
<東京2025世界陸上競技選手権大会 日程:9月13日(土)~21日(日) 場所:東京・国立競技場>
9月13日から21日にかけて、自国開催となる東京2025世界陸上競技選手権大会が開幕します。
トラック、フィールド、競歩、マラソン――それぞれの種目で切磋琢磨してきた精鋭たちが、東京・国立競技場を舞台に世界と真っ向勝負します。
本記事では、そんな期待を背負う日本代表選手を一挙に紹介し、その歩みや注目ポイントをお届けします。
※8月15日現在、情報は随時更新。
※日本陸連公式ページの世界陸上競技選手権大会参加資格有資格者一覧をもとに作成。
【東京2025世界陸上競技選手権大会】男子日本代表
鵜澤飛羽(種目:200m)
所属:JAL
2002年宮城県生まれ。中学までは野球に取り組むも高校から陸上に専念し、2年時の沖縄インターハイで100m・200mの2冠を達成して注目を集めた。筑波大進学後は怪我に苦しむも200mで才能を開花させ、2023年日本選手権優勝、アジア選手権で初優勝。
ブダペスト世界選手権やパリ五輪でも準決勝進出を果たす。2025年JAL所属となり、静岡国際で20秒13の自己新、韓国アジア選手権で連覇、日本選手権3連覇を達成して東京世界陸上代表に内定。日本人初の19秒台突入が期待される。
村竹ラシッド(種目:110mハードル)


写真:村竹ラシッド(JAL)/提供:アフロ
所属:JAL
2002年千葉県生まれ。中学からハードルに取り組み、高校3年でインターハイ・国体・U20日本選手権を制して高校3冠を達成。順天堂大進学後、日本インカレ優勝や学生新記録を樹立し注目を集めた。2022年日本選手権で2位となり初の世界選手権代表入り。
2023年は怪我に苦しむも復帰戦で13秒18の日本歴代2位を記録。2024年日本選手権を制し、パリ五輪では日本人初の110mハードル決勝進出と5位入賞の快挙を果たした。2025年はアジア選手権優勝やDLで好走し、東京世界陸上代表に内定している。
泉谷駿介(種目:110mハードル)
所属:住友電工
2000年神奈川県生まれ。高校時代に八種競技や跳躍で活躍し、順大進学後は110mハードルに専念。2018年U20世界選手権銅メダル、翌年には日本タイ記録で世界選手権代表入りを果たす。2021年日本選手権で13秒06の日本新を樹立し東京五輪出場。
2023年には13秒04の日本新、ダイヤモンドリーグで日本人初優勝、世界選手権決勝で5位と躍進した。2024年パリ五輪は準決勝敗退も、走幅跳でも結果を残し挑戦の幅を広げる。2025年は日本選手権で4度目の優勝を果たし、東京世界陸上での活躍が期待されている。
野本周成(種目:110mハードル)
所属:愛媛競技力本部
1995年愛媛県生まれ。高校で110mハードルを始め、全国入賞を経験。早稲田大では学生個人選手権を制しユニバーシアード代表に選出された。社会人となり自己ベストを更新し、日本選手権でも入賞を重ね「決勝常連」となる。
2022年には日本選手権室内60mHで優勝し世界室内にも出場。2023年に13秒20の自己新を記録するも代表入りは逃し、悔しさが続いた。2025年シーズン、日本選手権で13秒23をマークし2位に入り、ついに東京世界陸上で初の世界大会代表の座を射止めた。
井之上駿太(種目:400m)
所属:富士通
2002年大阪府生まれ。中学で走幅跳から短距離に転向し、洛南高でリレー優勝などを経験。法政大進学後に400mハードルへ挑戦し、苅部俊二監督の指導で力を伸ばした。
2023年に関東インカレ3位、日本選手権4位、2024年には48秒46をマークして東京世界選手権参加標準記録を突破。日本インカレ2位や国スポ優勝で注目を集めた。富士通入り後の2025年、アジア選手権4位、日本選手権では48秒99で3位に入り、400mハードルで唯一の即時内定者として東京世界陸上代表に選ばれた。
