社会貢献を当たり前のようにやるのが「プロ野球選手」であってほしい―千葉ロッテ井口監督が語る「愛基金」
<トップ写真:©Chiba Lotte Marines>
本企画はスポーツの力を活用して社会貢献活動を推進する日本財団のプロジェクト「HEROs」と共同で実施している特集企画です。
HEROsではアスリートや非営利団体に対して活動支援(資金提供)も行っています。詳細はHEROsのHPで!
千葉ロッテマリーンズは、2021年のパ・リーグを制したオリックス・バファローズと最後までデッドヒートを演じました。その粘り強い戦いぶりに勇気をもらったプロ野球ファンも多いでしょう。
この千葉ロッテの指揮を執る井口資仁監督は、現役時代から今に至るまで「愛基金」という基金を通じて、寄付、野球教室の開催、小児病棟などへの慰問といった様々な社会貢献活動を行なっています。井口監督に、こうした活動をはじめたきっかけなどについて話を聞きました。
プロ入り以来、20年以上にわたり続けてきた活動
1996年にプロ入りして以来、毎年地元に車椅子を寄付するなど様々な活動をしていたのですが、一人の力では限界があると感じていました。そこで、当時私が所属していたダイエーホークスのメンバーと一緒に何かできないか、と考えたんです。
当時は地方開催も多かったので、開催地域の盲学校や特別支援学級などを訪問し、そこの子供たちを球場に招待するといった活動を考えていました。ただ、選手たちだけではツテがないですし、どこから手を付けていいかわからない。そうした状況の中で、薬局運営などを行っているアポクリート社の方と知り合う機会があり、我々の活動をマネジメントしていただくことになって、「愛基金」の活動がスタートしました。
アポクリート社は薬局を運営しているため医療関係者とのネットワークがあります。例えば、我々が医療施設を訪問したいと考えても、どこにどうやってアプローチすれば良いのかはわかりません。なので、医療施設とのやり取りや日程調整などを含めたマネジメントなどをしていただいている形になります。また、「何が必要なのか」「何かできることはないのか」といったヒアリングもしていただいています。
当時のチームメートには和田(和田毅・現福岡ソフトバンクホークス)のように、骨髄バンクやピンクリボンといった運動に個別に取り組んでいる選手もいましたが、連携して取り組める部分は連携しようということで、川崎(川崎宗則・現BCリーグ栃木)、杉内(杉内俊哉・現巨人三軍投手コーチ)らと、定期的に野球教室の開催や、地域の施設への訪問といった活動をしてきました。
2001年から私が「愛基金」の代表を務めています。こうした活動の根底にあるのは、自分がプロになるまでに、様々な方に支えられてきたという事実です。そういう方々に何か恩返しをしたいという思いがあります。活動開始当初、自治体の方にヒアリングした中、不足しているものとして挙がったのは車椅子でした。そのため、自分が盗塁王をとった際に、盗塁数に応じて車椅子を寄付するなど、自分のプレーと関連付けながら社会貢献活動も定着させていきました。
私自身を含め、参加している選手たちは粛々と活動しているので、「愛基金」の活動を知らない人も多いです。2018年にゴールデンスピリット賞 をいただいた時も、周囲から「こんな活動をやっていたんだ」と驚かれました。
「やらされている」という意識の選手はおらず、「自分たちがこういうことをやりたいんだ」という意識を各々がもって取り組んでいます。多かれ少なかれ誰もが「周囲に恩返しをしたい」という気持ちがあるんです。各選手が地元に対して、「こういう企画ができないか」といった相談を事務局にしているケースが多いですね。
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