守田英正,サッカー,サッカーワールドカップ

森保ジャパンの“潤滑油”守田英正の「屋台骨としての魅力」

写真:守田英正(Photo by DeFodi Images / Getty Images)

(大会直前のため再掲載)

2022年11月20日に開幕するカタール・ワールドカップで日本はE組に入り、23日にドイツ、27日にコスタリカ、12月2日にスペインとそれぞれ対戦する。世界の強豪相手に戦いを挑むなかで、サムライブルーの一員として本大会での活躍が期待される選手にスポットを当てて、そのキャリアやプレーについて振り返っていきたい。今回紹介するのは今季から移籍したポルトガルの名門スポルティングで飛躍のシーズンを過ごし、森保ジャパンでも不可欠な“中盤のキーマン”として期待がかかる守田英正だ。(文・井本佳孝)

流経大から名門川崎でレギュラーをつかむ

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守田は1995年生まれの27歳で大阪府高槻市出身。金光大阪高等学校から名門・流通経済大学へ進むと、4年時には関東大学選抜やユニバーシアード日本代表に選出されるなどプロからも注目を集める選手に成長する。そして2017年夏に川崎フロンターレ入団を決めると、2018年のプロ1年目から試合に出場し、J屈指のタレント軍団である川崎でレギュラーに定着する。その後も順調にプロでのキャリアを重ねると、2020年シーズンには2位のガンバ大阪に勝点18の大差をつけてのリーグ制覇に貢献し、自身初のベストイレブンに選出された。

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2021年冬に挑戦の場を欧州に求めた守田は、ポルトガル1部のCDサンタ・クララに加入。すると、シーズン途中の移籍ながら中盤の一角としてレギュラーに定着し、翌2021-22シーズンも主力としてプレー。ポルトガルリーグでも有数のMFとして名を高めた守田は2022年夏の移籍市場でクリスティアーノ・ロナウド(現マンチェスター・ユナイテッド)を輩出した名門スポルティングへとステップアップを果たし、チャンピオンズ・リーグ(CL)への出場権も得た。
W杯イヤーでの挑戦となったスポルティングで、守田はプレシーズンから安定感のあるプレーでチームの信頼をつかんだ。リーグ開幕戦のSCブラガ戦に先発出場するなど主力を担った。CLでも日本代表の同僚鎌田大地を擁するフランクフルトやプレミアリーグのトッテナム相手に好プレーを披露するなど新天地にフィット。川崎、サンタ・クララ、スポルティングとステージを変えた1年目からそれぞれ試合出場を重ね、選手としての引き出しを増やし、スケールアップを重ねている。

海外移籍で進化した攻守における万能性

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(Photo by efks)

守田の選手としての特徴は、中盤の攻守における万能性にある。守備では危機察知能力が高く、チームにとって危険な場面と見るや、フィジカルの強さも活かしチャンスを未然に防ぐ。また攻撃では川崎時代から定評のあったボールキープ力と精度の高い縦パスでチームの攻撃のスイッチを入れることができる。アンカー、2ボランチ、インサイドハーフと中盤ならどこでも高レベルでこなすユーティリティーさも魅力で、日本代表のアジア最終予選では[4-3-3]のインサイドハーフとして台頭し、所属のスポルティングや9月の欧州遠征では2ボランチの一角としてプレーしている。
そんな守田はかねてから自分の得意なポジションを中盤の底であるアンカーと公言している。世界に目を移すと、2015-16シーズンから2017-18シーズンまでのレアル・マドリードのCL3連覇を中盤の底で支え、ブラジル代表の主力でもあるカゼミロ(現マンチェスター・ユナイテッド)はアンカーの教科書と呼べる選手。中盤でバランスをとりながら前に出ての力強いプレッシングでボールを奪取し、味方につなげる。派手なプレースタイルではないが、チーム全体を機能させる“潤滑油”としてこのポジションの重要性は高い。
日本のJリーグ時代に比べ、守田が海外移籍後に飛躍的に変化したのが攻撃面だ。中盤に留まるだけでなくタイミングを見て前線にも顔を出し、ゴールやアシストといった数字に現れるプレーが増加した。サンタ・クララからスポルティング、そして日本代表でも主力を担う中でアップデートした姿を年々見せており、攻守においてより短所の少ないプレーヤーへと進化を遂げている。


(次のページ「遠藤と組むダブルボランチに期待」へ続く)

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