
【編集長コラム】T.T彩たまと金沢ポート、松平健太が繋いだ両チーム合同イオンモールイベントの裏側
急遽代打の高木和卓選手
当初予定していた選手の体調不調により、2日前に急遽出場が決まった高木和卓(T.T彩たま)選手は控室で、「僕、ビックサーバーじゃないですけど、大丈夫ですかね」と、少し遠慮していた。
始まってみると、ラリー戦に強い高木和選手らしい引き合いで会場を大いに盛り上げた。松平健太選手とは青森山田中・高の先輩・後輩の関係もあって、息もぴったりの掛け合いを見せていた。
写真:高木和卓(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
イベント内容
4部制
30分刻みの4部制とした。なるべく多くのお客さんに触れ合ってもらうためのプログラムだ。
難点は、デモを短時間に4回繰り返す選手側の負担かと思ったが、多くのお客さんが足を止めて見入ってくれる環境に、選手たちはむしろ回を追うたびに動きにキレを増していた。
レシーブチャレンジ
参加者のレベルがまちまちでも、最も自然にプロ選手の技術を体感できるのはレシーブだろうという狙いだった。
4部では突然、松平健太選手が「すべてしゃがみ込みサービスを出します」と宣言し、会場はさらに盛り上がった。
写真:高木和卓(T.T彩たま)のサービスを受ける参加者/撮影:ラリーズ編集部
松平健太選手からの提言
一方で、「9-9からの1試合とかを入れてもいいのでは」と、1部が終わった後、松平選手から私に提言があった。
時間制限もあるため、レシーブチャレンジの様子を見ながら「サービスを2球ともレシーブできた人」などを、私が指名してミニゲームを行うことにした。
卓球の醍醐味は、やはりラリーにある。
ところがゲームをメインにすると時間が読みづらく、参加者に公平に時間配分できない可能性が出てくる。
見ているお客さんにも、飛び入り参加の呼びかけも想定していたが、今回は実施できなかった。
参加してくれた方への、選手との写真撮影等の時間もしっかり確保したかったからだ。
このあたりは、イベント毎に狙いを明確にして実施していけば良いと思った。
写真:盛り上がる会場/提供:ヴィクトリアスポーツ
成功の理由
ヴィクトリア企画担当者の熱意
SNS投稿や撮影機材などに感じられたが、総合スポーツショップならではの“視野の広いスポーツ愛”を感じられた。それでいて競技の専門性を尊重してくれるので、設営や控室など、イベント運営のやりやすい環境を整えてもらった。
今日の社内会議で下記を断言してしまった!
「松平健太のサーブを受けることが出来るのは、野球で例えると松坂大輔のボールを受けることが出来るのと同じかそれ以上だよ︎」💕言い過ぎ?
この貴重な機会にまだエントリー出来ます🏓https://t.co/2ryp35rWXe@kanazawaport @Rallys_pingpong pic.twitter.com/pFrLPoiv3S
— Victoria スポーツショップ ヴィクトリア (@victoriasport00) June 19, 2023
「卓球選手のサービス精神、レベルの高さを実感しました。イベントのお客様も、他競技に比べてマナーや反応がとても良い印象です」
担当者にイベント後に言葉をかけてもらったが、私たちのほうこそ、ホスピタリティにあふれたパートナーとして感謝するところが多かった。
写真:松平健太(金沢ポート)と高木和卓(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
T.T彩たまファンたちの存在
ひときわ温かい拍手や声援を送り、レシーブチャレンジにも参加してもらったのが、T.T彩たまのファンのみなさんだ。
金沢ポート入団後に、松平健太選手の声を直接聞ける場所を用意することは、個人的に、このイベントの副次的な狙いでもあった。
「ありがとう、T.T彩たま戦以外は金沢を応援してるから(笑)」と、口々に声をかけてもらった。
おわりに
実は、金沢ポートのようにホームマッチをすべて地元開催する地域型チームにとっては、今回のようにエリアの離れた埼玉県でのイベント開催は、直接的にはホームマッチのPRや動員に繋がらないのも事実だ。
それでも、やるべきだったし、やってよかった。
小さな輪が少しずつ大きくなっていくことで、人が足を止めてくれる。それを地域で地道に行っていくことの大切さを目の当たりにした。
来月は金沢ポート単独で、石川県小松市のイオンモールでイベントを行う。
新チームには、やるべきことが無限にある。
金沢ポートのホームマッチ開幕は、8月12日金沢市総合体育館である。
写真:漫画『ピンポン』コラボのポスターも/撮影:ラリーズ編集部
取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)
Follow @ssn_supersports