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「地元の卓球文化を絶やさないために」うえはら卓球教室が目指す“応援される選手”の育て方

山梨県北杜市を拠点に活動する「うえはら卓球教室」。

地域の卓球人口減少に危機感を持った上原祐樹さん(甲府工業高→大正大学出身)が、地元の中学での外部指導をきっかけに立ち上げた教室だ。

今では小学生から高校生まで約20人が所属し、アスリートコースも用意されるなど、技術向上と人間形成の両立を目指すクラブへと成長している。

今回は、教室設立の背景から日々の指導方針、そして“応援される選手”への思いまでを伺った。

教室立ち上げの原点は「地元の卓球文化を絶やしたくない」

――まずは上原さんの卓球歴から教えてください。
上原祐樹さん:生まれも育ちも山梨県北杜市で、小中学生時代は各カテゴリで優勝することができました。

高校は甲府工業、大学は大正大学に進学。その後一度は山梨に戻って就職しましたが、大学の先輩の瀬名和彦さんに誘われて「SENATAKU」で6〜7年間コーチを務めていました。

その後、家業の関係で3年くらい前に再び山梨に戻ったという流れです。

――教室を立ち上げたきっかけは何でしょうか?
上原祐樹さん:最初は卓球を指導する気はなかったんです(笑)。のんびり生きようと思ってたんですが、中学時代の恩師が現在も部活指導員をされていて、「帰ってきたなら子供たちを見てくれないか?」と声をかけられました。

写真:全日本ジュニアでアドバイスを送る上原祐樹さん/撮影:ラリーズ編集部
写真:全日本ジュニアでアドバイスを送る上原祐樹さん/撮影:ラリーズ編集部

上原祐樹さん:最初は母校の外部指導から始まったのですが、県大会を見て今の山梨県ジュニア卓球界のレベルや元気のなさに驚きました。

その背景には小中学生の人口減少や、小学生のうちから始める子が少ないといった構造的な問題がありました。「このままじゃ地元の卓球が廃れてしまう」と思い、教室を始めることにしました。

――現在の教室の運営形態を教えてください。
上原祐樹さん:現在は北杜市と韮崎市の2拠点で教室を開いていて、全体で子どもは約20名。競技志向の強い子は北杜の教室に通っていることが多いです。

平日は夕方から、まずレディースの個人レッスン、そのあとジュニアの練習という流れで、土日には長野県などに出張レッスンに出向くこともあります。

卓球だけじゃない、「応援される人間を育てたい」

――ジュニアチームの練習スタイルや雰囲気について教えてください。
上原祐樹さん:週4日の練習のうち、2日は初心者も参加可能で、残り2日はアスリートコースです。

ただ、アスリートコースといっても和気あいあいとした雰囲気で、みんなが楽しく強くなろうという空気があります。

写真:全日本ジュニアに出場した蓑田観(TC.うえはら)/撮影:ラリーズ編集部
写真:全日本ジュニアに出場した蓑田観(TC.うえはら)/撮影:ラリーズ編集部

――上原さんの指導方針で大事にしていることは?
上原祐樹さん:勝ちたい気持ちは大事ですし、「負けて悔しくて泣くくらいなら練習しろよ」と言います。

でも、基本的には卓球だけではなく、人としての成長を重視しています。技術を教える前に「応援される人になれ」と伝えていて、その第一歩が挨拶です。

――その「挨拶」を重視する背景は何でしょうか?
上原祐樹さん:セナタク時代の先輩から教わったことでもあるんですが、今の子たちはコロナの影響もあって声が小さかったり、自己表現が苦手な子が多い印象です。

だからこそ、「まず挨拶から始めよう」と。子どもたちにも「君たちにできるのはまず挨拶だ」とよく言っています。

写真:蓑田観(TC.うえはら)/撮影:ラリーズ編集部
写真:蓑田観(TC.うえはら)/撮影:ラリーズ編集部

――現代の子との向き合い方について、工夫していることはありますか?
上原祐樹さん:昔のように上下関係でガチガチにやる時代じゃないですし、僕自身もコーチというより「ちょっと年上のおじさん」くらいの距離感を意識しています。

一緒にゲームをしたり、ジュースを賭けた勝負をしたりと、関係性づくりを大切にしています。

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