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【編集長コラム】「聞いてない」「県内スポーツチームは飽和状態」逆風スタートから1年経った金沢ポートの現在地
こんにちは。
生成AIが文章くらいは簡単に作ってくれる時代ですが、でもプロ卓球チームの運営はまだしばらくAIがやってくれそうにないので、そのリアルな事情や、ふとした選手のエピソードこぼれ話を連載でお伝えしていきたいと思います。
金沢ポートは、今季からTリーグに新規参入した、男子卓球プロチームです。社長兼監督が、金沢市の卓球専門店清水スポーツの代表でもある西東輝(さいとうあきら)、キャプテンが石川県七尾市出身の松平健太であり、“断トツの地域密着チーム”の実現を目指して活動しています。
いまのところのチームの特徴は、地域での連携の強さ、県内開催ホームマッチの盛り上がり、ユニフォームやグッズの人気、コンテンツ発信、などでしょうか。
私は、その金沢ポートの取締役として、チーム立ち上げ期から事業面を担当しています。
写真:松平健太(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部
去年のいまごろの逆風
「去年の今ごろ、走り回ってましたね」西東監督とこないだ、そんな言葉を掛け合いました。
Tリーグから参入承認されたのがちょうど昨年の同時期、そこから西東監督と共に、さっそく地元の関係者や企業を挨拶に回り始めました。急な申請だったために「聞いてない」「県内スポーツチームは飽和状態」という声もいただきました。
あの頃を思うと、今、金沢ポートのホームマッチに声を枯らして応援してくれる観客のみなさん、関東・関西から毎試合駆けつけてくれるファンの方々、多くの相談と施策を共にする関係になってきたスポンサー・パートナーのみなさんと共に、金沢ポートが歩み始めている現在は、ありがたい限りです。
でも、まだまだです。チーム運営を始めて改めて気づくプロチーム経営の厳しさに、あの頃以上に一喜一憂しながら、皆走り回っています。
Tリーグチームの経営って?
プロスポーツチームの経営ってどうなってるのか、わかりにくいですよね。
チームによって事情は様々だと思いますが、金沢ポートの場合、売上は大きく分けて、スポンサー(パートナー)収入、入場料収入、グッズ収入の3つです。放映権はサッカーJリーグ同様、リーグ管轄なのでチームがセールスそのものには関わりませんが、リーグから各チームに配分されます。
チームにとってのコストはたくさんありますが、選手・スタッフ人件費、ホームマッチ設営・運営費が大きな割合を占めます。
卓球関心層の母数が限られている地域球団にとっては、リピーターの多いお客さんにとっての観戦体験や新鮮さを用意しつつ、会場運営費はなるべく下げていく、という難しい舵取りがホームマッチ運営に求められます。
現時点では、年間で発生する選手・スタッフ人件費をスポンサー収入・グッズ収入で賄い、ホームマッチ1節単位で発生する設営・運営費は、そのホームマッチでの入場料収入で賄う、という状態を目指していますが、正直まだまだです。
毎節のホームマッチ毎に改善を繰り返しています。
写真:8.12ホームマッチ開幕戦を彩った地元の和太鼓DIA+( ダイアプラス)/撮影:ラリーズ編集部
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