【伝統×キャンプギア】新作「焚き火台用ブラシ」がイノベーションを起こす!本当に使いたい日本棕櫚手箒とは
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ここでしか手に入らない「キャンプ向けブラシ」
深海産業×hinataが生み出した「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」
hinataオリジナルアイテム第1弾として、hinataストアでの販売がスタートした「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」は、hinataスタッフの「水洗いできない焚き火台に残った灰を、簡単に掃除したい!」という切実な願いをもとに誕生した逸品です。
製作を依頼したのは、長年にわたり棕櫚箒(シュロほうき)などを手がける「深海産業」。キャンプに向き合うhinataの想いを、同社が卓越した職人技によって見事に仕上げてくれました。
「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」は、キャンプシーンで扱いやすい約21cmの長さに加え、どのような角度からも汚れにアクセスしやすい「筆」のような形状の穂先も特徴です。
また、ほどよいコシ・高い吸着性・隙間にも入り込む目の細かさなどの特性をもつ棕櫚(シュロ)を採用しているのもポイントです。苦労することが多い焚き火台の掃除はもちろん、落ち葉や砂にまみれてしまうキャンプ後の車内掃除にも実力を発揮してくれます。
さらにhinataオリジナル商品としてこだわりを注力した「持ち手」も見逃せないところ。多くの試作を経て選ばれた2種類のレザーは、しっとりとして手になじみやすく、キャンプ場でも存在感を放つルックスにも寄与してくれることになりました。
キャンプギアといえども掃除用具にまでこだわり抜いている人は少ないかもしれません。職人が手がけるこの手箒(てぼうき)なら、語りがいも十分。仲間にも一目置かれる存在になるはずです。
オンリーワンな「焚き火台用ブラシ」
70年の歴史で紡ぐ「温故知新」なアイデンティティ
数百年の歴史をもち、江戸時代にはすでに箒として使われていた棕櫚製品。
今回hinataとともに「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」を製作した深海産業は、その棕櫚の一大産地として知られる和歌山県海南市で、棕櫚文化を継承する数少ないメーカーです。
深海産業 専務 深海耕司さん
そんな棕櫚を使ってキャンプギアをつくるに至った理由や「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」の魅力を、深海産業専務の深海耕司さんに伺いました。
深海さん:棕櫚と言うと“?”という方も多いと思いますが、簡単に言えば、植栽の保護として縄が巻いてありますよね。あれに使われる天然素材です。東京の新国立競技場の周りにある植栽の棕櫚縄も、ほとんど私たちが納めたものなんですよ。私たちはそういう緑化資材だけでなく、棕櫚を使う箒やブラシなどの掃除道具もつくってきました。
こちらが棕櫚の樹皮。ここからほぐし整えることで箒やブラシの素材になります
深海産業の創業は1950年。70年以上もの間、棕櫚製品をつくり続けています。5年前に立ち上げたオリジナルブランド「ブルームクラフト」も人気を博し2カ月待ちの製品もあるそう。そんな棕櫚のスペシャリストも、棕櫚という素材がキャンプ向きだと語ります。
深海さん:棕櫚は耐熱性があるんですよ。鍋敷にすれば270℃に熱されたスキレットを置いても問題ありませんし、300℃くらいになっても少し焦げるだけ。もともと荒神箒という、かまどを掃除するものにも使われていたので火にも強いんです。だから、熱を帯びるキャンプギアのケアにもぴったりなんです。
2024年2月にオープンしたショップ内には、深海産業のオリジナルブランド「ブルームクラフト」製品が所狭しと並びます
箒とアウトドアは一見結びつかないようにも感じますが、深海さんはキャンプ好きの知人にアドバイスをもらったこともあり、hinataがオファーする以前からキャンプギアづくりへ関心を寄せていたようです。
深海さん:「焚き火台や鍋はデザインされたものも多いのに、それを掃除する道具でかっこいいものは見かけない」と言われまして。そこで、棕櫚の特性を最大限に活用したキャンプの掃除道具をつくれないかと考えていたところだったんです。だから、そんなタイミングでhinataと出会えたのは、運命だったのかもしれません。
