「ボールがフェースに乗る」ようなアプローチだから寄る!青木瀬令奈の距離感を真似しよう【優勝者のスイング】
最終日に2打差を逆転し3月の「Tポイント×ENEOSゴルフ」に続く今季2勝目、通算5勝目を挙げた青木瀬令奈。2011年のプロテスト合格から11シーズン目となる今季は、初めて複数回優勝を果たし、現在メルセデス・ランキング11位。30歳にして、キャリアハイの成績を残している。そんな青木を「以前は飛距離を求めてアッパーに振っていましたが、トレーニングを積んで飛距離が出るようになり、無理にアッパーに振らなくなり、より安定性が増しています。身長が低く体を目一杯使うタイプですが、下半身の使い方、特にヒザでリズムを取るようにしながらスムーズに腰を回転させているのも再現性を高くしている要因です」と分析する。
今大会でウィニングショットと言えるのが、17番ロングのサードショットだろう。レイアップして迎えた50ヤード前後の3打目を、見事ピンにからめてバーディを奪っている。その17番は3日間連続でバーディを奪ったホール。南も「以前からショートゲームには定評がありましたが、それを象徴するようなショットでしたね。ボールを拾うのが非常に上手く、アマチュアの人にもぜひ参考にしてほしいと思います」と話す。
青木のように距離感や方向性を出すには、打点を安定させてボールをフェースに乗せていくようなイメージでショットしたいもの。レベルな軌道で、低く長いフォローを出すことが理想となる。
そのために練習になるのが、左手での片手打ちだ。「左肩を支点にして、軽くフットワークを使いながら、アプローチでもヘッドが遅れてくるように意識します。支点となる左肩のポジションをキープするために、体は開かず、腕を真下に下ろしてください」。体を止めてヘッドを出すのではなく、足を使って振ることを意識したい。この練習では、ボールはキャリーで20ヤードも飛べばOKだ。
上手くヒットできないときは、次のポイントを確認してほしい。まずはグリップ。「ウィークに握っていると、フェースが開きやすいので、腕に余計な力、動きが入りやすくなってしまいます」と、下半身が止まる原因になるという。
腕が疲れる、安定してヒットできないなら腕力に頼って打っていることが考えられる。「左ワキにタオルを挟んだり、右手を左腕の下から通して左ヒジを固定したり、腕の自由度を制限することで、足を使ったスイングになります」。
さらに、ダフリ気味でしっかりとミートできないなら、軸が右に倒れている可能性がある。「大きく右足を引いたクローズスタンスで、右足はツマ先立ち。左足に9割体重を乗せて打ってみてください。左体重のインパクトが身につきます」。
地味な練習だが、体の使い方、クラブの軌道が大きく変わるきっかけになる効果的なドリル。次の練習で取り入れてみてほしい。
南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属
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