金田久美子はQT突破ならず涙「今年を物語っていた」

QTランキング51位で、来季の前半戦への出場数が限られてしまった金田久美子(撮影:福田文平)

<JLPGA ファイナルQT 最終日◇1日◇葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース(静岡県)◇6421ヤード・パー72>

昨年に劇的な優勝を飾って手にしたシード権の肩書を喪失した金田久美子が、トータル4オーバーで4日間を終えた。これでQTランキングは51位が確定し、来季レギュラー前半戦の出場可能試合数がかなり制限されることになる。

昨年10月の「樋口久子 三菱電機レディス」で11年189日ぶりに勝利し、今季は2017年以来のシード選手として戦った。だが、春先から低迷し、トップ10入りはわずかに1回。シード確定前の最終戦「大王製紙エリエールレディス」では、逆転でシード死守を目指したが、2日目にのどの痛みを理由に棄権。メルセデス・ランキング64位でシードを逃した。

「(エリエールは)ただの風邪だったけれど、7度5分(の熱)が5日間くらい続いて、しんどくて家を出られなかった。わたしは練習しないと不安だったけれど、思ったよりも打てた。飛距離も落ちていなかったので大丈夫かなと思ったけれど、今年の一年を物語っていた感じでした」

初日は「72」で滑り出したが、2日目から「74」「75」と落とした。「1日目から風も強かった。パー狙いじゃないけど、安全な方に打っていてパターもショートしていた」と苦戦し、トータル5オーバーの55位タイで最終日を迎えていた。

「最終日は伸ばすしかないと思って、少しは攻めたゴルフができた。パターも入らないし風を読めなかったりしたけれど、気持ち的には自分らしいというか、少しは逃げずに攻めれたと思う」。4バーディ・3ボギーの「71」で回り、4日間で唯一の赤字を出したが、ボーダーライン突破とはならなかった。

今年のケースで行くと、QT51位の資格で出られたリランキング前の試合は、「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」「リシャール・ミル ヨネックスレディスin朝霧」の2試合のみ。来季も同様のケースになることも考えられ、自力で出場できるレギュラーの試合はかなり限られる。

来季以降のスケジュールについて聞かれると、それまで目を潤ませていたものがこらえきれず、涙があふれてきた。「本当は、今年一年ダメなら難しいんじゃないかと、オフのきついトレーニングや練習に耐えられるかなと思っていた。けれど、いま終わってみて、頑張りたいと思った。リランキングを目指して頑張ります」。ひとつひとつ、言葉を紡いだ。

11年ぶりの優勝も、QTが不発に終わったなかで数少ないチャンスをものにして返り咲いたもの。悔しさを糧に前を向き、この冬からリスタートする。(文・笠井あかり)

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