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ベンゼマ、脅迫疑惑で懲役&罰金判決に控訴…同じ頃、“パレルモの英雄”は懲役刑を開始「自分はマフィアではない」

代表の同僚への脅迫疑惑で有罪判決を言い渡されたベンゼマ(左)。時を同じくしてパレルモの英雄ミッコリ(右)は懲役刑を開始した。(C)Getty Images
現地時間11月24日、2015年にマテュー・ヴァルブエナ(現オリンピアコス)が「セックステープ」によって恐喝された事件で、共謀罪に問われていたカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)に対して、ベルサイユ裁判所は求刑通り、執行猶予付きの懲役1年と罰金7万5000ユーロ(約980万円)の有罪判決を言い渡した。
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ベンゼマの容疑は、両者がフランス代表として合宿に参加していた際に、彼がヴァルブエナに対し、事件を解決してくれる人物として自身の幼馴染と面会するよう勧めたが、この人物には犯罪歴があり、これをヴァルブエナ側は金銭目的の仲介と受け止めたためだ。また、警察はこの人物とベンゼマの電話を盗聴した結果、どちらも事件に関与していると判断していた。

ベンゼマはこれを否認。しかし、裁判官は「被告は事件に関する全てのことを把握していたわけではないが、計画に関与した」と説明。これに証拠不十分での無罪を訴えていたベンゼマの弁護士は「この判決には非常に驚いている。控訴するのは当然であり、無罪判決が下ることを確信している」と語り、不満を露にしている。

この事件によってヴァルブエナとともにフランス代表から追放されていたベンゼマは、5年半のブランクを余儀なくされた(その間に代表チームはEURO2016で準優勝、ロシア・ワールドカップ優勝)。今夏のEURO2020でようやく復帰を果たしたものの、その名誉回復を懸けた戦いはまだ続くことになる。

一方、裁判が結審して刑務所に収監されたのが、フィオレンティーナ、パレルモ、レッチェなどで活躍した元イタリア代表FWのファブリツィオ・ミッコリだ。

パレルモではクラブの得点記録を塗り替えるなど活躍した身長168センチの小柄なストライカーは、ベンゼマの判決が下った同日、自らベネト州のロビーゴ刑務所に出頭、向こう3年6か月間を過ごすこととなった。

かつてユベントスが保有権を持っていた将来を嘱望されたFWのキャリアが暗転を始めたのは2010年。当時、彼がキャプテンを務めていたパレルモの元理学療法士だったジョルジョ・ガスパリーニからナイトクラブへ投資した1万2000ユーロ(約160万円)の回収を依頼されたミッコリは、友人だったマウロ・ラウリチェッラに相談。ここまでは良かったのだが、マウロはマフィアのボスであるアントニオを父に持つ危険人物であり、回収には暴力と脅迫が用いられたという。

その後、2017年に禁固3年6か月の判決が下されるも、「マウロがマフィアの息子だとは知らなかった」と控訴。しかし、再審でも一審の判決が支持された。なお、マウロには禁固7年の判決が下っている。

また、マウロとの会話の中では、反マフィア活動に身を捧げ、1992年に「カパーチの虐殺」と呼ばれる爆殺事件で殉職したジョバンニ・ファルコーネ検事を、ミッコリが「泥」と呼んでいたことが判明している。

パレルモの英雄であり、同じくマフィアとの戦いで命を散らしたパオロ・ボルセリーノ判事とともにその名が町の空港名にも冠せられているほどの人物に対する侮辱は、人々を怒らせ(もちろんファルコーネ検事の遺族も)、コルレオーネ市の名誉市民権を剥奪され、彼の地を去ることを余儀なくされている。

これについて、涙ながらに謝罪し、「自分はマフィアではない」と弁解した彼は、今回の収監に際して「できるだけ全てのこと、全ての人から離れた場所」を希望。弁護士から「人生を破壊された男」と呼ばれた42歳は、故郷レッチェから遠く離れた地で反省の日々を送る。

構成●THE DIGEST編集部

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