
上田仁「日本には30歳を越えた選手の指導がほとんどない」
自分が体験するために
何を付け足して何を省いてやっていくと、あれ、30超えても意外と疲れないぞ、とかを自分の体で知りたいんです。
ブンデスに誘ってくれた板垣さんも“上田に足りないものがドイツにある”と言ってくれていましたし(笑)。
プロになって、代表入って、自分が病気して、復帰してっていうことも、全て意味があるものなんだと思います。無駄なことはない。
だから自分の年齢が、今の仕事がという立場に捉われず、自分が体験することがまた新しい選択肢を生んでくれると思います。
写真:上田仁/撮影:ラリーズ編集部
思い描いた未来でなくても
だって、結局、今まで自分が思い描いた未来になってないから(笑)。でも、人生でそのときに自分が思うことを、思い切ってできる自分でありたい。
家を売ってドイツに行くこともそういう意味です。
ちょっとカッコつけかもしれないけど。
写真:上田仁/撮影:ラリーズ編集部
Tリーグ5年間の思い出
自分がプロに転向しての第1試合目、相手が荘智淵(チュアンチーユエン・チャイニーズタイペイ) だったんです。強いんですけど僕はわりと相性良くて、そこで勝てたことは、言葉にできないぐらいの喜びと、ああ自分はプロになったんだっていう感慨をとても覚えています。あそこで勝てたから、一年目の自分は自信に満ち溢れていましたね。
写真:2018-2019seasonでの上田仁/撮影:ラリーズ編集部
あの試合を機に休養に入ったんですが、自分がどうしようもできないくらいメンタルがおかしくて、ボロボロに負けました。
やっぱり節目を覚えてますね、自分がリベッツで復帰した試合、T.T彩たまでシングルスで初めて勝ったとき、(松平)健太と十何年ぶりにダブルス組んだとき。
写真:上田仁/撮影:ラリーズ編集部
応援してください、でなく
応援してください、は相手が決めることなんです。自分が決めることじゃないことで物事を進めようとするから頭がこんがらがる。
あの人応援したいなって思ってもらえるような活躍ができるように、頑張りたいなと思います。
それも楽しみにしていただけるような選手でありたいなと思います。
取材を終えて
思い描いた未来でなくても、と上田は穏やかに言った。
どれだけの人間が、思い描いた通りの今日を生きているのだろう。
アスリートは、現実の受け止め方と、それでも新たに一歩踏み出すことの大切さを教えてくれる。
取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集部)
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