ショップには工房内が見渡せる大きな窓も配置。職人の作業を間近に見学できます
こちらは2024年にオープンした直売ショップの奥にある工房の様子。hinataが別注した「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」も職人の手作業で生み出されています。
深海さん:現在は10人ほどの職人が在籍していまして、そのうち4名は女性。彼女たちならではのアイデアも出してくれるので助かっています。ここで培われている職人技を未来へ繋いでいくために、育成プロジェクトとしてワークショップを開いたりもしていますよ。
持ち手にはhinataオリジナル商品の印でもあるレザーが巻かれます
毛先の角度や銅線を締め具合も一つひとつ職人の感覚で調整されていきます。「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」の長さは、検証を重ねた結果、すでに製品化されていた手箒の長さがベストだったそう。
深海さん:長すぎず、短すぎずのサイズです。キャンプでは火の近くで使うことも多いので、ほどよい長さが必要。でも長すぎるとスペースをとりますし、持ち運ぶのにも不便。逆に短すぎると掃除しにくいので、この長さ(約21cm)がちょうどいいんです。
巻いた銅線の切り口を埋め込む工程。レザーの合わせ目がズレないように注意しながら打ち込んでいきます
棕櫚製の箒は炭やほこりを絡め取りやすいうえに、静電気が発生しないので穂先についたゴミも簡単に落とせます。目が細かいので隅々まで毛先が入っていくのも特徴で、使い勝手の良さから、長年日本で愛されてきました。
そんな伝統や歴史を受け継ぎつつも、新たな切り口で製品を生み出していく深海産業には、どのようなこだわりがあるのでしょうか。
深海さん:どんなものが欲しいか、職人さんにもアイデアを出してもらったり、イベントなどで出会うお客様の声を聞いてものづくりをしています。そこで「いいな」とい感じたものは、まずつくってみるというスタンスですね。
伝統を守りながらもそんな「攻め」の姿勢があるのは、創業者に聞かされていた言葉の影響が大きいそうです。
深海さん:祖父の代から、「とにかく打席に立て、10回打席に立って3回打てれば大したものだ」と言われてきました。製品づくりにしても、お客様とコミュニケーションをとることにしても、機会をたくさん設けて、その中でいくつか実になるものがあれば良いと考えています。
最後に穂先を整えて完成。完成品に大きなバラつきが出ないよう、職人の感覚が重要な部分のひとつです
面倒なメンテナンスが不要なのも棕櫚製品のいいところ。深海さんの手元には、60年以上も現役で使っている棕櫚箒もあるそうです。
深海さん:棕櫚は丈夫で長持ちもします。また、汚れても簡単に洗えますし、速乾性にも優れています。洗剤を使ってもらってもかまいません。サッと洗って乾かすだけです。
また、加工しやすいことも「棕櫚のメリット」だと深海さんは話します。
深海さん:ご自身のギアに合わせて、ハサミで穂先を切り、カスタマイズするのもありだと考えています。ちょっと細くしたいとか、穂先の角度を変えたいというのも簡単にできますよ。そんなふうにお客様が自分仕様に育てる楽しみもあると思うんです。「こんな使い方しているよ」なんていうフィードバックをもらって、新たな製品づくりに反映させることもあります。
使いやすさはもちろん、見た目にも美しく仕上げるために、全ての工程で細やかな調整が行われています
初めてキャンプギアとしての製品をつくるとあって、「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」には並々ならぬ想いがあります。
深海さん:「来たときよりもきれいにして帰る」なんていうのもよく言われますが、キャンプもそうであってほしいなと思っています。今回つくった「焚き火台用ブラシ日本棕櫚手箒」は使い勝手はもちろん、キャンパーさんに気に入ってもらえるようなかっこよさにもこだわりました。この手箒から掃除道具にも興味をもっていただき、キャンプに掃除文化が根付くきっかけになってくれたらうれしいですね。
職人技をキャンプで堪能できる!
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