三浦龍司(種目:3000m障害物)


写真:三浦龍司(SUBARU)/提供:ロイター/アフロ
所属:SUBARU
2002年島根県生まれ。洛南高で3000m障害に取り組み、高3で30年ぶりに高校記録を更新。順大進学後、2020年に日本歴代2位、翌21年に日本記録を更新し、東京五輪で同種目日本人初の決勝進出と7位入賞を達成した。
以降、ダイヤモンドリーグで活躍し、23年世界選手権6位、24年パリ五輪で8位と2大会連続入賞。25年モナコDLで8分03秒43の日本新を樹立し世界ランク3位に。東京世界陸上ではメダル候補として挑む。
﨑山雄太(種目:やり投)
所属:GMOインターネットグループ
1996年奈良県生まれ。高校でやり投を始め、日本大学進学後に74m11を投げ注目を集めた。故障に苦しみつつも記録を伸ばし、2019年に社会人入り後は濱元一馬コーチの指導で成長。茨城国体で初優勝、80m台を記録する。
2023年には83m54でブダペスト世界選手権に出場したが、負傷で予選敗退。2024年は日本選手権2位。2025年は織田記念優勝、アジア選手権銅を経て日本選手権で87m16(歴代2位)をマークし、東京世界陸上代表に内定。日本記録超えとメダル獲得を狙う。
吉田祐也(種目:マラソン)
所属:GMOインターネットグループ
1997年埼玉県生まれ。青山学院大で駅伝や長距離で力を伸ばし、4年時には箱根駅伝4区で区間新を樹立し総合優勝に貢献。その後、初挑戦の別府大分毎日マラソンで2時間08分30秒を記録して競技継続を決意し、GMO入り。福岡国際で優勝し自己ベストを更新したが、その後は低迷しパリ五輪代表は逃した。
2024年福岡国際で日本歴代3位の2時間05分16秒をマークして復活し、東京世界選手権代表に内定。以降も10000m、5000m、ハーフで自己新を記録し本番に向け好調を維持している。
近藤亮太(種目:マラソン)
所属:三菱重工
1999年長崎県生まれ。中学で3000m、高校で5000mに取り組み、全国大会は国体のみの出場にとどまった。順天堂大では駅伝で活躍し、4年時に箱根駅伝でアンカーを務め総合2位に貢献。卒業後は憧れの三菱重工に入社し、井上大仁らのもとで力をつける。
2023年全日本実業団ハーフで日本歴代10位タイの1時間00分32秒を記録。2025年大阪マラソンで初マラソン日本最高となる2時間05分39秒をマークし日本人2位。世界選手権参加標準を突破し、自身初の代表入りを決めた。
小山直城(種目:マラソン)
所属:Honda
1996年埼玉県生まれ。中学から陸上を始め、高校3年で全国都道府県男子駅伝4区区間賞を獲得し総合優勝に貢献。東京農大では箱根出場は叶わなかったが、関東インカレで2種目入賞。卒業後Hondaに入社し、駅伝で活躍するとともに10000mで27分55秒を記録。
2022年東京マラソンで初マラソンに挑戦し、2023年ゴールドコーストで自己ベスト2時間07分40秒、同年MGCで優勝しパリ五輪代表入り。パリでは23位。2025年はJMCシリーズ連覇を達成し、世界ランキングで東京世界陸上代表に内定した。
山西利和(種目:20km競歩)


写真:山西利和(愛知製鋼)提供:西村尚己/アフロスポーツ
所属:愛知製鋼
1996年京都生まれ。中学で陸上を始め、高校で競歩に転向。2013年世界ユース10000m競歩で日本人初の金メダルを獲得し注目を集めた。京都大在学中に学生新、日本代表として活躍。
社会人では2019年ドーハ世界選手権20km競歩で日本勢初の金、2021年東京五輪で銅、2022年オレゴンで連覇。ブダペストでは不調やシューズ対応に苦しみ失格も経験したが、海外合宿や改良を経て復活。2025年日本選手権で1時間16分10秒の世界新を樹立し、東京世界陸上代表に内定した。
丸尾知司(種目:20km競歩・35km競歩)
所属:愛知製鋼
