
フットサル日本代表は10月17日と19日、国際親善試合でフットサルブラジル代表と対戦。第1戦は0-4、第2戦は2-3で敗れ、歴史的初勝利はおあずけに。健介ジャパンにとって、2024年8月の始動以来、初の国内での試合は厳しい結果となった。
清水和也は高橋健介監督の下、9月の代表活動から石田健太郎とともに“ダブルキャプテン”に就任。清水はエースとしての看板だけでなく、もう一つの重責を背負った。新たな時代を切り開くためのステップとして臨んだブラジル戦。勝利こそ得られなかったものの、手応えとともに世界との差を痛感し、チームと自身の覚悟を再確認する一戦となった。
第1戦を終えた直後、清水に話を聞いた。
取材=北健一郎
編集=柴山秀之
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目指すところにはたくさんのライバルがいる

──試合の振り返りをお願いします。
試合の入りで不運な失点をしてから、日本にも少なからずチャンスがあったと思いますが、決め切る力や相手に脅威を与えられたかというと、疑問点が残る試合でした。
相手のファーストセットと対峙するにあたって、最低限失点ゼロに抑えることが自分たちのセットの役割でした。それでも失点を重ねてしまったことは、ゲームを大きく壊した一番の原因なのかなと率直に思っています。
──ポジティブに捉えられた点はありましたか?
いいところもあったとは思います。でも、それ以上にゼロで抑える。もしくは1点取られたとしてもそこで崩れないセットとしての完成度が足りないと感じました。個々のクオリティで解決していくしかない部分でもあるので、そういった意味では大きな課題を得ました。
自分としても崩れてしまったことは残念ですし、チームに対して申し訳なかったと思っています。
──守備から入った試合だと思いますが、評価できる点、通用しなかった点をそれぞれ教えてください。
守備に関しては、前からプレスをかけてストレスを与え、第2ピリオドはボールを奪ってシュートまで持ちこんだり、セットプレーの獲得につなげたことは、評価できると思います。
ただ、押し込まれた時間帯にもう少し我慢をするべき場面もありました。僕らのカウンター時にロスして、第2、第3のカウンターを引き起こしてしまったことに関しては。攻撃の終わり方をチームとして考える必要があります。
第2ピリオドの立ち上がりの失点も1対1の部分で不運なのかもしれないですが、相手はそれを逃しません。タレントのいるアタッカー相手には、セットとして助ける動きや、4人が連動して守備しなければなりません。今日の試合で経験できたので次に生かして、もう1個、2個ギアを上げていきたいです。
──攻撃はどうでしょうか?
練習でできていた部分を1次攻撃と表現すると、2次、3次攻撃を想定しないと厚い壁を崩せないなと実感しました。個々のタレントに頼りすぎず、連動し続ける動きやセットとしての流動性を意識して、シュートに持っていく必要があると考えています。
一方でシュートで終えたり、セットプレーを獲得できたことは手応えはあります。あとはやりきる力や枠に入れる精度を高めることで結果につながると思うので、次の試合で何が効くのかを精査して、修正したいです。
──次の試合まで中1日になりますが、修正すべき部分はどこでしょうか。
長い目で見れば、攻撃の厚さをもっと出していかなければなりません。中一日なので、改善できる部分は、メンタリティや最後の1歩が出るかどうかといった点で、そこが勝負の明暗をわけると思っています。不運な形もありましたけど、2失点は改善できるところでもあるので、しっかりと修正したいです。
──チームとしても清水選手としても得点を挙げることはできませんでした。ゴールを狙っている意識は存分に感じましたが、簡単ではなかったですか?
シュートは打てましたが、自分たちの打ちたいタイミングで打たせてもらえず、ポジショニングやブロックのかけ方など細かい部分を突き詰めていかなきゃいけないですね。
先ほどもお話ししましたが、1次攻撃だけではなく2次、3次攻撃までイメージして動いていかないと、このレベルはなかなか崩せない印象があります。セットプレーでも2個、3個違った動きを連続で入れていくことが必要なのかなと感じました。
──Fリーグのレベルは毎年上がっているという話はありますが、0-4で敗戦という結果に終わりました。この現状をどう思いますか?
一昔前よりは外国籍選手が減っていますが、全体のレベルは間違いなく上がっていると思います。でも、国内のレベルが上がっているだけで満足すると“井の中の蛙”になってしまうので、世界との差を経験することは大事です。
今日の試合で各々が感じたことを消化して、切磋琢磨していくことが大切だと思います。
──今のFリーグの積み上げをさらに重ねればその差は縮まるのか、それとも抜本的な変革が必要なんでしょうか?
大きく変えることは難しいので、それぞれが常に代表での戦いを見据えてリーグ戦を戦うことがすべてなのかなと思います。こういったレベルのチームと戦うためには、何が必要なのかは明確になったので、思いをもってやることが一番大事だと考えています。
──清水選手はスペインから戻り、今はFリーグでプレーしています。代表戦を通じて高いレベルに触れることで、また海外でプレーしたいという思いは出てきますか?
常日頃から日本でというより、世界での評価を軸に自分の考えを置いているつもりです。
どの代表を見てもいいピヴォがそろっているチームは強いですし、スコアを動かせるかどうかの差は痛感させられました。日本もその領域にいかなければならないと思っています。その思いを持ち続けることが自分の中での宿命なので、向き合いながらやっていくのみなのかな、と。
──クラブと代表の試合で違うものはありますか?
スペインにいた時と比べても、彼らの目の色は全然違いました。改めてクラブと代表は違うんだと感じましたし、彼らも国を背負う重みやプライドをもって戦っている。この感覚を感じるために、20歳の時からやってきましたし、常に目指すところにはたくさんのライバルがいると再認識しました。
──“日本のエース”と言われて長くなりますが、清水選手の小さい頃にイメージしていたエース像との差は感じていますか?
自分は18歳から代表に入っていますが、歴代のエースと自分は違った部分があると感じています。スコアを求められるだけではなく、ディフェンスやチームのことを考えながらもプレーしているので、時代とともに役割も変わってくるのかなと思っています。
アジアの中では点を取れているかもしれませんが、世界的に見たらまだまだなので受け止めていかなきゃいけないですし、エースはチームを勝利に導く存在です。自分はまだその領域に達していないので、みなさんの期待を背負いながらも、自分らしさを前面に出して、貪欲にゴールを狙い、エースにふさわしいと思ってもらえるようになりたいです。
──明後日の試合では得点を期待しているファンも多いと思います。
今日も狙ってはいたものの、こじ開けられなかったことは反省点です。もっともっと貪欲にゴールに向かっていくことが彼らの脅威になると思うので、なんとしても勢いをつけられるようにプレーしたいと思っています。

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