• HOME
  • 記事
  • テニス
  • 学生最後のインカレ室内で敗れた松田龍樹。「小さくても勝てる」ことを証明すべくプロの道へ<SMASH>

学生最後のインカレ室内で敗れた松田龍樹。「小さくても勝てる」ことを証明すべくプロの道へ<SMASH>

学生最後の大会を戦い終えた松田龍樹。卒業後はプロに転向し、大学で磨いた「小さくても勝てるテニス」を実証する。写真提供:全日本学生テニス連盟
163cmという実際の身長より大きく見えると伝えると、「そうですか? よく言われるんです」と恥ずかしそうに顔をほころばせた。

近畿大学4年生の松田龍樹は、卒業後のプロ転向を既に表明。学生最後の全日本学生室内選手権はベスト8で終幕したが、進む道に迷いはない。

中学3年生から、多くのプロを育てた米沢徹コーチに師事し始めた松田は、高校も通信制に入学し、テニスに打ち込む道を選んだ。同じ高校に籍を置く同期の清水悠太は、ジュニアで早々に結果を残し、卒業と同時にプロ転向。米沢コーチの下で共に汗を流す仲間もプロの世界へと飛び込むなか、松田は悩みながらも、近畿大学進学を選んだ。

「実力的にも戦績的にも不十分だったので、大学でレベルアップしようかなと思いました」

近畿大学は、コートやジムなどの施設が充実しており、学生はいつでも自由に使うことができた。プロのツアーコーチである古賀公仁男の指導も定期的に受けることができ、一方で、学生の自主性を重んじる校風でも知られている。
強制力が低い環境は、良くも悪くも本人次第。ただ松田はその自由な風潮を、「好きなだけ自分を追い込める、理想的な環境」と捉えた。数字以上に大きく見える頑強な体躯と、コートを縦横に走る脚力は、環境を生かしたトレーニングの賜物だろう。本人も、「フィジカル的にも技術的にもレベルアップできた」と、大学4年間の成長を振り返った。

163cmの身長に関しては「不利でしかない」と苦笑いをこぼすも、それでも勝てると信じさせてくれたのは、米沢コーチの指導だったという。

「米沢コーチが、小さくても勝てるテニスを教えてくれて、それを磨いているうちに勝てるようになってきました」

その「小さくても勝てるテニス」とは、スピンをかけたフォアハンドのストロークで、自ら仕掛けて攻めるテニス。今大会の準々決勝でも、最終的には第1シードの白石光にマッチタイブレークで敗れるも、第2セット終盤ではフォアの強打でウイナーを連発した。

プロ転向を決意したのは、「そのテニスを磨いているうちに、勝てるようになった」から。だからこそ、さらに磨きを掛けた先で見られる景色を、彼は楽しみにしているようだった。

取材・文●内田暁

【PHOTO】「2021年度 関東学生テニストーナメント」決勝スナップ集

関連記事