
今月(7月)開かれる「全農杯2022年全日本卓球選手権大会」を前に、これまでの回では、ナショナルチームの指導にあたる藤井寛子さんに、国内トップレベルの小学生について聞いてきた。今回は、活躍が期待される2世、国内のトップレベルの子どもたちにはどういう素質や特長があるのかを聞く。(取材・文/二株麻依)
2世も続々と頭角を現す
――お父さんお母さんの影響で卓球が上手い子どもたちも多いですよね。
藤井寛子(以下、藤井):バンビの部(小学1、2年生)は、実業団の全国大会や世界選手権にも出た選手のお子さんがすごく多くて、楽しみです。例えば、木方菜々美(きほう・ななみ)ちゃん。お父さんは明治大、協和発酵キリンで活躍されていた木方慎之介(きほう・しんのすけ)さんで、お母さんの如美(なおみ)さんは、淑徳大、健勝苑で活躍した選手です。娘の菜々美ちゃんは左利きで、これからの飛躍に期待しています。
あとは平鈴莉空(たいら・りりあ)ちゃん。世界選手権に出場経験がある平亮太(たいら・りょうた)さんと樋浦令子(ひうら・れいこ)さんのお子さん。まだ小学1年生ですが、すごく上手ですね。今、バンビは強い子が多くて、この子たちの活躍がより楽しみです。
小学生で国内トップレベルになる選手は
――藤井さんは小学生女子のナショナルチームを指導されていますが、小学生で、全国で勝っていける子たちって、どんな素質・特長があると思いますか。
藤井:やっぱりサービスが上手なのと、レシーブ。これで決まることも多いので、その感覚に長けている子が多いですね。それから、サービスを出してチャンスが来たときに、しっかり打球のタイミングを待ってから打てること。チャンスをちゃんと仕留められることです。これ本当に難しいんです。子どもたちの指導をしていると、そこにたどり着くまでがすごく長くて。サービスのあと、体勢が崩れずにパンって1本打てるか打てないかが大きい差で、そこからさらに上手な子はラリーになっていきます。まずは、サービスレシーブでどれだけチャンスメイクができるかということが大事だと思います。
――どんな練習でできるようになるのでしょうか。
藤井:実践的な練習です。小学生はまだ背が低いので、サービスのコースを、相手が届かないぐらい手前に小さく出すとか、両サイドを狙って出すとか。1本出せるだけでもそれがチャンスになります。小学生から強い子たちはこうした試合を想定した練習を多くやっていると思いますね。
強い子は2歳からラケットを握る
――強い子たちは、だいぶ早い時期から習っているんでしょうか。
藤井:そうですね、小学生で強い子たちはみんなちっちゃいころからやっていますね。5歳とか。松島美空ちゃんは2歳とかだった気がします。大人と同じ卓球台ではできないので、子ども用の10センチ低い台を使います。バンビの部は低い台で試合できるんですよ。
それである程度うまくなったら、大人と同じ高さでやって、試合前だけ低い台で調整しますね。教える方は腰が痛くて大変です。(続く)
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■プロフィール
藤井寛子(ふじい・ひろこ)
1982年生まれ。奈良県出身。両親が主宰する卓球クラブで卓球を始める。四天王寺高等学校、淑徳大学を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。全日本選手権女子ダブルスで5回の優勝、シングルスでは3回の準優勝の経験がある。現在はYOYO TAKKYU西日暮里店のコーチとして活躍。オリンピックなどのテレビ中継で、解説者を務める。
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