ナダルを全豪Vに導いたモヤが勝因を解説。ジョコビッチの接種問題にも言及し「彼のキャリアは深刻な危険にさらされる」<SMASH>
男子テニス世界ランク5位のラファエル・ナダル(スペイン)のコーチを務めるカルロス・モヤ氏が、スペインのラジオニュース番組『Ondacero』のインタビューに登場。先の全豪オープンで見事優勝を果たしたナダルの強さを称賛した。
昨年8月に慢性的な左足のケガを理由にシーズンを終了したナダル。12月半ばには新型コロナウイルスにも感染し、苦境のなかで新シーズンを迎えた。それでも年初のメルボルン大会(ATP250)で優勝を飾ると、全豪では苦しみながらも決勝へと進出。世界2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)を相手に、2セットダウンの絶体絶命のピンチから驚異的なカムバックを見せて13年ぶりの全豪制覇を成し遂げた。
これによりナダルは男子テニス史上最多となる21回目のグランドスラム優勝を達成。ロジャー・フェデラー(スイス)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)の20回を抜き、新記録を樹立した。
「彼に関しては、いつどんな状況になっても希望が持てるんだ」と、5時間超えの死闘を制したナダルの強靭なメンタルを評したモヤ氏。続けて、あと一歩のところで四大大会21勝を逃したフェデラーとジョコビッチを引き合いに、約5年にわたって指導しているスペインテニス界のレジェンドを次のように絶賛した。
「信じられないのは、彼(ナダル)がどうやって(21勝目の)チャンスを生かしたかということだ。ロジャーは21回目の優勝へ(2019年ウインブルドンで)2つのマッチポイントを握っていたが、それを実現することができなかった。ノバクは昨年の全米オープン決勝でプレッシャーに耐えることができず、近年で最悪の試合の一つを演じてしまった。だがラファは、自分のキャリアにおいて大きなチャンスに直面していることを知っていたなかで、調子の悪かったスタートから立ち直り、緊張をコントロールすることができた」
また、モヤ氏は35歳にしてそうしたプレッシャーに打ち勝ったナダルについて、「私は、これが彼が獲得する最後のグランドスラムタイトルになるとは思っていない。健康であれば、今年のローランギャロス(全仏オープン)でも大本命の一人になるだろう」と予想した。
インタビューの最後には、一連のオーストラリア入国問題で全豪開幕前から世間を騒がせたジョコビッチにも言及。「現時点ではっきりしているのは、ワクチンを接種しなければ、長い間戦ってきたツアーから外れてしまうということだ。このままではグランドスラムでプレーすることは非常に難しく、彼のキャリアは深刻な危険にさらされると思う」と心配のコメントを寄せた。
今回の全豪ではファンも改めてナダルの強さを実感したはずだ。モヤ氏の言葉通り、次なるグランドスラム「全仏オープン」(5月22日~6月5日/フランス・パリ/クレーコート)は過去13度もの優勝経験を持つナダルの最も得意な舞台であるだけに、GSタイトル数の記録をさらに伸ばすことが期待される。
文●中村光佑
【PHOTO】ナダルはじめ、全豪オープン2022で活躍した男子選手の厳選ショット!
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