• HOME
  • 記事
  • その他
  • 【指導者対談】大西功監督×山中武司ヘッドコーチ(慶應義塾大学・アイスホッケー部)

【指導者対談】大西功監督×山中武司ヘッドコーチ(慶應義塾大学・アイスホッケー部)

夢を追いかけられるジュニア選手が増えれば、それだけ底辺の拡大に繋がる

-ひと昔前と比べると日本のアイスホッケーを取り巻く環境が悪化しているようにも思うのですが、どのように考えていますか。

大西:ジュニアの年代を見ると確かに地方では人口が減っています。しかし不思議なのは東京では人口は変わっていないんです。ただリンクは減っていっていますし、環境が悪化していることは事実です。世界で通用する選手をジュニアの世代から育成することが、アイスホッケーを盛り上げていくために必要なことだと感じています。

山中:そこは私も危惧しているところです。故郷の苫小牧でさえも単独でチームを組める人数が集まっていない学校があります。少子化の影響もあると思いますが、競技人口の減少が進んでいるので、心配です。普及に一番効果的なのは代表チームが強くなることです。女子が五輪に出た時も盛り上がったので、男子についても頑張って、人気を復活させていきたいです。

慶應義塾大学アイスホッケー部

-男子より女子の方が強化もうまくいっている印象を受けます。それには何か理由があるのでしょうか。

大西:男子はアジアリーグがあるので、選手を長い期間拘束することができないんです。女子はまだそういうことがないので、強化をしやすいですし、一度五輪に出たことでスポンサーも付きやすくなっています。女子の場合はクラブチームにいるより、代表に選ばれた方がレベルアップになると思います。一方の男子は実業団なので、まずは企業のチームが強くなることが優先されます。そうなると代表への招集期間は限られてしまいますね。

-指導体制自体は男子と女子で差はないのでしょうか。

山中:私は女子の代表のお手伝いもさせて頂いたので、男女両方見ているのですが、基本的に差はないです。でも女子選手の方がストイックにやる印象を受けました。

-その中で海外でもプレーする選手が出てきています。

山中:若い選手がそういった環境でどんどん成長していってほしいです。学校を卒業してから直接行った選手もいますし、実業団を経て行った人もいます。

-日本と海外における競技面での差というのはどういったところにあると考えていますか。

山中:私は女子を含めて選手を見ているのですが、やはり体格差ですね。今回のラグビーW杯なども拝見して、参考になる部分は多いと感じています。体が小さい反面、日本人の良さとしてスピードや機敏さ、規律やチーム力は武器にしていくべき部分だと思います。

-今の日本代表はどのくらいの年齢の選手が多いですか。

山中:27歳前後の選手が多いと思います。僕自身もプレーをしてきて、30歳手前くらいが一番選手としていい時期だったと感じました。肉体的にも経験値的にもちょうどいいですね。

-大西さんの娘さんにもぜひ代表を目指してほしいですね!

大西:本人も今のうちから代表を目指したいという話はしていますね。ジュニア世代の選手もトップの代表が五輪に出たりすれば目指すべき目標が明確になって、一つひとつ努力していこうという気持ちになるでしょう。男子もナショナルチームが世界の舞台で活躍して、夢を追いかけられるジュニア選手が増えれば、それだけ底辺の拡大に繋がって、競技人口の増加が期待できます。

山中武司、大西功

-それでは最後に今後のチームの目標を教えてください。

大西:昨年までは上位のチームと実力差があったので、目標をどこに設定するかということを常に悩んでいました。私達はその中で一戦必勝という目標を掲げることにしました。どこが相手の試合に勝つというよりは各々が一つの勝負に勝っていくということを考えるようにしています。一戦必勝で、昨年まで勝てなかったチームに対しても必ず勝つという強い気持ちを持って取り組んでいきます!

山中:今の私のコーチとしての立場から言うと、4年間慶応で過ごした選手達がここでプレーできてよかったと思えるような充実したシーズンにしてあげたいと思います。目標に達することが一番ですが、勝負事なのでもちろん負けることもあります。勝つことだけがすべてではなくて、負けた時にいかに真剣に取り組んで這い上がってこられるのか、ということを学んで、慶應義塾大学体育会スケート部ホッケー部門として胸を張って卒業していってもらえるようにしたいですね。

関連記事