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涙のアマ優勝、衝撃のプロ初勝利、大まくりの海外初V 古江彩佳が節目の“日米10勝目”…これまでの優勝劇を振り返る

すべてはこのアマチュア優勝から始まった。古江彩佳の日米通算10勝を振り返る(撮影:佐々木啓)

<アムンディ・エビアン選手権 最終日◇14日◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6523ヤード・パー71>

古江彩佳が、2022年「トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン」に続く米国ツアー優勝を果たした。これが日米通算では節目の10勝目(アマチュア時代の1勝も含む)。さらにメジャー制覇は日米通じて自身初の快挙になった。“衝撃のアマチュアV”から始まった、これまでの優勝を振り返ってみよう。

■2019年「富士通レディース」※アマチュア
この年の春に兵庫県の滝川第二高を卒業し、プロテスト受験を2週後に控えていた10月に出場したレギュラーツアーで、史上7人目(当時)のアマチュア優勝を成し遂げた。首位と1打差の2位からスタートした最終日に6バーディ(1ボギー)を奪い、トータル17アンダーで逆転。ラウンド中はクールな表情でプレーする姿が印象的だったが、「両親の支えのおかげで…」と家族への感謝を口にした瞬間、涙で声を震わせた。そしてこの勝利でプロ転向の資格を得て、すぐに権利を行使。

■20年「デサントレディース東海クラシック」
新型コロナウイルスにより大会が次々と中止になっていたなか行われた試合で、プロ転向後初となる勝利を挙げた。最終日を東浩子と並ぶトップで迎えると、試合は白熱の展開に。ともにトータル14アンダーで迎えた最終18番では、古江が20メートル、東が6メートルからバーディパットを沈め、プレーオフに突入した。そして延長戦1ホール目に、カップ10センチにつけるベタピンショットを炸裂。これを流し込んで、2000年度生まれの“プラチナ世代”の中で一番乗りとなるプロ初優勝を果たした。

■20年「伊藤園レディス」
首位タイで最終日を迎えたこの試合も、プレーオフまでもつれる展開になった。酒井美紀とトータル12アンダーで並ぶトップでホールアウト。そして18番パー4で行われた延長戦は3ホール目に突入した。しかし最後は「打った感じがすごくよかった。歓声も聞こえて、近いんだなと思いました」という、あとわずかでショットインイーグルのスーパーショットで決着。敗れた酒井も「うまい、というか強い」と脱帽するしかなかった。

■20年「大王製紙エリエールレディス」
日本ツアー4勝目を、2週連続優勝で飾った。2位の笹生優花に2打差をつける単独首位で最終日を迎えると、ハーフターン時点で6打差をつける独走態勢を築いた。最後は3打差まで縮まったものの、危なげない展開で年間3勝目を達成。「一番活躍してくれたクラブは58度のウェッジですね」というほどピンチもアプローチでしのぎきり、その技術の高さを改めて印象づけた。

■21年「富士通レディース」
この年の2月に大会を主催する富士通と所属契約を結び、初めてホステスプロとして出場。2日目を終えトータル12アンダーで、勝みなみと並ぶトップに立っていた。しかし最終ラウンドは降雨によるコースコンディション不良のため中止に。そのため天候が落ち着いたころから、3ホールのストロークプレーによる“変則プレーオフ”が実施された。この結果、17番パー3でバーディを奪って競り勝った古江がようやく21年初勝利。アマチュア優勝を遂げた思い出の大会で、所属選手としての役割を果たし、「今年は悪くないけど、うまくいかないときがあって…、それを思い出しました」と涙もキラリ。

■21年「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」
前年に続き秋になり勝利を量産。優勝の翌週は地元・兵庫県で迎える大会だったが、ここで“秋女”を印象づけることになる。最終日を1打差のトップで迎えると、西郷真央らのプレッシャーを退け、自身2度目の2週連続優勝を達成。「ジュニアのころから見に来ていた大会で、優勝することができて本当にうれしい気持ちでいっぱいです」と言葉を詰まらせた。コロナ禍のなか有観客で行われ、「ひさしぶりにギャラリーの前で優勝することができて本当にうれしい」と地元ファンへの感謝の言葉も。

■21年「TOTOジャパンクラシック」
本来は日本で行われる米国ツアー公式戦。しかしコロナ禍の影響で前年に続き日本ツアー単独開催となり、そこで最終日を2位の稲見萌寧に2打差をつけるトップで迎えた。最終日もフェアウェイキープ率100%、パーオン率88.8%とショット力を武器に安定のゴルフを展開。同じ最終組で回ったライバルに、最後は3打差をつけ勝利を飾った。4戦3勝の固め打ちで賞金ランク1位に立っていた稲見との差も396万8474円まで肉薄。結果的にシーズン最終戦までもつれることになる女王レースが、一気に激化する試合にもなった。

■22年「トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン」☆米国女子ツアー
米ツアー本格参戦初年度に、スコットランドで脅威のプレーを見せつけた。4打差の9位から最終日をスタートさせると、怒とうのラッシュを見せることになる。10個のバーディを積み重ね、さらにボギーもなしと完璧な内容。「62」で上位を一気にまくり、米国ツアー初優勝を挙げた。「まさかルーキーイヤーで勝てるとは」と海外1年目での勝利に本人もビックリ。また海外でのプレーを支える英国出身のキャディ、マイク・スコット氏にとっては、これが地元で挙げた自身にとっても米ツアー初優勝で、相棒に特別な勝利を捧げる試合にもなった。

■22年「富士通レディース」
米ツアーで優勝し“凱旋試合”となったホステス大会は、前週までカリフォルニア州で試合を行いながら帰国→即出場という強行日程だった。それでも火曜日の早朝4時に羽田空港に到着すると、そのままコースに向かい午前7時から練習ラウンドを敢行するタフさを見せる。結局、過去2勝の得意大会で疲れた様子も見せず、最終日を3打差の単独首位で迎えた。最後は、外したらプレーオフという3メートルのバーディパットを涼し気に流し込んで連覇を達成。「うれしい気持ちがいっぱい。大会連覇もうれしいし、所属させてもらっている(富士通の)大会で優勝できたのもすごくうれしい」と笑顔が弾けた。

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