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久保、堂安…注目選手たちは新天地で飛躍を遂げるか?注目の移籍先を解説

中山雄太(ズヴォレ→ハダーズフィールド)

アジア最終予選では長友佑都と左SBで併用され、途中出場から貴重な役割を担った中山。3シーズン半プレーしたオランダ・エールディヴィジのズヴォレを契約満了で退団し、新天地に選んだのはイングランドだ。2部にあたるチャンピオンシップのハダースフィールドへの移籍を決めた。左SB、CB、ボランチとさまざまなポジションでのプレーが可能な守備のマルチロールはハダースフィールドにおいても、その柔軟性を活かして、複数ポジションでの起用が考えられる。

日本代表では長年左サイドに君臨してきた長友に加え、ドイツでの活躍が評価されて6月にA代表デビューを果たした伊藤洋輝という新たなライバルが現れた。熾烈な左SBのポジション争いにおかれているが、1つのポジションにこだわらずにプレーが可能で、左足での正確なパス能力を武器に最終ラインに安定感をもたらす中山の存在は貴重だ。1部に比べてより激しさが求められるイングランド2部でのプレーを経験し、よりフィジカル、スピードに対応した新たな姿をみせられるか。11月の代表メンバー入り、また本大会の出場機会を窺う中山にとって、勝負をかけた新天地での戦いが始まる。

久保建英(レアル ・マドリード→レアル ・ソシエダード)

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Photo:Masashi Hara

スペインの名門バルセロナで幼少期を過ごし、日本代表の未来を担う“至宝”として期待がかけられてきた久保。2019年からスペインの地に渡り、マジョルカ、ビジャレアル・ヘタフェといったラ・リーガのチームでのプレーを経験してきた。21歳を迎えた中でレフティーが新たな活躍の場を求めたのがレアル・ソシエダードで、レアル・マドリードからの完全移籍の形で勝負をかけることを決めた。

若手の育成に定評のある新天地で久保は得意の右サイドや中央で、ポジション争いに挑む。ここ数年の久保はビジャレアルでポジション争いに敗れたり、マジョルカやヘタフェといった残留争いにおかれたチームで自身の特徴をなかなか出せない状況が続くなど、足踏み状態が続いてきた。ラ・リーガの中でも攻撃的なスタイルが特徴で、ダビド・シルバやミケル・オヤルサバルといった名手もプレーするソシエダは久保にとって理想的と言えるチームだ。“言い訳”の許されない環境で日本の至宝がついに華開くのか。その結果如何では11月のW杯メンバー入りも、自身が身を置くスペインとの戦いを控えた本大会での働きも期待がかかって来るだろう。

伊東純也(KRCヘンク→スタッド・ランス)

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photo:Etsuo Hara

右ウイングのレギュラーとしてW杯アジア最終予選で4試合連続ゴールを記録するなど、森保ジャパンの主力としてW杯で活躍が期待される伊東純也。近年去就が注目されていたウインガーが今夏ついに移籍を決断した。柏レイソルから2019年冬に移籍後、3年半にわたりプレーしたベルギーのヘンクから新天地に選んだのはフランス・リーグ・アン。7月30日に1000万ユーロ(約14億円)もの移籍金でスタッド・ランスに加入することが発表された。

ヘンクでは右サイドからドリブルで仕掛ける得意の形だけでなく、中に切り込んでのシュートや周りとのコンビネーションに磨きをかけ、プレーの幅を大きく広げた。また、2020-21シーズンではベストイレブンに選ばれ、昨シーズンはベルギーリーグでアシスト王とリーグを代表する選手となった。日本代表でも崩しのキーマンとしてW杯で期待がかかる伊東が、フィジカルやスピードが増すフランスでさらに飛躍できるのか。11月の本大会に向けて日本のカギを握るキーマンの挑戦に期待大だ。

初のW杯へ勝負をかける東京五輪世代

堂安、三笘、中山、久保の4人はいずれも昨夏の東京五輪メンバーであり、A代表としてカタールW杯での飛躍が期待される中で、新たな環境を求めて移籍し、伊東はベルギーで自分の存在価値を高め、さらなる飛躍を求めフランス移籍を決めた。伊東を除く4人は現状はレギュラーの座を窺う立場ではあるが、ここから数カ月の活躍と成長によっては当然メンバー入りだけでなく、本大会での先発起用も考えられる実力者たちだ。選ばれれば自身初のW杯となるだけに、そのチャンスを掴み取るために期するものはあるはずで、日本の若武者たちが新天地で見せる活躍ぶりに期待大だ。


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