
「どんな形であれチームのために」鬼塚祥慶が引き継ぎ、貫いてきた“常勝軍団”の一員としての姿勢【全日本選手権 準決勝|インタビュー/名古屋】
【第30回全日本選手権|準決勝】しながわシティ 4-2 名古屋オーシャンズ(3月21日/駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場)
3月21日、駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場でJFA 第30回全日本フットサル選手権大会の準決勝が行われ、しながわシティと名古屋オーシャンズが対戦。名古屋は2-4で敗戦した。
前日の20日に行われた、準々決勝。名古屋はバサジィ大分を相手に苦戦を強いられ、第1ピリオド終了間際に失点を喫した。大分ベンチとサポーター席からは歓喜の声があふれ会場の雰囲気がややオレンジに傾きかけた瞬間、交代でピッチに立った鬼塚祥慶が間髪を入れずにネットを揺らし、もう一度名古屋サイドにゲームを引き寄せた。
2022-2023シーズンにフウガドールすみだでの修行期間を終え名古屋へと復帰した鬼塚は、し烈なポジション争いに揉まれながら、少しずつ試合の出場時間を伸ばしてきた。
主力に食い込む道のりは遠くとも、鬼塚は腐ることなくベンチから声を出し仲間を鼓舞した。また、得意なスペイン語を活かして通訳を兼任し、トレーニングや試合中のコミュニケーションに欠かせない繋ぎ目としてもチームをサポート。そして何より、窮地の場面でピッチに送り出された時には、これまで幾度となく「残り数秒弾」を決め、名古屋の“勝負強さ”を体現してきた。
しかし、伝えられたのは今シーズン限りでの契約満了。
悔しさを飲み込み臨んだ全日本選手権、名古屋のエンブレムをつけて戦う最後の大会を「3位」で終えた鬼塚が、その胸の内を語った。
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やってきたことは後悔していない
──まず、今日の試合を振り返っていただけますか。
内容も結果も、シーズンを象徴する試合でした。こういうスコアになるのは、正直驚きはないし、多くの方は「今日はしながわのゲームだろう」と見ていたと思います。それを覆すことができずに、この結果になってしまいました。
今シーズン、チームとして戦えなかったことは間違いなく問題があって、それに気づけなかったのか、気づいていても向き合わなかったのか、もしくは気づいてた選手も周りに求めきれなかったのか。何が一番大きいのかは正直わからないですが、そういった部分があったのではないかと考えています。昨シーズンあれだけ苦しんでいたのにも関わらず、今シーズンこうなってしまったのは自分たちの責任です。現実を受け止めて、クラブやチームとしても何かを大きく変えていかなければいけないと思います。
──昨日の準々決勝も含め、個人としては出場時間も少ないながらも、大事なところで試合を動かすゴールを決めてきました。だからこそ、もどかしさや悔しさが募るシーズンだったのでは、と。
今シーズンは監督も変わったので、1からのスタートになり、自分も信頼を勝ち取らなければならないという気持ちで臨んでいました。でも、なかなかうまく関係性を築けず、最終的には出場時間も限られてしまいました。
ゴールについては運が良かったものもあるかもしれませんが、いつ出てもいいようにずっと準備をしてきましたし、「自分が決めるぞ」と強い気持ちもってピッチに立っていました。それを何度か結果につなげられたことはよかったと思います。
ただ、結局今日はチャンスをつくれなかったですし、長く試合に使ってもらえない信頼関係しか築けなかった自分は、結局そういうレベルなのかなって。そんなこと思いたくはないですけど、そう思うしかなかったですね。
それでも、どんな形であれチームのために貢献できるよう努力してきましたし、試合に出るためにやってきたことには後悔していません。
名古屋の選手は、「ありがたさ」を今一度理解しなければいけない
──キャプテンの吉川選手に話を聞いた際に「ベンチにいる選手たちは、“なぜそこまで”というくらいチームのため、勝つために何ができるのかを考えてくれていた」と話していました。その中にはきっと、監督の通訳を担当し仲間をサポートし続けていた鬼塚選手も入っているのではないかなと思うのですが……。
「それしかできない」というのもおかしいですが、ピッチで貢献できない以上は、やれることはそれしかないのかなと思っていました。
試合に出られずにふてくされているような選手がいたら、チーム全体の士気はどんどん下がってしまいますし、本来サブがずっと続くような選手ではない先輩もベンチから声を出している姿を見ると、自分がやらないわけにはいかないという気持ちでした。
それに、過去には西谷良介さん(2022-2023シーズンに現役引退)が最後の1年、なかなか試合に出れずにずっと苦しみながら、それでもチームのためにやることをやっていたのを見てきました。もう少し遡れば、星翔太選手(フウガドールすみだ)でさえ、試合に出られずにいた時期がありましたが、それでも何かのせいにせず、自分自身に真摯に向き合い続けて、チームのためにやることをやっていました。そういう選手たちのいいところは盗んで、自分のものにしないといけないと思っていたし、「その姿勢を受け継いでいかないといけない」という思いでした。
結果こうして負けてしまいましたけど、今の自分がやれることは精一杯やれたと思うし、先ほども言ったように後悔はしていません。
──鬼塚選手も含めほかの出場時間が短い選手も、ほかのクラブにいけば主力として活躍できる選手ばかりだと思います。それでも、この名古屋の選手として戦うことの意義や得られたものは?
やはり「勝たないといけない」というプレッシャーをここまで感じられることや、優勝という得なければいけない結果から逆算して、日々のトレーニングや生活ができること、さらにそれを最高の環境で取り組めること……。
その全てを含めて、「プロアスリート」としてどういう振る舞いや取り組みをしなければいけないのかというのは、他のクラブでは経験できないことです。
名古屋にいる選手は、そのありがたさを今一度理解してプレーをしなければいけないと、僕は思っています。
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