人と人、人と道具の出会いの”基点”に。河口湖の名店「STANDARD point」の哲学とは?

「20万円のテントが売れる」キャンプ場近くならではの理由

お店に堂々と鎮座する「ノルテント ギャム6 エクストリーム」使用サイズ:370×370×185(h)cm/使用人数:6人/重さ9.6kg/価格:281,600円(税込)

ーーキャンプでの運命的な出会いからスタンダードポイントは生まれたんですね。河口湖でお店を開いたのはなぜですか?

長田:もともと地元が近くて、よくこのあたりでキャンプをしていたんです。このフォレストモールで待ち合わせすることも多かったんですよ。食材の買い出しなどにはとても便利なのですが、キャンプ用品を扱っているお店はなくて、「ここにアウトドアショップがあったら便利だろうなあ」って、いちユーザーの立場で思っていたんです。

開店当時からずっと取り扱っている「ダイス ピクニックチェア」サイズ:23×24×43(h)cm/重さ:720g /価格:4,290円(税込)

ーー実際にお客さんとしてフォレストモールを利用していたんですね!

長田:そうなんです。自分が待ち合わせにも使っていたように、多くの人にとってもキャンプをする際の「基点」になればと思い、店名を「STANDARD point」と名付けました。

スタンダードポイントが入る「フォレストモール富士河口湖」には「マックスバリュ」や「ダイソー」などもあるため、キャンプ前の買い出しにはうってつけ

ーーたしかに、駐車場にはこれからキャンプに行くであろうクルマが多く停まっていましたね。キャンプ場が近いからこそ売れるようなものはありますか?

長田:うーん、「忘れもの」需要はけっこうありますね。チェアやシュラフを自宅に忘れちゃったから、うちの店で買って、そのままキャンプに行かれるなんていうケースが多々あるんです。過去には、テントを忘れたお客さんが、20万円のものを買って行かれたことがあります(笑)!

ーーに、20万円のテントをその場で!?それはすごい…(笑)。キャンプ場に近いからこそのエピソードですね。

「ペトロマックス エナメルパン」サイズ:28.4×13.5×7.6(h)cm/容量:5L/重さ:370g/価格:5,940円(税込)

長田:まあ、これは極端な事例ですね(笑)。忘れものだけではなく、こんなものがあればよりキャンプが楽しくなる、便利になるというものもおすすめしています。

例えば、このペトロマックスのエナメルパン。ホットミルクなどを作るときに使うものなんですが、日本だとあまりなじみがないですよね。ここに牛乳を注ぎ、紅茶のティーバッグをそのまま入れて煮込むと、とっても濃厚なミルクティーが簡単に作れちゃうんです。うちでこのソースパンを買っていただき、となりのマックスバリュさんで牛乳と紅茶を買えばカンペキです(笑)!


レアアイテムは「LINEグループ」で情報収集

豊富なアウトドアスパイスのラインナップ。「そういえば持ってくるの忘れた!」というちょっとしたアイテムも、スタンダードポイントに立ち寄れば見つかるはず!

ーーお店で扱うギアは、どのように探してくるんですか?

長田:メーカーさんなどとやりとりするのはもちろんですが、他のショップのオーナーさんたちから情報を仕入れることも多いです。

ーー横のつながりもあるんですね!

長田:例えば、京都の「風街道具店」の米良慎平さんとは、お互いお店を開いた時期も近いことからずっと仲良くさせてもらっています。米良さんや他のショップオーナーさんとのLINEグループをつくって、そこでギア情報のやりとりもしているんですよ

なじみの品もここなら輝く。レアアイテムと定番品が共存する風街道具店の店づくり

ーー人気ショップオーナーたちの情報網、気になります!

「オールアラウンドファンV2」サイズ:360×360×180(h)mm/重さ:4kg/価格:49,500円(税込)

長田:最近、そのライングループで話題になったのが、このストーブファン「オールアラウンドファン V2」です。韓国メーカーのもので、いちばんの特徴は上から下へ空気の流れをつくること。一般的なファンであれば、空気を上へ流します。温かい空気は上に行く性質がありますから、一般的なファンだとテントの上のほうばかり温かくなって、足元は冷たいままです。オールアラウンドファン V2は温かい空気を下に送ることで、テント全体に空気を循環させ、足元まで温かくしてくれるんです!

