子どもたちに夢を!伝統の早明戦を札幌ドームで
苦労しつつもドーム開催にこだわる理由
――招待する側の苦労もあったのではないですか。
田尻:そうですね、一番はお金がかかることです。協会では、ラグビーの普及活動の一環で招待試合を大事にしていて、旅費を出しては北海道で試合をしていただくということを、これまでも行ってきたんです。しかし、札幌ドームを使うとなると、金額が全然違います。そこで協会関係者が必死になってスポンサーを探したり、集客をかけました。
今回のイベント、実は、私たち協会が最大限頑張ってどの程度集客できるのかも検証しているんです。観客席に他のラグビー場とは桁違いの贅沢なシートを設けて差別化を図るなど。これでうまくいけば、今後札幌ドームを使う機会をどんどん増やしてイベントを仕掛けていきたいと思っていて。それができるかどうかは今回の成功にかかっているんですよね。
――札幌ドームでラグビーの試合が行われるのは、2019年のワールドカップ日本大会以来ということですが、札幌ドームで開催するメリットはあるのでしょうか。
田尻:他の会場と比べると、環境が全然違うでしょう。この間も早稲田の監督の大田尾さんが見学に来られましたが、この施設の立派さ、それから、屋内だけれど天然芝でプレーできるグラウンドを見て、素晴らしいということで。選手たちも、興奮するでしょうね。このピッチを見て、グラウンドを見て、相当な気合いの入り方に変わっていくと思うんですよ。最高の環境でプレーできるというステータスを感じてもらえれば、ここで負けられないときっと思うはず。すごく緊迫したゲームになると予想していますし、お客さんが興奮するようなゲームになってくれれば良いと思います。
これからの子どもたちに夢を!
――運営側として、どんな期待や思いがあるのですか。
田尻:早稲田と明治のラグビーを見た子どもたちが、憧れを抱いて、将来自分も早稲田に行きたいとか、明治に行きたいとか、関東でラグビーやりたいとか、札幌ドームで試合したいとか。いろんなことを考えて夢が膨らむ、そういった大会にしたいと思いますね。やっぱり一流の選手を生で見て、こういう選手になりたいと思うところから始まるので。そういう機会を、札幌ドームで、ラグビーの大会を通じて作りたいんです。なかなか一流選手のプレーを地方にいながら生で見る機会はありませんから。すごく貴重な良い経験になると思います。(続く)
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◼️プロフィール
田尻稲雄(たじり・いなお)
1948年生まれ。北海道小樽市出身。メディカルシステムネットワーク創業者・代表取締役社長。社会人チーム北海道バーバリアンズ設立者で、全国クラブ大会で4度の優勝に導く。2019年から北海道ラグビーフットボール協会会長を務める。座右の銘は「人類には、ラグビーをする人間か、しない人間かの二種類の人間しかいない」。
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