1991年京都生まれ。洛南高で競歩に専念し、2010年びわこ成蹊スポーツ大進学後に力を伸ばした。社会人で50kmに挑戦し、2017年ロンドン世界選手権で4位入賞。2018年世界チーム競歩選手権で銅メダルを獲得。
東京五輪では50km代表となり果敢に挑むも32位。種目変更後は35kmで活躍し、ブダペスト世界選手権13位。スイス合宿など新たな挑戦で進化を遂げ、2024年日本選手権で20km・35kmともに好記録を残し、33歳で2種目同時に東京世界選手権代表入りを果たした。
吉川絢斗(種目:20km競歩)
所属:サンベルクス
2001年神奈川県生まれ。中学から長距離に取り組み、高校で競歩を始め全国大会入賞。東京学芸大進学後は急成長し、2023年日本選手権20kmで初入賞、ワールドユニバーシティゲームズで8位入賞を果たす。
大学最終学年では日本学生個人選手権で初優勝、能美大会で1時間19分12秒を記録し学生王者に。2024年からサンベルクス所属となり、5000m・10000mで日本歴代9位をマーク。2025年日本選手権20kmで1時間17分38秒の好記録を出し、東京世界選手権代表入り。直前のアジア選手権で銀メダルを獲得し、さらなる飛躍を期す。
川野将虎(種目:35km競歩)
所属:旭化成
1998年宮崎県生まれ。御殿場南高で競歩を始め、早くから全国・国際大会で活躍。東洋大進学後は酒井瑞穂コーチの指導で力を伸ばし、2019年に20kmで学生記録、50kmで日本新を樹立し東京五輪代表入り。
旭化成所属で臨んだ2021年東京五輪では6位入賞。新種目35km競歩で2022年世界選手権銀、2023年銅を獲得。2024年パリ五輪は混合リレーで8位。東京世界選手権代表選考では35kmで世界新2時間21分47秒をマークし代表内定。現在も海外合宿を重ね、悲願の金メダルを狙う。
勝木隼人(種目:35km競歩)
所属:自衛隊体育学校
1990年福岡県生まれ。東海大で競歩を始め、卒業後は自衛隊体育学校で本格的に競技に専念。2015年に50km初挑戦で4時間切り、2018年アジア大会で金メダル、世界選手権代表に。
2019年ドーハ世界選手権は27位、2021年東京五輪では補欠から繰り上がり出場し30位に終わった。50km廃止後は35kmに挑戦し、2024年にはトラック記録を大幅更新。2025年日本選手権35kmで2時間24分38秒の自己新で優勝し、同種目で初の世界選手権代表入りを果たした。
【東京2025世界陸上競技選手権大会】女子日本代表
梅野倖子(種目:35km競歩)
所属:LOCOK
2003年福岡県生まれ。中学までバスケを続けた後、高校で競歩に転向し頭角を現す。順天堂大進学後は20kmに挑戦し、森岡紘一朗コーチの指導を受けて成長。
2023年には全日本競歩能美大会3位でブダペスト世界選手権に初出場し、アジア選手権銅メダル、アジア大会4位と国際舞台を経験。2024年日本選手権35kmで日本歴代3位の2時間46分53秒を記録して初優勝し、世界選手権代表を獲得。2025年もアジア選手権20km5位など安定した成績を残している。
岡田久美子(種目:20km競歩)
所属:富士通
1991年埼玉県生まれ。高校で競歩に転向し全国優勝。立教大時代に世界ジュニア銀メダルを獲得し、2014年ビックカメラ入り後、日本選手権初優勝を飾る。以降6大会連続で世界選手権に出場し、日本記録を次々更新。
2016年リオ五輪、21年東京五輪を経験し、22年から富士通所属。35km競歩でも日本記録を樹立し挑戦を続けた。2024年パリ五輪では混合リレーで入賞。25年東京世界陸上の代表に選ばれ、6度目の舞台で集大成に挑む。
藤井菜々子(種目:20km競歩)
所属:エディオン
1999年福岡県生まれ。高校で競歩に転向し、インターハイ優勝や高校新記録を樹立。エディオン入社後、2018年世界競歩チーム選手権で銅メダルを獲得し、翌年のドーハ世界選手権20kmで7位入賞。
