レベル差がある相手と練習する時の3つのポイントとは?|頭で勝つ!卓球戦術
卓球ライター若槻軸足がお送りする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は「レベル差がある相手との練習方法」というテーマでお話をしていこう。
あなたが強くなろうと思うのなら、一番効果的なのは自分よりも実力が上の相手と練習をすることである。それが難しければなるべく近いレベルの相手と練習をするのが望ましい。しかしなかなかそうはいかないことも多いだろう。
部活動などでは特に、初心者同士で打つ機会も多くあるだろう。しかしこれは効率的に技術力を向上するのは難しく、お互いにとってよくないのでおすすめしない。(参考:初心者同士で練習をさせてはいけない理由)
となると、初心者の1年生と先輩とで練習をするという格好になる。
あるいは自身の母校に行き、後輩たちと練習をする際なども、かなりレベル差があるケースも多い。このようにあなたが実力が上の立場だったとき、あなた自身にも有益な時間になるためには、どのような心構えでプレーをするのが良いだろうか。
写真:卓球の練習風景/撮影:ラリーズ編集部
レベル差がある相手との練習方法
1.技術の細かい点に注意する
写真:篠塚大登(愛知工業大)/撮影:ラリーズ編集部
まずは相手の練習でパターンを指定されている場合を想定してみよう。たとえば、「相手が下回転のサービスをこちらのフォア前に出す。それを相手のバックにツッツキをして、相手は3球目攻撃をする」というパターンだ。
このときになんとなくやるのではなく、少し工夫をしてみよう。
たとえば普段よりもツッツキを切ってみる。あるいはサイドラインやエンドラインぎりぎりのコースを狙ってみる。もしくは、ツッツキの打点を頂点前、頂点、下降時とタイミングを変えてみる。意識をすれば色々と変化を加えられるはずだ。
もちろん相手の練習なので、ミスをしてはいけないし、あまり厳し過ぎるボールもよくない。相手のレベル感を考慮したうえで、いつもよりも少しだけ工夫したボールを打つようにしてみるといいだろう。
あるいはこんな考え方もある。通常よりもバックサイドに寄って構えて、そこから大きくかつ素早く動いてフォア前へ対応をする。普段よりも負荷をかけるということだ。こういったことを地道に行っていれば、フットワークの訓練になり対応出来る範囲が広がることにつながる。明らかにあなた自身の練習になっているはずだ。
2.サービスレシーブのパターンの練習する
写真:伊藤美誠(スターツ)/撮影:ラリーズ編集部
続いてはあなた自身の練習で、相手が自分よりも実力が低いというケースだ。この場合はどのようなメニューを組めばよいだろうか。基本的にはラリーが続くことは前提にせず、特定のサービスレシーブの練習をするのがおすすめだ。
たとえばあなたが巻き込みサービスのレシーブを苦手としていて、相手が巻き込みサービスを出せるならば、全面に出してもらいミスせずに的確にレシーブをする、といった練習だ。一つのサービスに対して数種類のレシーブが出来るよう、色々と試してみよう。
また相手がショートサービスのつもりで出しても、台からわずかに出てしまうことも想定される。それを見逃さずに攻撃をするということも含めて取り組めば、とても実戦的な練習になるだろう。
あるいは相手がバック面に粒高ラバーを貼っているとする。もし対粒高の練習が必要なければ、フォア側にサービスを出してからの展開の練習にはうってつけといえる。フォア前のショートサービスからの展開はもちろんだが、フォアへロングササービスを出してからの展開なども良いだろう。試合で使うサービスは全て3球目攻撃までセットで作戦を立てて練習をしておこう。
3.コースや技術に制限をかける
写真:戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
最後にゲーム形式の練習をするケースだ。ハンデという形で点数を先に相手に与えるというやり方もあるが、それだと味気ない。私がよくやるのが、技術やコースに制限をかけるというやり方だ。
たとえば返球するコースを相手のバックサイドに限定して、相手のバック対こちらの全面の試合にするというわけだ。
あるいは回り込みを禁じて、すべて両ハンドで対応をするというやり方もある。こちらから攻めることはせずに、ツッツキとブロックのみで戦うというのもよいだろう。自らに足かせをつけた上で戦うことで、より試合としても面白くなるし、あなた自身の技術の向上にもなる。
ペンホルダーで裏面を取り入れ始めたのなら、表面のショートは封じて全て裏面で打つようにすれば、打球感覚や対応力を高めることに繋がるといったわけだ。
まとめ
今回は自分よりも実力が低い相手と練習をするときの心がけについて考えてみた。やはりどんな相手であっても、ただ漫然とボールを打つのではなく、色々考えを巡らせることは非常に大切だ。
単純に「練習相手をしてあげている」と思うのではなく、「同時に自分の練習でもある」という意識で出来るかどうかで、あなた自身の成長スピードは大きく変わってくる。参考になれば幸いである。
文:若槻軸足(卓球ライター)
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