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沓脱正計。運動嫌いの男が、手技療法でプレーヤーを救い続ける理由。

“激痛治療”なのにはワケがある

-沓脱さんの治療院にはどのような方が来られますか。

年代は平均すると40~50代、7割ほどは女性です。ビルの3階でやっている隠れ家的な治療院なのですが、それでも女性の方が多いです。やはり男性よりも女性の方が自分の体をケアしようとする意識が強いからだと思います。スポーツをする人ですと、大会の時期には市民レベルのマラソンやトライアスロンに出場する予定の方がよくいらっしゃいますね。あとは土地柄、冬になるとクロスカントリースキーをやる方が来ます。

-治療院の特徴を教えてください。

私のところは“激痛治療院”として有名です!近くに自衛隊の基地があるのでよく来られる、自衛官の人たちも悲鳴を挙げるほどで「苦悶式」なんて言われたりもします(笑)

-ビルの中にあると他の部屋の方に驚かれそうですね(笑)

院は3階にあるのですが、1階の扉を開けると患者さんの声が聞こえることがあるらしいです。でも僕自身が力をいっぱい使って施術をしているわけではなくて、しっかり芯に当てれば飛び上がるくらい痛いところもあるということです。野球でバットの芯にボールが当たると、力を入れなくても自然に飛ぶことと同じです。

この業界では痛みを与えてはいけないという考え方もありますが、それはそのような状態の時もあるということで、一方ではしっかりした刺激が望ましいケースもあると思っています。

僕が痛めつけようとしているのでは決してなくて、患者さんが痛くなるような状態になっているだけなんです!でも痛がっているのを見て僕が喜んでいると勘違いされる方もいるんですよね(笑)

痛みを伴う治療が必要な時もあるわけですから、そこは自分がやらなければ誰がやるんだ!という強い心意気を持ってやるようにしています。

沓脱正計

-そこまで言われるとどの程度痛いのか気になります(笑)

痛みに関係している部位に近づいていくと皆さん本能的に分かるようです。それが患者さんに対しての説得力になります。いくら言葉でお話しても伝わらないときは、体験してもらうのが一番ですから。

でも痛い治療の後は、ご自分でケアができるよう、どの場所を刺激すればいいのかをお伝えし、ペンや傘などの道具を使って時間をかけてセルフケアをして頂くようにしています。自分でやるとそこまで痛くできないですから。次にいらした時は、痛い思いをしないためにもケアしてくることをおすすめしています(笑)

痛みを伴う治療はできれば避けたいと多くの方が思うものですが、ただ、どうすれば症状がよくなるのか方向性を実感によって示すことができるというのは、その人にとっての希望になるのではないでしょうか。

-姿勢などでその人のどこが悪いか分かったりしますか。

おおよそ見当をつけることができますし、場合によっては自然と見えてくるとこともあります。スポーツなら、あるポジショニングの意味が経験者にはすぐ分かることと同じかもしれません。

患者と「向き合う」よりも「一緒に歩く」治療を

-現在はお忙しい日々を送っている沓脱さんですが、もし今のお仕事をしていな**かったら何をしていましたか。**

何か一人で没頭できることをしていたと思います。誰かの下で働いている自分は想像ができませんでした。だから職種は違えど、独立して職人をしていたでしょうね。

-座右の銘を教えてください。

「一期一笑」です。誰かといれば笑い自体は繕えるものです。しかし、本当に辛い時は一人になると微笑んでいられないものです。私は患者さんが一人になった時にも微笑んでいられるような治療がしたいと思っています。そのために患者さんと「向き合う」という姿勢より、一緒に歩いていくようなイメージで接していきたいです。

沓脱正計

-最後に沓脱さんの今後の目標を教えてください!

スポーツに関しては、怪我が理由で自分の好きな競技を諦めるなどということがないようにできたらと思っています。回復させるための手段のひとつとして手技療法というものもあるということを知ってもらい、試して頂きたいです。

しかし私はスポーツには明るくないので前面に出るのではなく、むしろトレーナーの人をサポートするようなポジションに立ち、協力していきたいと思っています。例えばスポーツ選手に対して、試合前に強い施術をしてしまうと力が入らなくなってしまいます。施術のタイミングなどを選手やトレーナーの方と相談しながら決め、進めていくという形です。

同時に今は、トレーナーの方に手技療法を直接伝えるような活動もしています。トレーナーの人がそれを必要とする場面もあるはずです。個人で診ることができる人数には限界があるので、そういう知識や技術を広めていってより多くの人に手技療法が役立っていけばいいですね。

あとはコーチや監督などの指導者の方にもぜひ体感してもらって、手技療法が有効であることを理解して頂きたいです。そうすれば選手に何かトラブルがあった時には指示もしやすくなるでしょうから。マッサージなどの手技療法は疲労を回復させること以外にも、様々なことに役立つということを伝えていきたいです。

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