで詰めてきた」と伝えている。
欧州メディアでは、フランスの通信社『AFP』は「日本が埼玉で容易な勝利。13分に大迫がPK、そこからイトウがヘディングシュートを放ったのは1時間後だったが、それで十分だった」、スペインの『EFE』も「日本は予想通り、何もできなかった中国に対して勝利し、2位を維持。ホームで63%のボールポゼッションを記録し、16本のシュートを中国に浴びせた」と、いずれも一方的な試合だったことを強調した。
フランスのスポーツ紙『L’EQUIPE』は「2位日本と3位オーストラリア(ベトナムに4-0の勝利)がともに勝利して首位サウジにプレッシャーをかけた」とグループの上位争いに注目し、イタリアの『SPORT MEDIASET』は「ブルーサムライが中国を打ち負かし、予選突破にまた一歩前進。火曜日には首位サウジと対戦する」と同様の報じ方だった。
PK獲得、力強いヘッドでの追加点と、大活躍を見せた伊東(ヘンク)の主戦場であるベルギーの専門メディア『WALFOOT』は、彼の他、シント=トロイデンのシュミット・ダニエル、さらにはかつてベルギーのリールセなどでプレーした川島永嗣が招集されていることを紹介した上で、「ヘンクのウイングは2点目のゴールを決め、自身を際立たせた」と報道。また前田大然の所属するセルティックの専門メディア『THE CELTIC WAY』は「マエダは58分に交代出場で、慌ただしい旅をやりがいのあるものとし、勝利に役立った」と伝えた。
最後に、ブラジルの総合メディア『Globo』は、今回も日本代表の戦いを詳しくレポート。この中国戦の戦いぶりについて「倹約的で非効率な攻撃」と厳しく、予選突破に向けて再び状態が悪化していると指摘。森保監督の置かれた立場を表わすのに、「歴代の監督を見ても、ここまで悪い状況はなかった」として「辞任を引き起こす可能性すらある」とまで綴っている。それでも完勝したのは、「中国がはるかに悪かった」からである。
「中国が防御的だったことで、今回は違いを生み出す良い機会だったが、より多くゴールを生み出すチャンスがあったにもかかわらず、日本は圧力を強めてこれらを活かすことを望まず、後半は久保建英を投入しながらも、自然とペースが落ちていった。脆弱な中国に勝つには、それでも十分だったが、サウジを倒すにはより多くのことが求められる」
こう指摘した同メディアは、恒例の全選手採点ではやはり伊東を最優秀選手に挙げて10点満点中の「7.5」を与え、寸評では「立ち上がりからピッチ上で最も危険な選手だった。ほとんどの攻撃プレーに絡み、PKを獲得し、2点目のゴールを奪った。予選3連発を達成したヘンクのウインガーは、日本の主役となった」と賛辞を贈っている。
構成●THE DIGEST編集部
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