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卓球台の弾みが強い時、弱い時の対策法とは?|頭で勝つ!卓球戦術

卓球ライター若槻軸足がお送りする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は卓球台の個体差というテーマでお伝えしていく。

毎度おなじみのフレーズになりつつあるが、卓球とは非常に繊細なスポーツである。ほんの数ミリの差が勝敗を左右する、ルール上の緻密さに加えて、試合ごとに変化する様々な条件のもとで我々は戦っている。

写真:張本智和(智和企画)/撮影:ラリーズ編集部
写真:張本智和(智和企画)/撮影:ラリーズ編集部

その日の気温や湿度、ラバーやラケットの状態、ボールの種類、会場の広さや明るさなど。そういったごくごく小さな要因が複合的に絡まるなかでプレーをしている。コンピュータプログラムのように、常に全く同じ環境条件に揃えるということは現実的には不可能だ。

そのため、その日その時の環境の違いに敏感になり、変化あるいは違和感といったものをつぶさに感じ取り、判断をする能力も、自身のパフォーマンスをある程度保つために必要なことと言えるだろう。

そんな様々な要因がある中の、今回は卓球台の個体差ということについて考えてみたいと思う。

卓球台の個体差

ラケットの大きさ、ボールの大きさといったものには明確な規格が定められている。もちろん卓球台についても、縦274cm×幅152.5cm×高さ76cm と定められている。ただその規格通りのサイズに作られていても、それぞれの台によってほんのわずかながら個体差というのはある。その差とは何かというと、「台の弾み具合」である。

もちろんラケットのように、カーボンのような特殊素材を入れているわけでもないので、極端に良く弾む・弾まないの差はない。あくまで「あれ、なんかちょっとこの台、弾みが弱いかも?」といった、違和感レベルでのごくごく小さな差である。

そのためプレー中に普段とは違う何かを感じたときに、真っ先に台の弾み具合を疑うという選手はほぼいないだろう。まずは自身の腕やメンタル状態、あるいは相手のボールの性質、そしてその後に湿度や状態などの環境を疑うのが一般的だろうと思われる。

写真:早田ひな(日本生命)/提供:WTT
写真:早田ひな(日本生命)/提供:WTT

具体的に例を見ていこう。サーブを持った場面。いつも通り台から2バウンドに収まるショートサーブを出したつもりが、わずかに長かったようで相手にドライブをかけられてしまった。自分のコントロールミスかと思い、次は短く出そうと注意するが、またしても台から出てしまい、打たれて先手をとられてしまう。

こういったとき自分のコントロールではなく、「台の弾み」が影響しているということは大いに考えられる。この場合は台の弾みがやや強いケースだ。“伸びる台”、“跳ねる台”といった表現をされることがある。

あるいは、いつもならフリックやチキータといった台上の技術を得意としているが、なぜか上手く入らない。それもどうもネットミスが多い。あるいは私のような表ソフトプレイヤーにありがちなのが、どうもなぜだかスマッシュが入らない。

写真:伊藤美誠(スターツ)/提供:WTT
写真:伊藤美誠(スターツ)/提供:WTT

そもそも、スマッシュが打てると判断できるボールが来ない。ネットよりもバウンドが高いボールならば物理的にスマッシュは狙えるのだが、そういうボールがなかなか無いのだ。

これは先程と逆のケースで、卓球台の弾みが弱いというケースになる。弾みが弱い分、相手のサーブも低くまた短くなることから、台上での攻撃的な技術は難しくなる(逆にストップはやりやすくなる)。“止まる台”といった表現をされる。

試合前の練習の際にこれに気付ければよいのだが、自身のフォームや感覚の確認、そして相手の打球の癖や特徴といった情報を集めていれば、台の弾みにまではなかなか意識が及ばないだろう。

卓球台の個体差への対策

弾みが強い場合

まずは通常とは異なる弾み方だということに気付くこと、これが何よりも第一歩である。なんとなく「調子が悪いな~」と思っているだけでは次の対策が打てない。

では実際に気付いたらどうするべきだろうか。まずは通常よりも弾むケースだ。こちらについては、台上で2バウンドする短いボールを出すことが困難になってくる。なのでサーブを持った際はショートサーブではなく、なるべくロングサーブからの展開を多くすることが重要である。

短いサーブにこだわってもあまり良いことはない。逆に、相手がショートサーブを選択してきたのならばチャンスだ。1バウンドで出てくる可能性が高いため、それを前提でレシーブからドライブをかけていく待ちで構えるように心がけよう。

吉村真晴
写真:吉村真晴(TEAM MAHARU)/撮影:ラリーズ編集部

さらにこの場合、ストップをしようとは決して思ってはいけない。長めのボールに対してストップを狙うのはかなり難易度が上がるし、またこちら側の返球も同様に長くなりがちなので、ストップのつもりが1バウンドで出てしまい、先に仕掛けられる、ということも往々にして出てくるだろう。

レシーブ時は台から出てくることを想定にして待つ、そしてストップはしない。これを頭に入れて戦おう。その後のラリーではそれほど神経質になる必要はないだろうが、やや台との距離を取ることを意識するとよいであろう。

弾みが弱い場合

今度は弾みが通常よりも弱いと感じられるケース、いわゆる止まる台だ。こちらの場合は、まずサーブを持ったときはショートサーブ主体が良いだろう。

きっちり台上に2バウンドの長さで収まってくれるので、ここは問題なさそうだ。ただし短いサーブは相手もストップをしやすいということになるので、下回転はなるべく避けて、横回転や上回転系のストップをしにくい回転のサーブを出せると良いだろう。

逆にレシーブの際は、台から出てくることは期待せずにきっちりと台上処理をする意識で待とう。ストップできそうな回転であれば積極的に狙おう。

写真:戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
写真:戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部

注意すべきはラリーになってからだ。ボールがいつもより飛んでこないので、しっかりと距離感を測って微調整することがとても大切になってくる。チャンスボールに見えても、実際には短いボールでミスをする、というのがよくある。特にスマッシュを積極的に狙う選手はかなり注意が必要だ。

あるいは割り切って全てドライブでいく、というように戦い方を大胆に変更するのも手だろう。いずれにせよかなり我慢を強いられることとなるのは避けられないだろう。しっかりと1球ずつボールに対して足を動かすことができるかが、非常に重要になってくる。

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