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「問題はフィジカル面の状態」STVV加入の香川真司に現地メディアは“期待”と“疑い”。「商業面ではヒット」との見方も

欧州でのプレー継続を選んだ香川は、再び輝きを放てるだろうか。(C)STVV
1月10日、ベルギーのシント=トロイデン(STVV)は公式サイトにおいて、先月ギリシャのPAOKと契約解除したばかりのMF香川真司と基本合意に達したことを発表。今後、メディカルチェックを経て正式契約が結ばれるという。

先日、FW鈴木優磨が退団して古巣の鹿島アントラーズに復帰したことで話題になったSTVVは、今度は日本サッカー界屈指のMFとして一時代を築いた選手を迎え入れるという大きなニュースを発信することになった。2017年にDMMグループが経営権を取得してからは、日本人選手との結びつきが強くなった同クラブだが、今回の香川で16人目となる。

立石敬之CEOは「今回の香川選手との契約は、STVVにとっても香川選手自身にとっても新しいチャレンジとなります。皆さんが持っている香川選手のイメージとは違うものを、私たちは生み出したいと思います。STVVがさらなる高みを目指すために、彼の進化に懸けてみます」と、欧州での経験も豊富なベテランに期待を寄せた。
現在、STVVはベルギー・ジュピラーリーグで2部リーグとの入れ替え戦に回る17位とは勝点5差の13位に沈んでいるが、クラブは公式サイトで「香川のような能力のある選手が『カナリア』の仲間入りをすることを嬉しく思う。その魔法のスキルとトップレベルの経験で、香川はイエローブルーのチームの中盤に創造性と落ち着きをもたらすだろう」と綴っている。

これに対し、プロとして7つ目(欧州では6つ目)のクラブに新天地を求めた香川は、「初めまして、香川真司です。強い気持ちを持ってSTVVに加入することを決断しました。チームの目標を達成するために、自身のプレーや経験で貢献していきたいです。早く有観客で試合が開催されて、ファン、サポーターの皆さまの前でプレーできる日を楽しみにしています。今後とも応援よろしくお願いいたします」と、メッセージを送った。

現地メディアも、この32歳の日本人選手の到来には大きな関心を示し、『tvl』は「STVVは香川によって強化される。それは大胆な補強であると言えよう。彼は日本サッカー界で最高の選手のひとりであり、最高の指揮官2人(ユルゲン・クロップとアレックス・ファーガソン)からその能力を買われた存在だ。問題は彼のフィジカル面の状態であり、全盛期はすでに過ぎている」と伝えている。
『SPORT FOOT MAGAZINE』は「ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッドで全盛期を迎えた97ものキャップ数を持つ日本代表は、リンブルフのクラブに7人目の日本人として加入した」「STVVは非常に注目度の高い補強を実現した」と報道。もちろん、そのキャリアにも言及しているが、2019年のベジクタシュへのレンタル移籍以降は「あまりうまくいっていない」と評した。

さらに『HLN』は、日本のスター選手がベルギーでプレーすることの理由として、「クロップの最愛の選手は、怪我や継続性のなさによって徐々にそのキャリアは停滞していった。そしてリンブルフでは、日本のファンのお気に入りとして、またクラブの宣伝の目玉として、自らは競技での成功に向けて最後の飛躍のきっかけを掴もうとしている」と、選手、クラブそれぞれの思惑について言及している。

『NIEUWS BLAD』も「STVVは香川の獲得で世界を驚かせた。クラブ史における最もインパクトのある移籍により、『カナリア』はしばらくの間、コロナの不安を忘れることができた。ドルトムント、マンUでプレーした選手の獲得は、マーケティング面ではいきなりのヒットとなった。そして彼がコンディション面でも問題なければ、STVVにとっては素晴らしい移籍となる」と綴った。
また国外のメディアでは、隣国オランダの『SPORTNIEUWS.NL』は「プレミアリーグで優勝を経験し、アジア人として初のハットトリックも達成した32歳が、リンブルフに辿り着いた。これは偶然ではない。クラブは2017年から日本の手に渡っている」、フランスの『SO FOOT.COM』は「香川は欧州滞在を継続したが、STVVは日本への帰国、もしくは米国MLS行き前の最後の欧州クラブとなることは間違いない」と、それぞれ報じている。

『talkSPORT』は「ファーガソン卿やクロップと働いていた香川は、ベルギーでは降格回避の戦いに直面する」と伝えているが、今回の移籍によって複数の英国メディアが彼のキャリア、とりわけ絶頂と失意を味わうことになったマンU時代に改めて脚光を当て、『DAILY STAR』は「忘れられた失敗作」、『GIVEMESPORT』は「ファーガソンはかつて、香川について『偉大な選手になる』と語ったが、予想は当たらなかった」と、厳しく振り返った。

やはり、海外メディアは、その輝かしい実績による期待と、ここ数年の停滞を受けての猜疑心という2つの見方を香川に向けているようだが、まだ老け込むような歳ではない男が、多くの同胞との共闘の中で、再び輝きを放つことができるか、注目したい。

構成●THE DIGEST編集部

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