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W杯前哨戦の4試合を総括、収穫より課題が多く見つかった森保ジャパン<サッカー国際親善試合、キリンカップ>

写真:Koji Watanabe/Getty Images Sport

(大会直前のため再掲載)

日本代表はパラグアイ、ブラジルと国際親善試合で、ガーナ、チュニジアとキリンカップで戦った。2勝2敗に終わった森保ジャパンの6月シリーズの戦いぶりをどう評価するのか。この4試合の戦いぶりを振り返りながら、11月にカタールワールドカップ(W杯)を戦うサムライブルーの今後に向けての収穫や課題を検証していきたい。(文・井本佳孝)

伊藤は左SBの新たなオプションに

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写真:伊藤洋輝/提供:Visual China Group

日本はアジア最終予選を戦ったメンバーを中心としつつも、これまでの控え組や出場機会をうかがう選手を組み込み、チーム全体の底上げにトライした。そのなかでも、初招集ながら3試合にフル出場を果たした伊藤洋輝は今回の収穫だ。昨季ジュビロ磐田からシュツットガルトに移籍しレギュラーに定着、遠藤航とともにチームの残留に貢献した23歳は左サイドバック、左センターバックとしてプレーし印象的なパフォーマンスを披露した。

左足の精度の高いフィードやサイドからのクロス、上背を活かした空中戦や相手中盤にボールがわたった際の厳しいプレッシングなど、ブンデスリーガで1年間戦い抜いた自信をそのまま代表の舞台で体現した。失点に絡むシーンも見受けられたものの、十分に戦力として計算が立つことを日本の地で証明してみせた。大ベテランに差し掛かった長友佑都と中山雄太を併用して乗り切ったアジア最終予選だが、どちらもレギュラー当確とは言い切れない現状で伊藤の存在は新たなオプションとなるだろう。

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写真:鎌田大地/提供:Masashi Hara

ほかにも、初戦のパラグアイ戦で躍動した鎌田大地やノーゴールに終わったもののアグレッシブなプレーぶりが目を引いた堂安律、ガーナ相手に待望の日本代表初ゴールを奪った久保建英など前線のタレントがアピール合戦を繰り広げた。ドイツ、コスタリカ、スペインと戦う11月のW杯本大会において、攻撃のオプション、またチームを“対世界”へ再構築する意味でも、彼らを効果的にチームに組み込んでいけるかは森保一監督に課された命題の一つといえるだろう。

W杯出場国相手に見えなかった攻撃の形

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写真:伊東純也/提供:Etsuo Hara

その一方で多くの課題も露呈した。世界へ向けた試金石となったブラジル戦はFIFAランキング1位の相手に日本の現在地が試された。ネイマールのPKにより0-1でスコア上は惜敗だったものの、攻撃面では相手GKアリソンを脅かすシーンはほぼ見られず。伊東純也や三笘薫といったアジア相手には個人で打開を図れた選手たちも、世界レベルの相手には工夫が求められた。ドイツ、スペインと戦う本大会でも同様のケースは想定され、守備に奔走され攻撃にパワーを割きづらい状況での戦い方は明確な課題となって現れた。

また、キリンカップの決勝戦となったFIFAランキング35位のチュニジア戦は0-3とまさかの完敗。ブラジル戦とは打って変わり、前半から右サイドの伊東を中心としたサイド攻撃でチャンスは作ったものの決め切ることができない。個人の単独突破やアイデアに依存しチームとしてのゴールを奪う形が見られなかった。本大会に出場するチュニジア相手にチームを成熟させられなかったことはブラジル戦以上のダメージかもしれない。

さらに、頼みの綱である守備では主将の吉田麻也を中心にミスから失点を重ねた。故障明けでプレー機会のなかった冨安健洋はいるものの、DFラインのレギュラーは横一線で考えるべきかもしれない。そのなかでは途中出場も含め全試合に出場した板倉滉の存在はカギを握る。吉田がサンプドリアで出場機会を大幅に減らしたのに対し、板倉はフローニンヘンからシャルケと移籍先を変えたなかでもレギュラーとしてプレーした。ブラジル戦でもネイマールをはじめとした世界レベルのタレント相手に奮闘した姿が見られ、今回のパフォーマンスは日本代表のなかでも印象的なものだったといえる。

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