• HOME
  • 記事
  • その他
  • 嬉野市が女子野球と進めるまちづくり。ロールモデルを発信し、女性が活躍できる社会へ

嬉野市が女子野球と進めるまちづくり。ロールモデルを発信し、女性が活躍できる社会へ

「スポーツの生み出す熱狂が、街全体の結束に繋がる」

ー現在は具体的にどのようなアクションをしているのでしょうか?

例えば、市の職員と女子野球選手、嬉野市内で活動する女性を交えて開催したワークショップです。フューチャーセッションズさんに間に入ってもらいながら、スポーツだけでなく商業や工業、農業といったさまざまな視点から、未来のまちづくりについて前向きな議論ができました。

ワークショップでの集合写真。女子野球選手の皆さんと

ワークショップでの様子

<フューチャーセッションズについての記事はこちら>
「支援」や「広告」以外の価値を作る。スポーツスポンサーシップはパートナーシップの「共創」へ

行政と住民が向き合ったときに、ともすれば「やってくれ」という要望の嵐になることも少なくありません。しかし、今回のワークショップでは「こういうことをやりたいから、一緒に進めようよ」と、お互い未来像を共有して進んでいける関係性を築くことができました。すごく意義深い話し合いができたと思います。


嬉野市にある朝日I&Rドーム

嬉野市で実施された野球イベントの様子

ー取り組みの成果はどのように感じますか?

合宿の誘致にあたってチーム関係者の方が視察にいらっしゃるのですが、そこでさまざまな問題点が浮き彫りになりました。それを受けて、アスリートファーストの施設づくりを進められているのは大きな成果です。

トイレの設備やグラウンドの状態など、ほとんどの公共施設が昭和につくられたものなので、競技者が女性であることを想定していないんですよね。誰もが安心安全に使用するためには、施設環境の改善が急務であることに気づかされました。


改修前の球場内トイレの様子。女性用トイレが設置されていなかった

例えば、「土のグラウンドだとイレギュラーバウンドで顔にボールが当たり、怪我をしてしまう可能性がある」と意見をいただいた施設があります。しかし先日、女子スポーツ振興の動きに共感してくださった隣町の企業さんが施設の命名権を取得して、グラウンドを全面人工芝に張り替えることができました。

これまで考えたこともなかった課題に、新たな視点を呼び込むことで気づけたこと。さらに女子スポーツ振興への共感をきっかけに、アスリートファーストの施設づくりに着手できたのはこれ以上ない成果です。

ー隠れていた課題が明確になり、解決に向かっているのは良い流れが生まれていますね。

実際、バブルの時代に建設された数多くのスポーツ施設が老朽化し、維持管理費が増えていました。改修しようと思っても財源的にも応えられないし、「じゃあ、どこからやるの?」と優先順位さえもつけられない状況が続いていました。

そんな中、スポーツをテコに施設をあるべき姿に変えることができました。今後も付加価値をつけた発信をすることで、スポーツ施設に対する投資を呼び込めるのではないかと期待しています。

ーまちづくりにおいてスポーツが果たす役割については、どのように感じていますか?

スポーツの生み出す熱狂が、街全体の結束に繋がると思っています。嬉野市のイメージアップだけでなく、民間、公共の投資を呼び込むなど、スポーツを一つの軸として街に大きな活力を与えてくれると信じています。

ー最後に、今後の嬉野市が目指す姿を聞かせてください。

スポーツによって、意識の共有を図っていけたらいいなと考えています。その第一歩として、女子野球と共に女性活躍のロールモデルを発信していけたらなと。

女性は出産や子育てなどを機に、急激にスポーツをする機会から遠ざかってしまったり、競技生活を断念したりする人も少なくありません。そうなると健康寿命が一気に縮まってしまう可能性がありますよね。

女性が活躍できない社会では、大きな損失が発生することは間違いありません。男女共同参画を進めて、女性もスポーツを楽しめる環境にするなど、多様なライフスタイルに合った環境づくりをしていく必要があります。

女性アスリートを応援するという旗を掲げることで、共感してくれた人たちが嬉野に集まってくれるといいなと思います。スポーツを通じて社会課題を解決することが、私たちの最大の目標です。

2月12日(日)に嬉野でシンポジウム開催!お申し込みはこちらから

嬉野市では、「スポーツフューチャーセンター」を開設することになりました。市民・自治体・非営利など多様な団体と、アスリートやスポーツの組織とともに、嬉野のまちづくりに女性目線を取り入れ、ともに取り組みを考える機能として実現に向けて動いています。2月12日の日曜日に、スポーツフューチャーセンターについて発表し、概念の啓蒙・啓発及び理解の醸成を行うべく、シンポジウムを開催します。

連携している有識者の方々をはじめ、全日本女子野球連盟山田専務理事、嬉野市長村上大祐、共感してくださったアスリートの登壇を予定しています。詳細は下記にフォームに記載しておりますので、ぜひチェックしてみてください!

関連記事