協会が想定する優勝スコアは「17アンダー前後」 “伸ばしあい”のメジャーに猛暑が拍車をかける?
<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 事前情報◇6日◇パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)◇6755ヤード・パー72>
連日、日本列島を襲っている猛暑が、“女子プロゴルファーNo.1決定戦”にも大きな影響を及ぼしそうだ。大会開幕前日の6日には、主催する日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の小林浩美会長らが会見。そこでコースセッティングを担当する山崎千佳代が、「想定している優勝スコアは17アンダー前後」と“伸ばしあい”になることを宣言した。
メジャー大会というと“ガマン合戦”というイメージも強いが、「協会のセッティング担当の共通認識として、世界を目指すため、スコアが伸びた時でも最後まで息切れせずに伸ばしきることがテーマのひとつ。今年はそういった展開になっていく」と、バーディを積み重ねて優勝する選手の姿を求めている。昨年の川崎春花が16アンダー、2年前の稲見萌寧が19アンダーと、近年の傾向が踏襲される。
前回このパサージュ琴海が選手権の舞台になった2015年は、優勝したテレサ・ルー(台湾)のスコアが7アンダーだった。それを考慮すると、大きく雰囲気も変わりそう。その大会ではラフが最長120ミリに設定されていたが、今年は60~70ミリ。さらにフェアウェイも、「狭いところで15ヤード弱、広いところでも25~26ヤード」とかなり絞られていたが、そこも広めに設定されている点が大きな違いになる。
ただ、その伸ばしあいに拍車をかけそうな予想外の事態も。それが猛暑の影響だ。グリーンコンディションの想定は、スピードを表すスティンプメーターが10~10.5フィート、硬さの指標になるコンパクションは21だが、開幕前日時点の数値は「(スティンプ)9.5フィートと(コンパクション)19.5」にとどまっていることも明かされた。
もともとアンジュレーションに富んだ難しいグリーンというのが大きな特徴のひとつだが、その難易度を下げることになってしまった。「これから転圧をかけ、刈り込んでいくことで上がっていくとは思う。天気も初日からの3日間晴れが続く予報なので、乾いてくる部分もあるはず」。実際に選手たちからは、グリーンでしっかりボールが止まるという声も多く聞こえてきた。まさに天に祈る状態でもある。
ただそのなかで「風も演出してくれると思う」と山崎が話すように、大村湾を望むシーサイドコース特有の海から吹き込む強風が大きなポイントになりそう。例えば、海越えの12番パー3。その大村湾に面している左サイドの木を、この大会に合わせて伐採し、風が通り抜けるように改造が施された。選手たちが臨機応変に天候の変化をくぐり抜けるか、そこも見どころのひとつになる。
練習日、プロアマも連日、気温30度を超す状況が続いた。「フェアウェイの仕上がりはすごい」と、そのなかでコース整備に奔走したコースに対しては、感謝の言葉を送る。「2ケタアンダー以上になって、選手のアグレッシブさを前面に引き出す公式戦があってもいい」(山崎)という協会の“思惑以上”のバーディ合戦になる可能性もあるが、本番になってどのようにグリーンの表情が変わるのか? ここも選手の結果を左右することになりそうだ。(文・間宮輝憲)
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