【卓球】チームの末っ子も大奮闘 全国ホープス

櫻井亜蓮(大宗クラブ),鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)

全国一の小学生チームを決める「ロート製薬杯 第40回全国ホープス卓球大会(全国ホープス)」は、団体戦形式だ。各地区の予選を勝ち抜いたクラブ単位のチームが出場するが、選手は小学6年生以下の3~4人で編成される。チームには6年生に混ざって参加している下級生も多くみられるが、子どもたちにとっての1歳差は、体格、技術習得の面でも大きな差になる。今大会での最年少参加者は5歳だった。チームの“末っ子”たちがどんな戦いぶりを見せたのか。取材した。(取材・文/二株麻依)

ムードメーカー的”末っ子” 小学1年生 櫻井亜蓮

櫻井亜蓮(大宗クラブ)
写真:櫻井亜蓮(大宗クラブ)

石川県代表の大宗クラブは、6年生から1年生の4人で編成されたチームだ。
チームの”末っ子”は、ダブルスで活躍した小学1年生、櫻井亜蓮。およそ30人が在籍するクラブの選抜メンバーである。

櫻井亜蓮(大宗クラブ),岡部獅央(大宗クラブ)
写真:櫻井亜蓮(大宗クラブ)と岡部獅央(大宗クラブ/写真右)

4年生の岡部獅央とペアを組み、第1ステージリーグ戦では、山口県代表のはやぶさクラブのペアと対戦した。櫻井が繋ぎ、岡部が打っていく戦法で、2-0で圧勝した。

櫻井亜蓮(大宗クラブ),監督の渡会麻衣子
写真:渡会麻衣子監督(写真左)と櫻井亜蓮(大宗クラブ)

この後チームは2-3で勝利を逃すことなり、第2ステージトーナメント戦へは進めなかったが、監督の渡会麻衣子さんは、こう評価している。

「櫻井くんは、とにかく明るくて元気があってムードメーカー的存在です。これからも元気で素直な気持ちを大事に育ってほしい」

未就学児の指導にもあたる渡会さんに、チームづくりの秘訣を聞くと、
「上の子が下の子を引っ張るように教えている。子供たちの中で気づいてなんでもできるようになってほしくて。それが子供たちの成長に繋がると思っています」

練習は、お互いに球出しをしてみんなで教えあって強くなるスタイルだ。

櫻井亜蓮(大宗クラブ),岡部獅央(大宗クラブ)
写真:櫻井亜蓮(大宗クラブ)と岡部獅央(大宗クラブ/写真右)

そんなチームの”末っ子”の夢は「ダブルスで日本一」。力強く語ってくれた。

(次のページへ続く)「大会最年少はポーカーフィスな”末っ子” 5歳 鈴木楓吹喜」

大会最年少はポーカーフィスな”末っ子” 5歳 鈴木楓吹喜

鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)
写真:鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)

青森県代表、青森TLクラブ所属の鈴木楓吹喜は大会最年少の5歳だ。卓球をはじめて4ヶ月での出場となった。他の出場選手に比べまだまだ小柄で、背中はゼッケンですっぽり隠れるほど小さく、卓球台はちょうど肩の高さだ。

鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)
写真:鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)

小柄ではあるものの、戦いぶりは堂々たるもので、終始ポーカーフェイスなのだ。
年齢も身長も随分上の相手に、サーブで翻弄されたり、フォアバックの両コースに振られたりと苦戦していた印象だが、鈴木は淡々と自分のペースで試合を運んだ。

鈴木楓吹喜(青森TLクラブ), 櫻庭鈴佳(青森TLクラブ),鈴木友徳監督,高谷瑠菜(青森TLクラブ)
鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)がセット間にアドバイスをもらう様子。
奥には左から櫻庭鈴佳(青森TLクラブ),鈴木友徳監督,高谷瑠菜(青森TLクラブ)

チームは第1ステージリーグ戦で1勝するも、第2ステージには届かなかった。初出場の鈴木は残念ながら勝ち星をあげることはできなかったが、試合後に話を聞いてみると、「緊張したけど、楽しかった」と答えてくれた。

そんな鈴木のことを、父でありチームの監督でもある鈴木友徳さんは、
「初めて出た大会で泣かないでできたことが良かった。卓球を通して、礼儀正しい子に育ってほしい」と話してくれた。

鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)
写真:鈴木楓吹喜(青森TLクラブ)

鈴木にはあと7回の全国ホープス出場チャンスがある。
小さな背中に大きな期待がかかる。

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写真提供:Rallys