
【バッシュの教科書】トッププロの履くバッシュが全選手にとって最高とは限らない理由
連載企画「バッシュの教科書」では、どんな観点でバッシュを選べばよいのかを考えていきます。
ご自身も実業団でプレーした経験を持ち、現在は中学校で指導しながら、スポーツ量販店でバスケットボール売り場に立つ眞間香織(ままかおり)さんに聞きました。
今回は「トッププロの履くバッシュが全選手にとって最高とは限らない理由」です。

写真:眞間香織(ままかおり)さん/提供:ご本人
「トップ選手のバッシュ=最高」ではない理由
正直なところ、バッシュの売れ行きは「バッシュの性能がいいか」よりも「誰がそのバッシュを履いているか」で決まる部分が大きいです。
NBAの選手や高校バスケ界で活躍している選手が履いているバッシュは人気が出やすいのです。最近は「YouTuberの方が宣伝しているバッシュがいい」というお客さんも多いです。
ですが、残念ながらトッププロや有名選手が履いているバッシュが、必ずしも全ての人にとって良いバッシュであるとは限りません。その年齢、その経験値、そのプレースタイルの選手にとって、良いシューズであるからです。
今回は「外国人と日本人の違い」「競技レベルの違い」「体育館の違い」の3つに分けて考えてみます。
外国人と日本人の違い
まずは、外国人と日本人の脚力には大きな違いがあります。
一般的に外国人の脚力は日本人よりも強く、ジャンプやダッシュの際に必要な「床を蹴る力」が強い場合が多いです。
仮に同じプレースタイルの憧れのNBA選手であったとしても、同じ脚力がないのであれば、そこを目指すステップアップとして何を履くべきか、というふうに考えてほしいと思います。
一つのプレースタイルの中にも、さらに細分化して考えると、求められるシューズの硬さはそれぞれ違ってきます。今の自分の脚力や足型なども考えて、履くバッシュを慎重に検討してもらいたいです。
競技レベルの違い
競技レベルの違いも大きなポイントです。そもそもバッシュは、履く選手のそのときの練習強度や内容によっても、選び方は変わるからです。
中学1年生のバスケ部の子がバッシュを買いに来たら、私はまず「ミニバス経験の有無」を聞きます。これから始める初心者には、細かく足を使う感覚を養うためにも、柔らかいバッシュを薦めます。
商品の詳細はこちら(外部サイト:SUPER SPORTS XEBIO)
部活動もクラブチーム化が進んできているので、週2-3回程度の練習には価格が高すぎる、という場合には、その子の足型に合ったもう少し低価格帯のシューズを薦めます。
トップ選手は、それぞれの好みですが、柔らかさよりも反発力や安定感を重視して選ぶことが多いです。
ただ「トップ選手が使っているから」という理由だけでバッシュを選んでしまうと、上手くプレーができないだけでなく、ケガに繋がる可能性もあるのです。
変化してきたバッシュのケガ防止機能
かつて日本のバスケットは、縦の動きで相手を抜くのが一般的でしたが、最近はディフェンスを横にズラす動きが多くなってきています。
横の動きに対応するバッシュというのはこれまであまりなかったのですが、その流れを受け一昨年くらいから「横の踏み切りにも、横の傾きにも強い」シューズが発売されています。
その時々のプレーのトレンドによっても、バッシュは変化していますね。
商品の詳細はこちら(外部サイト:SUPER SPORTS XEBIO)
海外と日本の体育館の違い
プレーするのが日本の体育館であるということも重要です。
NBA選手が試合をするアメリカのピカピカのアリーナとは違い、日本の部活動は埃っぽい日本の体育館が基本なので、軽くてグリップ力があるシューズが合っていると私は思います。
商品の詳細はこちら(外部サイト:SUPER SPORTS XEBIO)
日本の環境に合ったシューズ、という観点も必要だと感じます。
自分に合ったバッシュを見つける方法
ミニバスから高校まで同じ指導者が見る場合には、いまこの練習、次はこの練習にステップアップするからこれくらいの安定感を、というように考えてくれる場合もあります。選手によっても、年齢によっても、ケガの仕方や足の形が変わってくるので、長く見てくれる指導者にバッシュについて聞いてみるのも良いでしょう。
バスケットボール売り場のスタッフに、自分の経験や練習強度などを伝え、アドバイスをもらって試着していくこともぜひお薦めします。
初心者やまだ経験が浅い部活動生には、現在のご自身に必要なシューズの候補を挙げることが難しいからです。
もちろん、トップ選手に憧れる気持ちや、デザイン性に惹かれる気持ちはよくわかりますし、カッコよさを追求するのはバスケットをするうえで、大事なことです。
長くバスケットを楽しむためにも、憧れの選手にたどり着くための必要なステップとして、いまの自分に必要なバッシュを選んでほしいと思います。
取材・文:SSN編集部
Follow @ssn_supersports