2021年日本選手権で初優勝し東京五輪出場、以降も世界大会で安定した成績を収めた。2023年には世界選手権14位、アジア大会銅メダル。2025年日本選手権で日本新記録1時間26分33秒をマークし、東京世界陸上への4大会連続代表を決めた。
佐藤早也伽(種目:マラソン)
所属:積水化学
1994年宮城県生まれ。中学から陸上を始め、高校時代は全国大会には届かなかったものの駅伝やロードで活躍。東洋大進学後は関東インカレや大学駅伝で実績を重ね、積水化学入社後に力を伸ばす。
2018年プリンセス駅伝で区間賞、全日本実業団ハーフ優勝など頭角を現し、2020年名古屋ウィメンズで2時間23分27秒を記録。ベルリンで2時間22分13秒と更新し、ブダペスト世界選手権に出場。2025年名古屋で日本歴代9位の2時間20分59秒をマークし、東京世界陸上代表に選出された。
小林香菜(種目:マラソン)


写真:小林香菜(大塚製薬)/提供:西村尚己/アフロスポーツ
所属:大塚製薬
2001年群馬県生まれ。中学で陸上に転向し関東大会に出場。早大本庄高では度重なる怪我で記録が伸びず、内部進学後はサークルで走り続ける。
2021年富士山マラソンで初マラソンを経験し、翌年同大会で優勝。大阪国際女子マラソンでも健闘し、実業団入りを模索する中で大塚製薬に加入。着実に記録を伸ばし、2023年防府読売マラソン優勝、2024年大阪国際女子マラソンで日本歴代10位の2時間21分19秒を記録。東京世界陸上代表に選出され、世界挑戦の舞台に立つ。
安藤友香(種目:マラソン)
所属:しまむら
1994年岐阜県生まれ。中学から陸上を始め豊川高校で全国駅伝などに出場。高校卒業後にスズキ浜松AC入りし、2017年名古屋ウィメンズで初マラソン日本最高記録(2時間21分36秒)を樹立し世界選手権代表に選出された。
東京五輪では10000mで出場し22位。パリ五輪選考では惜しくも代表を逃したが、2024年名古屋ウィメンズで初優勝し自己ベスト更新。2025年東京マラソンでも日本人トップとなり、JMCシリーズ総合優勝で東京世界陸上のマラソン代表に内定した。
北口榛花(種目:やり投げ)


写真:北口榛花(JAL)/提供:CTK Photobank/アフロ
所属:JAL
1998年北海道生まれ。高校からやり投に専念し、高校記録や世界ユース金などを獲得。日本大学時代にチェコでの指導を受けて飛躍し、2019年に日本記録更新、東京五輪では57年ぶりに決勝進出。
2022年オレゴン世界選手権で日本女子初のフィールド種目メダル(銅)、2023年ブダペスト世界選手権で金メダルを獲得。ダイヤモンドリーグでも日本勢初優勝・連覇を達成。2024年パリ五輪で金メダルを獲得し、2025年は復帰戦を経て東京世界選手権連覇に挑む。
田中希実(種目:1500m・5000m)


写真:田中希実(NewBalance)/提供:YUTAKA/アフロスポーツ
所属:NewBalance
1999年兵庫県生まれ。中学時代から全国で活躍し、西脇工高ではアジアユース銀、U20世界選手権3000m優勝など国際舞台で頭角を現した。同志社大進学後もクラブ所属で競技を続け、2019年世界選手権5000mで決勝進出。
2020年には1500mと5000mで日本新を樹立し東京五輪代表入り、1500mで日本女子初の3分台を記録して8位入賞した。プロ転向後も世界大会で躍進し、5000mで日本記録を14分29秒18に更新。2025年東京世界陸上では1500m・5000mの2種目で代表に内定している。
まとめ:
東京世界陸上は、選手にとってもファンにとっても特別な舞台です。
世代を超えてつながる挑戦の歴史と、選手一人ひとりの努力の結晶が、国立競技場で鮮やかに花開く瞬間を、ぜひ目に焼き付けてください。
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