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「涙が止まらなかった」女子テニス元世界1位の中国選手が“前副首相による性暴力被害”を告発!「歩く死体になったような気分」<2021百選>

元政府高官からの性的暴力を告発したとされるペン・シューアイ。その投稿は当局により削除されている。(C)Getty Images
2021年のスポーツ界で印象的なシーンを『THE DIGEST』のヒット記事で振り返る当企画。今回は取り上げるのは、世界的な騒動の発端となった中国テニス選手のSNS(ウェイボー)投稿について。苦しい胸のうちを明かしたとされるその内容に、大きな波紋が広がった。

記事初掲載:2021年11月5日

――◆――◆――

女子ダブルス元世界ランキング1位のペン・シューアイ(中国)が、中国版ツイッターとも言われる「ウェイボー」で、2012年から17年の5年間にわたり共産党最高指導部メンバーの一員であった75歳の張高麗(チャン・カオリー)前副首相から性的暴行を受けていたと告発した文書を公開。投稿はすでに削除されているが、ネット上でその内容が拡散されたため、衝撃が広がっている。

13年ウインブルドンと14年全仏オープンのダブルスで優勝し、中国テニス界史上「最も成功したプレーヤー」とも称されている35歳のペン。公開された文書によると彼女は張氏が天津市トップの党委員会書記だった時期に男女関係を持った。

張氏が習近平指導部の政治局常務委員に任命されると一旦連絡が途絶えたが、同氏は政界を引退した直後に、ふたたびペンとコンタクトを取り、一緒にテニスをした後に妻のいる自宅で性的行為を強要したという。

ペンは「(張氏とは)10年間ほど断続的な関係が続いていた」と告白。そのうえで、当時の状況について「その日の午後、私はあなた(張氏)には同意せず、涙が止まらなかったのです。(それでも)あなたが私を自分の家に連れ込んで、私とあなたが関係を築くことを強制しました」と説明した。

さらにペンは自分の主張を証明する明確な証拠がないことを認めながらも、その時の心情を赤裸々に記した。
「なぜ、あなたがまた私のところに戻ってきて、自分の家に連れて行って、私に性的行為を強要する必要があったのですか? そう、私は何の証拠も持っていなかったし、証拠を持つことは単純に不可能だったのです。どれだけ嫌な思いをしたか、何度も自分はまだ人間なのかと自問自答しましたが、言葉になりませんでした。歩く死体になったような気分でした。毎日、どれが本当の私なのか、演じていました」

ペンが投稿した文書がネット上に拡散されると、中国当局は徹底した検閲を実施。米大手ニュースメディア『CNN』によると、同文書は公開後わずか30分ほどで削除され、具体的な内容をスクリーンショットで共有していたあるグループも検閲を受けたようだ。さらに、ペンのウェイボーアカウントは検索対象から除外されており、ユーザーは現在、彼女の投稿にコメントはできない状態となっている。

なお、一連の騒動については北京で現地11月3日に開かれた定例記者会見で中国外務省の汪文斌(ワン・ウェンビン)報道局長が記者から質問を受けたが、「特に聞いておらず、外交に関する問題でもない」と回答を拒否。また、現段階では張氏のコメントも発表されていない。

ペン・シューアイ(Shuai Peng)
1986年1月8日生まれ。中国・湖南省出身。身長177cm 。右利き/左右両手打ち。8歳でテニスをはじめ、2000年から国内大会に出場。15歳で国別対抗戦の代表に選出された。四大大会デビューは2004年のウインブルドン。ダブルスが得意で2015年ウインブルドンと2014年全仏オープンの女子ダブルスで優勝、17年の全豪オープンでは準優勝した。ダブルスの通算獲得タイトルは23個で、2014年2月17日にダブルス世界1位を記録した。2020年2月のカタール・オープンに出場して以降ツアーを離脱している。21年11月1日付/シングルス189位、ダブルス248位。

文●中村光佑

【PHOTO】女子テニス・ダブルス元女王ペン・シューアイ、栄光のアルバム

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