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“狙った”女子ツアー初の50台 木下彩は驚きの新記録「優勝よりもビックリ」

木下彩がステップ記録の「60」で圧勝!(撮影:GettyImages)

<山陽新聞レディース 最終日◇15日◇東児が丘マリンヒルズゴルフクラブ(岡山県)◇6359ヤード・パー72>

木下彩が12バーディを奪う圧巻のゴルフで岡山のギャラリーを熱狂の渦に巻き込んだ。最終ラウンドでステップ・アップ・ツアーの記録を2打更新する「60」をマークし、トータル20アンダーでホールアウト。2019年以来のステップ2勝目を鮮やかに飾った。

「優勝よりもスコアにビックリしています。50台も見えていたので、狙っていました」

出だしの1番をバーディとすると、3メートルを沈めた4番から5連続バーディ。「アイアンがすごい切れていた。アイアンとパターに助けられました」。ティショットを曲げてもチャンスにつけるプレーが続き、首位で前半を折り返した。

後半に入っても勢いは止まらない。苦手な11番ではティショットをラフに打ち込むが、なんとか2打目でグリーンオン。「パーでOKと思っていたのが、ロングパットが入ったのでとても大きかったです。さらにいい流れに乗れました」と10メートルをねじ込み、続く12、13番でもバーディ。15番からも3連続で取って、その時点で12コのバーディを量産していた。

伸ばしあいの中で、周囲のスコアも分からない。「リーダーボードもなかったので、『どこまでもいこう』と」。そんな思いがバーディラッシュにつながり、最終18番を迎えた。ここを取れば、国内女子ツアー史上初の50台だ。冒頭の言葉どおり、狙っていく。

打ち下ろしのパー5でバーディも計算できるホール。ところが、ここをパーとして大記録樹立は夢と消えた。「最後の18番はもったいなかったですね。ティショットは手汗もかいていて、すべって左に行ってしまって」。大量リードは分かっていたが「何かあったらダメだと思って」とラフから2オンをあきらめたが、なんとこの2打目がグリーンをオーバーしバンカーへ。「刻もうと思ったらバンカーに入ってしまって。アドレナリンが出ていたかもです。下手でしたよね(笑)」と、そこから2打を要して13コ目のバーディならず。新記録は逃したが、それでも「60」というレギュラーツアーに並ぶ最少ストローク記録に会場はどよめいた。

ここまでステップ7試合に出場し、前戦の2位タイを含むトップ10が4回。そろそろ5年ぶりの2勝目も見えてきた中でもこの日は落ちついていた。「そんなに何も考えずにいきました。ここ何試合かは最終組で負けていた。疲れもたまっていたので、今までよりも冷静でしたね」。無欲こそが、ビッグスコアを生み出した要因だ。

「レギュラーではまだまだなので」とステップからの昇格が目下の目標。優勝の資格でファーストQTは免除されるため、ファイナルQTからの挑戦がこれで確定した。さらに賞金ランキングは1位に浮上。同2位までに入れば、そのQTにも行かず来年のレギュラーツアー前半戦の出場権を得る。「このまま1位をキープして」と目指すは、ステップ賞金女王だ。

1998年度生まれで黄金世代の一角。渋野日向子の親友としてたびたび話題にもあがる。「このあとはもう少し楽に楽しめるかと思うので、しばらくそうしたいな」。次戦は初優勝を挙げた広島の地。1位の座を盤石にするためにも、連勝といきたい。

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