
連勝の重圧がかかる松島父が妻につぶやいた日「1回負けたら楽になるんかな」
僕自身は普通の選手だったからこそ
僕は一般的には強い選手だったかもしれませんが、卓球選手のレベルとしては、まあ普通なんですよね。
できない技術も多いし、知らない世界も多いんです。
だからこそ、そのぶん想像して、イメージして、いろんなことを試してきたというのは良かったのかもしれません。
写真:喜び合う松島親子/提供:松島卓司
バックが苦手な父が一流のバックハンドの子どもを育てた方法
でも、うちの子たちって、真反対で、バックが上手じゃないですか。
写真:松島輝空(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
もちろん、指導者の僕に自信がないと子どもが信用できないから、“パパは知ってるよ”っていう感じで見本を見せるんですけど、その前に細かく自分で練習しておいて“ほら、できるやろ、やってみ”って(笑)。
で、また次の日までに、ちょっと違うなって自分でまた考えて試して。
写真:松島美空のバックハンド/撮影:ラリーズ編集部
「早く打て」というひと言にも、打球点、ボール、スイング、足、いろんな捉え方がある。
子どもに伝えるときには特に、伝え方を考えて、それが正しく伝わっているか確認するようになりました。
写真:田阪卓研で指導する松島卓司/撮影:ラリーズ編集部
勝ち続けることのプレッシャー
ただ、僕が迷って指導していても選手が迷うだけなので自分の指導法を自分自身が信じて突き進むだけです。
うちの子供達は他の子供達に比べてスタートラインが早いのでバンビの部に関しては勝ちやすかったかもしれません。
でも、そこから勝ち続けることはやっぱり不安で、プレッシャーはかかります。
優勝した瞬間から、来年のことを考えると鳥肌が立つくらい緊張します、ヤバいヤバいって。
写真:田阪卓研の壁にあった「我慢」の文字/撮影:ラリーズ編集部
でも、親は心臓バクバクです。
一年目優勝したときには“おめでとう”ってみんな言ってくれて、僕らも“よっしゃ!”と思えたのが、優勝を積み重ねるたびに“勝って当たり前”という雰囲気になっていきます。頂くお祝いのお花も減ってきます(笑)。
その中で優勝しないといけないプレッシャーはすごくあります。
いずれは追いつかれる、追い抜かれるかもしれない。そういう不安な気持ちは常にあるからこそ、100%の準備が必要なんです。
写真:松島輝空/撮影:ラリーズ編集部
でも、例えばカデットでも小学5年のときに優勝すると、もう次の年から、どんどん期待されますね(笑)。
写真:松島美空(京都カグヤライズ)/撮影:ラリーズ編集部
そしたら妻が“負けたいの?負けたくないやろ?”って。
僕も“そやな”って。やっぱり、全部負けたくないんですよ。
でも、負けないって、勝つってことよりも、すごく精神的にはしんどいことだと思います。
写真:松島卓司・由美夫婦(田阪卓研)/撮影:ラリーズ編集部
だから、輝空が向かっていく気持ちで挑む国際大会のほうが、楽しみが多いですね。
松島美空「最後までいたらええやん」
松島卓司もまた、真剣で、熱血漢で、心配性で、ストイックな、ひとりの人間だった。
そして、そこに松島家が強くなる理由もあった。
「いつ帰るん? 最後までいたらええやん」
取材の間は、父が少し優しいことを実感する美空ちゃんの声に、休憩中の松島家がみんな笑った。
写真:松島一家揃っての写真/提供:松島卓司
(『なぜ松島家は強くなるのか 独自の「立体的な卓球」の秘密に迫る』 に続く)
取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)
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