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元中国代表・郝帥「ベストを尽くすのは、スポーツに対する敬意」

昨シーズンからTリーグに参加し、今シーズン前期の男子MVP賞の受賞者となった郝帥(ハオシュアイ)。コロナ禍の中、単身で日本に来て戦い続けている。ドイツのリーグで活躍した経験もある郝帥に、Tリーグをどのように評価しているか、日本での暮らしについての話を伺った。

白神監督が評価する努力 本人は「プロ選手として当たり前のこと」

郝帥(ハオシュアイ・岡山リベッツ)
写真:郝帥(ハオシュアイ・岡山リベッツ)/提供:T.LEAGUE/アフロスポーツ

――岡山リベッツの印象はいかがですか?
お名前:入団して2シーズン近く経ちますが、チームとの関係はとても良く、和気あいあいとしていると思います。

特に白神宏佑監督とは言葉の壁はありますが、翻訳機を使ったり、英語を使ったりして、コミュニケーションが取れています。

――ご年齢が近いですよね?
お名前:はい。白神監督の方が1つ上なので、コミュニケーションやディスカッションの場では、いつも同じような意見で盛り上がることができます。

この前、試合後のインタビューで白神監督が言っていたのですが、今の私たちの年齢では、「ミッドライフクライシス」(中年の危機。不安を感じやすい)は本当です。(笑)

――試合後のインタビューで、白神監督が「1人で日本に来て、岡山のために頑張っている」とおっしゃっていました。とても感謝しているそうです。

白神宏佑
写真:白神宏佑監督(岡山リベッツ)/撮影:ラリーズ編集部

お名前:卓球は私の仕事ですから、ベストを尽くすことは義務であり責任であり、スポーツに対する敬意でもあります。

新型コロナのせいで家族と来ることができず自分1人で戦わなくてはなりませんが、プロ選手として当然のことだと思っています。

――白神監督は、毎日一生懸命練習している姿を見ているからこそ、試合後のインタビューでは感動して泣いていましたね。
お名前:私は、一生懸命努力することは当たり前だと思います。

馬龍のような選手は、30代になった今でも現役で、若い選手と競争するために一生懸命練習しています。

年配の選手である私たちは、練習で特別な訓練をしなければ、若い選手に簡単に負けてしまうでしょう。

だから、自分たちのパフォーマンスを維持するために、より一層の努力が必要なのです。

なぜドイツから日本へ

――Tリーグを選ばれたきっかけは何だったのでしょう?
お名前:偶然といえば偶然なんですけどね。

実はTリーグが発足した2018年にTリーグのチームからオファーを受けていたのですが、その時の中国卓球協会(CTTA)の規定が厳しくて来ることができなかったんです。

しかし東京五輪の後、CTTAの規制が緩和されて、海外の卓球リーグに参加する機会を得ることができるようになりました。

――Tリーグに参戦する前はドイツのリーグに参加されたそうですね。
お名前:はい。私としては、ドイツ・ブンデスリーガが非常に厳格な仕組みだったと感じています。

基本的に、ドイツのチームでブンデスリーガに出場すると、他の国のリーグには出られないんです。

その点、日本のTリーグの方が融通が利くので、Tリーグを選びました。

――実際に日本に来てTリーグの試合に出てみて、どのように感じていますか。
お名前:新型コロナのパンデミックはさておき、商業的・ビジネス的な観点からすると、よくできているリーグだと思います。

現在男子は4チームしかありませんが、試合へのプロモーションやマーケティング、リーグの運営という点で、素晴らしいと思います。

サポーターや観客の反応もかなり良いと感じています。

――Tリーグのレベルはいかがでしょうか。
お名前:全体的に中国のリーグの方が上です。でも、Tリーグも悪くないと思います。

Tリーグは、チーム間、選手間の競争が非常に激しいです。

例えば、ウーゴ・カルデラノ李尚洙、リアム・ピッチフォードなど、世界各国からトップクラスの選手が集まっています。

Tリーグがとても高いレベルであり、世界トップクラスの選手にとっても非常にチャレンジできる場であるという証拠ですね。

ウーゴ・カルデラノ(木下マイスター東京)
写真:ウーゴ・カルデラノ(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部

お名前:競争の激しさという点では、Tリーグもドイツのリーグも中国のリーグも同じだと思います。

毎試合、毎ゲーム、真剣に取り組まないといけませんね。

――初戦の会場はイオンモール岡山だったと思うのですが、郝選手の戸惑いの表情が面白かったです。どう思われていたのでしょう?中国などにはない体験だったのでしょうか。

写真:イオンモールでのTリーグ/提供:岡山リベッツ/T.LEAGUE/アフロ
写真:イオンモールでのTリーグ/提供:岡山リベッツ/T.LEAGUE/アフロ

お名前:中国では、スーパーリーグや全国大会などの公式戦は、通常、スポーツスタジアムで開催されますが、その他の商業的な大会などは、ショッピングモールで開催されることもあります。

最初は、買い物をするはずのところで自分だけ競技をするなんて、ちょっと気まずかったり、恥ずかしかったり、照れたりしました。(笑)

でも何度か競技をしているうちに、今ではうまく慣れてきたと思います。

李艺杰も同じ思いで、少し恥ずかしくなったようですが、私は「何回かやれば慣れるよ」とアドバイスしました。

――郝選手がアドバイスされたんですね。
お名前:状況を変えられないのであれば、その状況に適応できるように自分自身を変えていく必要があります。

プロの選手である以上、どんな状況でもベストを尽くし、自分の仕事をやり遂げることが大事です。

だから、もし今後もショッピングモールで開催されるとしたら、もっと覚悟を決めて、気まずくならないようにしたいと思います。(笑)

――ショッピングモールで開催するメリットはどのように感じていますか?
お名前: 卓球の普及やマーケティングという意味で良いことだと思います。

より広く宣伝することができますし、それまで卓球を見たことがない人たちも惹きつけることができます。

お客さんに少しは試合を見てもらえると思うので、卓球の良い印象を与えることができるのではないかと思っています

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