ーー逆転の発想ですね!このようなめずらしいギアが並ぶのも、横のつながりがあるからなんですね。


「キャンプブーム」と「裏原ブーム」の意外な共通点

ーー他ショップのオーナーさんとは、他にどんなことを話すんですか?

長田:「キャンプブーム」について話すこともありますね。最近面白かったのは、今の「キャンプブーム」って「裏原ブーム」と似ているんじゃないかという話題です。

ーー「裏原ブーム」とですか?どんなところに共通点があるのか気になります。

長田:僕自身も”裏原世代”ど真ん中でして、20代のころは裏原のショップのTシャツを買うために、店前に徹夜で並んだこともありました。今のキャンプブームはガレージブランドが引っ張っている部分も大きいかと思います。ガレージブランドのギアもレアものが多く、新作を買うためのお店に行列ができることもありますよね。そういったガレージブランド好きは、40代くらいの人が多く、ちょうど裏原世代と被るんですよ

カウンターでは看板犬のピケちゃんがお出迎え

ーーなるほど、ものを買うことにお金や時間をいとわない世代が「裏原ブーム」を牽引し、今では「キャンプブーム」の担い手にもなっているのですね。

長田:一方で、今の若い世代は、服でいえばファストファッションを好むなど「コスパ」を重視する傾向がありますよね。キャンプ”ブーム”を”文化”にまで定着させるには、若い世代へアプローチすることが必要不可欠です。お金も時間も惜しまない「裏原世代」とコスパ重視の「令和世代」をどう結びつけるかが、これからのキャンプシーンに課せられた課題だと思っています。

ーーとても重要な課題ですね…長田さんとしては、どのような解決策があると思いますか?

長田:正直まだわかりません(笑)。でも、足がかりになる活動は広がっているかなと思っています。例えば、横浜に「TARPtoTARP」というキャンプをコンセプトにしたカフェがあります。そこではさまざまなイベントをしており、キャンパーどうしがつながる「場」となっています。

ーー世代を超えたつながりができれば、カルチャーが醸成される場になりそうですね。

長田:そういう狙いをもって、どんどん新しいことをしていきたいですね。僕のお店でも定期的にイベントを開催しています。「ものを売る」だけではない、「つながりをつくる」という価値も提供して、世代を超えたコミュニケーションの場にしていきたいと考えています。そういう意味でも「基点」になりたいですね。

あとは、オリジナルのブランドも作りたいし、もっとお客さんとコミュニケーションをとる接客スタイルを磨きたいし…やりたいことばかりで時間が足りません(笑)。でも、大好きなキャンプに少しでも貢献できる時間は何ものにも代え難いですね。


編集部のお買い上げアイテム

「SOTO プレミアディーラーシップ限定モデル レギュレーターストーブ ST-PD310IG」使用サイズ:166×142×110(h)mm/重さ:330g/価格:8,800円(税込)

キャンプでの運命的な出会いで生まれた「スタンダードポイント」。キャンプで人生を変えた長田さんだからこその、今のキャンプシーンをさらによくしていきたいという強い思いを聞くことができました。

そんなスタンダードポイントで運命的な出会いを果たしたのが「SOTO プレミアディーラーシップ限定モデル レギュレーターストーブ ST-PD310IG」。取材当日が発売日の限定モデル!これはまさに運命と言わざるをえません。通常のST-310とは異なり、五徳部分がブラックに塗装されています。また、遮熱板と滑り止めのシリコンチューブがアイスグレーでよりクールな印象に。早く火をつけたくてウズウズします。

富士山を一望できる河口湖エリアは、最高のキャンプ体験ができること間違いなし。河口湖キャンプの前は、スタンダードポイントに立ち寄って忘れものをチェック。おすすめのギアもぜひ長田さんに聞いてみましょう。きっと運命的な出会いが待っているはずです。

【基本情報】
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町小立8017-1 フォレストモール富士河口湖
電話番号:0555-68-9072
営業時間:平日10:00〜19:00/土日祝7:00〜18:00
定休日:無休(臨時休業あり)

詳細はこちら:STANDARD point
Instagramはこちら: @standard_point

撮影:赤田英志

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