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「やっとセッティングが合った…もう終わるけど」 即投入したニューアイアンが大里桃子再浮上のカギに?

新アイアン投入で上昇気流。大里桃子は父・充さんとのタッグで大事な週末を戦う(撮影:上山敬太)

<大王製紙エリエールレディス 2日目◇17日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6575ヤード・パー71>

「賭けだったけど、納得したほうがいい。気持ち悪いままやるよりも、替えてやってみようかな」

現在のメルセデス・ランキング(以下、MR)は86位。プロテストに合格した2018年から守り続けてきたシード喪失の危機に瀕している大里桃子が、現時点で自身シーズン最終戦となる大一番で“大勝負”に打って出た。

ツアー通算2勝を誇る大里といえば、アイアンを武器にスコアを作るショットメーカーのひとり。そして、その手には今週テストしたばかりで即投入したアイアンが握られている。それがミズノが今年投入した新作『ミズノプロ243』。本人も「得意な方」という生命線のクラブを、この時期に替えるのが“賭け”というわけだ。

今年の夏頃からミズノのアイアンを使用してきたが、「ソールがひっかかる感じがずっとあった」と微妙な感覚を消すことができなかった。そこで、この新作をテストすると抜けが良くなった。ライ角など微調整は施したが、すぐにバッグに入れることに決定。「最近ラインが出ている感じがしなかったんですけど、今週はそれが出せるようになったので替えて良かったです」とプレーにもいい影響を与えている。

その効果はトータル6アンダー・10位タイで予選を通過という部分にもあらわれている。「『やっとセッティングが合ったね、もう(シーズンは)終わるけど』とかキャディさんと話しながら回っていました」。こんな言葉からも、その満足度の高さはうかがえる。

強風と寒波がコースを襲った2日目こそ1つ伸ばすにとどまったが、初日はボギーフリーのラウンドで今季2番目の好スコア「66」を記録。「ストレスなく、ひさしぶりにいいゴルフができています」と、好調さも実感できている。最近の悩みの種だったパッティングも「練習日にオデッセイの人にアドバイスしてもらい、いい転がりが出ています」というのだから、気分が悪いわけがない。

シードを死守するための条件は優勝のみ。ただ本人はこの“一発逆転”について「今年を振り返るとそれは無理かなと思っています」という開き直りも見せている。それが“ギリギリ”の雰囲気をつくらず、いい方向に転がっているようだ。「やることをやるしかない。QTに気持ちよく入れるように」。今月28日から始まる予選会で、しっかりと来季出場権を得るための準備を進めていく。

今週は父・充(みつる)さんがキャディを務める。初優勝した18年の「CAT Ladies」など、プロ転向後はその親子タッグも話題になっていたが、今年になり何度かその姿を見ることができている。「(キャディを)探したけど、いなかったんです」と大里は笑うが、「大事な試合なので、一番見てきた人がやればいいかな」と信頼感はやはり強い。その後に「口さえ出さなければ(笑)」という注文はつくのだが。

QTも「10人くらいに声をかけたけど、みんなダメだったので」と父とともにコースに出る。「ショットは最近いい感じ。パットも試合前に直せたので気持ちよく試合に入れました。楽しみながら、ひさしぶりにいいゴルフができているので、これを継続できるように」。新たな相棒、グリーン上の感覚、そして慣れ親しんだ声。すべての要素を、来季の出場権につなげたい。(文・間宮輝憲)

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