
韓国代表の若手ホープが優勝 WTTスターコンテンダーチェンナイ2025で輝きを放った注目選手をピックアップ
マナフ・タッカー(インド・世界ランキング63位)
写真:マナフ・タッカー(インド)/提供:WTT
カマル・アチャンタ、サティアン・グナナセカランなど、高齢化が進んできた男子インド代表において、次世代エースとして期待されてきたマナフ・タッカー(インド)。昨シーズンはWTTフィーダーで2度の3位、ダブルスでは9度の表彰台に立つなど、国際大会で徐々に存在感を増してきていた。
地元開催となった今大会では1回戦で同士討ちを制すると、あれよあれよという間に準々決勝まで勝ち上がり、準々決勝ではパリ五輪韓国代表のイム・ジョンフンに競り勝って、自身初のスターコンテンダー4強入りを果たした。
タッカーには強烈な3球目攻撃や切れたサービスといった攻撃面での特徴は少ない。しかし、前~中陣に張り付いてブロックとカウンターでとことん粘り、相手のミスを誘うプレーのレベルは世界トップレベルの選手にも十分に通用する。
今大会では、地元の声援を背に縦横無尽に動き回ったタッカー。その活躍は、2020年代に入って輝きを失った男子インド代表の希望の光となるだろう。
男子シングルス勝ち上がり
1回戦:マナフ・タッカー(インド)3-0 Divyansh SRIVASTAVA(インド)
2回戦:マナフ・タッカー(インド)3-1 フィン・ルー(オーストラリア)
3回戦:マナフ・タッカー(インド)3-2 アンドレ・ベルテルスマイヤー(ドイツ)
準々決勝:マナフ・タッカー(インド)3-2 イム・ジョンフン(韓国)
準決勝:マナフ・タッカー(インド)1-3 チボー・ポレ(フランス)
フラビアン・コットン(フランス・世界ランキング108位)
写真:フラビアン・コットン(フランス)/提供:WTT
昨年の世界ユースにも出場したフラビアン・コットン(フランス)は、パリ五輪男子シングルスで銅メダルを獲得したフェリックス・ルブラン(フランス)と同い年の17歳。これまではルブランの陰に隠れていたが、昨年のWTTフィーダーパナギュリシテでシニア大会初の表彰台に登ると、今大会でもそのポテンシャルを如何なく発揮した。
ハーフロングのサービスからの3球目攻撃やチキータからのバック対バックの展開など、プレースタイルはいたってオーソドックスな攻撃選手のそれではある。しかし、若手選手らしい思い切りのいいスイングは強みで、当たり始めたら止まらない。
3回戦で松島輝空(木下グループ)との打撃戦を制すると、続く準決勝ではジョナタン・グロート(デンマーク)を完封。準決勝では優勝したオ・ジュンソン(韓国)に敗れたものの、大会を通じてラリーの安定感やコース取りが光っていた。
オ・ジュンソン(韓国・世界ランキング36位)
写真:オ・ジュンソン(韓国)/提供:WTT
五輪選手の父を持ち、韓国代表若手のホープと言われてきたオ・ジュンソン。これまでもWTTで上位進出はしていたものの、シニアの大会のシングルスでは優勝できていなかった。
そんな中で臨んだ今大会では、オマー・アサール(エジプト)やプツァルといった経験豊富なベテラン選手、コットン、ポレといった今大会快進撃を見せた同世代の選手を撃破し、堂々の優勝を果たした。
オ・ジュンソンの卓球は、中後陣での引き合いや高速カウンターといった見栄えのするプレーは少ない。しかし、サービスの配球やコース取り、回転をかけてボールを台に収める能力に秀でており、18歳にして既にベテラン選手のような風格すら感じられる。
特に決勝のポレ戦では、先に3ゲームを先取される苦しい展開の中、ポレの攻撃を落ち着いて処理しながらも要所要所でしっかりと攻め切り、最後は引き合いを制して逆転勝利。波乱の多かった今大会において、内容結果ともに文句なしのチャンピオンであった。
文:和田遥樹(ラリーズ編集部)
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