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デフリンピック4大会連続出場“レジェンド“亀澤理穂が講演 東京2025デフリンピックへの思い「デフ選手にとっては人生を懸けた戦い」

デフリンピックとは

デフリンピックとは、聞こえないひとのためのオリンピックのことで、オリンピックやパラリンピック同様、夏季と冬季があり、それぞれ4年に一度開催される。

デフリンピックには3つの参加資格がある。
全日本ろうあ連盟の会員であること、聴力55db以上(裸耳状態での聴力損失が55デシベル以上)、各競技日本代表の選考基準を満たしていること。

亀澤自身の聴力は105db、飛行機やトラックの大きな音がかすかに聞こえる程度だという。


写真:当日スライドで説明した「亀澤の聞こえ方のイメージ」/撮影:ラリーズ編集部

亀澤にとってのデフリンピック

デフリンピック初出場は2009年の台北大会。団体戦で2位、個人戦で3位となった。日本代表候補から日本代表になり、初めて出場した台北デフリンピックでメダルを獲得したことで「夢は叶えられる」ことを実感したという。

そこから4年に一度、デフリンピックで多くの経験をしてきた。
2013年ブルガリアデフリンピック、女子ダブルス決勝戦で足を捻挫してしまったこと。

2021年ブラジルデフリンピックでは、戦争の始まっていたウクライナから選手が出場できたとき、ライバルだけれど嬉しくて涙したこと。

デフリンピック4大会連続出場、そのメダル獲得8個。卓球選手としての集大成が、東京2025デフリンピックだと亀澤は思っている。

亀澤理穂
写真:亀澤理穂が獲得してきたメダルの数々/撮影:ラリーズ編集部

4回出場もいまだ金メダルは獲れず

過去の海外でのデフリンピックの会場には、補聴器をつけている選手、つけていない選手がいて、本来は補聴器はつけないルールなのでそれは公平にしてほしい、と要望した。

また、リアルタイムでも試合結果を伝えてほしい、ライブ放送や生配信もあるともっと盛り上がるはずと、デフスポーツに注目してもらうための具体的な施策も提言した。

もちろん亀澤自身の悲願は、4回出場するもいまだに獲れていない金メダルだ。どの種目でもいい、金を獲りたいと強く決意している。

「デフリンピックは人生を懸けた戦い」

「デフにとっては人生を懸けた戦い。各国から参加する選手も、他の国際大会とは気持ちが違う」と、亀澤はデフリンピックの特別さを語る。

「感謝の気持ちをもって、たくさんの方々に感動を与えられるように。手話の大切さと、障害があるないにかかわらず、共に生きる共生社会の実現を目指したい」と、講演を力強い手話で締めくくり、会場は万雷の手話の拍手で応えていた。


写真:講演終了時に手話の拍手を亀澤理穂に送る参加者/撮影:ラリーズ編集部

取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)

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