中村輪夢。13歳のBMX日本王者が見据える、世界の舞台

2015年にBMXの本場アメリカで行われたRECON TOURの13~15歳クラスにおいて優勝し、その世代の世界一となっただけでなく、同年に行われたBMX日本一を決める大会・PERUGIA CUPでは日本人最高位の2位を獲得した。それが、中村輪夢だ。若干13歳ながらに数多くの実績を残している彼は、今後、世界で活躍することが期待される日本人BMXライダーの1人であることは間違いない。

BMXに乗っている一番古い記憶は、なんと5歳の時!

-まずは、競技を始めたきっかけを教えてください。

お父さんがBMXライダーをやっていて、専門のショップも開いていたので、僕も3歳になる手前から自然に乗るようになっていました。

BMXに乗っている一番古い記憶は5歳の時のことだったと思います。その頃に初めて大会に出ました。当時はまだ何か特別な技をできるわけではありませんでしたが、いろいろな人に見られながら走るのが楽しいな、とは感じていました。

-競技をしていてどんなところが楽しいですか?

ただ乗るだけでもいいですが、友達と触れ合えたり、新しい技を成功させることができたりした時がやっぱり楽しいです。最近は子供達も増えてきていますが、まだ同じくらいの年齢の人は少ないです。

-BMXという競技の魅力を教えてください。

高く跳んだり、新しい技に挑戦して成功させたりした時に味わえる気持ちよさや達成感が魅力だと思います。

輪夢選手の実際のパフォーマンスをご覧ください!↓

PERUGIA CUP 2015 Final run ~RIMBMX 13years old~ from RIMBMX on Vimeo.

G-SHOCK Real Toughness RIMBMX from RIMBMX on Vimeo.

-BMXは主にどのような場所で競技を行うのでしょうか。

パークと呼ばれる施設が中心になります。あとは自然の中で行うダートもあります。大きく違うのはパークの場合、地面は木や鉄板である一方で、ダートは下が土で、ジャンプ台の間隔も狭かったりするんです。怖いですけど、でもそういうところでできたら楽しいし、気持ちいいです。他には通常の地面を使ったストリートというものもあります。

-輪夢さんのアピールポイントを教えてください。

僕は「離す系」の技が得意なので、例えばスーパーマン(技名)とか、それに関連するものを特に観てもらいたいです。

中村輪夢

-ライダーでもあるお父様からアドバイスされることもありますか?

サッカーや野球のように監督と呼ばれる人がいないので、友達と教え合ったりもしますが、だいたいはお父さんに聞きます。

-新しい技を習得する時はどのように進めるのでしょうか。

海外には本当に様々な技をできる選手がいるので、その動画を見ます。あとは、自分がやっているところも動画に撮ってもらって、後でどこが悪かったのかを振り返るために使用しています。ただ、既にたくさんの技があるので、なかなか自分のオリジナルの技を作るのは難しいですね。

-これだけ早い段階から海外にも出ていって競技をしているわけですが、周りの友達はどんなリアクションをしていますか?

周りでは誰もやっていない競技をしているので、遊びに行く時に自転車を持っていって披露します。すごさを近くで体感してもらって、友達が始めてくれたら最高です!一緒に練習もできるようになりますから。

-輪夢さんは今、どのくらい身長がありますか?

150cm後半です。父も母も身長は高いですが、まだ僕は伸びる時期に来ていません。身長が大きくなれば同じ技でもその分だけ大きく見えるのでプラスなんです。

-スピードを出したり、高く跳んだりする上での恐怖感はないですか?

もうその恐怖心には慣れました。でも初めは怖くて何もできませんでしたね。

-今まで大きな怪我をしたことはありますか?

一番の怪我は自転車のハンドルがお腹に刺さったことです。でもまだ骨折とか、大きな怪我はしたことないです。

-ハンドルが腹部に刺さるのも十分大きな怪我だと思います(笑)一度味わった恐怖心を克服するのはなかなか大変そうですね。

復帰してからもしばらくの間、かなり恐怖心はありました。だから初めはスポンジプールで練習し、段階を踏みながら徐々に元に戻していきました。

中村輪夢

-道具へのこだわりはありますか?

自転車はスポンサーの方から提供して頂いて、それをお父さんがメンテナンスしています。もちろんより乗りやすいもので、色も目立つ方がいいです。あとは僕自身、まだ体が大きくないので、他の選手が使っているものより自転車を軽くしてもらったり、それに合わせたブレーキのセッティングをしてもらったりしています。基本的に僕はこれ一台しか使わないのでどこでも走れるように調整しています。

-他の競技やスポーツをやってみたいと思ったことはなかったのでしょうか。

小さい頃は水泳を習ったり、バックフリップという体を回転させる技があるのですが、その感覚を掴むために体操をやったりはしました。でも、あくまでBMXをやる前提で取り組んでいたという感じです。

何度も技を失敗しても続けるのは“BMXが好きだから”

-今まで競技をやってきて、一番嬉しかったことを教えてください。

今年(※2015.12.取材)アメリカに行って、13~15歳のクラスで優勝したこと、大人も混ざって日本一を決める大会・ペルージャカップで準優勝できたことが嬉しかったです。特にペルージャカップは大会自体が楽しい雰囲気で、お客さんも盛り上がるので、走っていても気持ち良かったですね。

あとはG-shock Real Toughnessに出場し、六本木ヒルズという夢の舞台で世界のトップライダー達と乗れた事が、本当に嬉しかったです!

→大会の結果、様子はこちら

中村輪夢

中村輪夢

-逆に辛かったことを教えてもらえますか?

技をできるようになるために何度も転んで、またやって、というその過程が一番辛いです。それでも続けられているのはやっぱりBMXが好きなんでしょうね。そんなに好きじゃなければ転んだりした時に諦めていると思います。

-大きな大会に出るとなるとそれだけ緊張もすると思います。

僕は他の誰よりもしていると言えるほど、緊張するタイプです(笑)でもそれが成功に繋がっているのかもしれないと感じることもあります。

実際に走っている時はギャラリーの声も聞こえますし、盛り上がっていると僕もテンションが上がって、練習では絶対やりたくないような技も「おっしゃ!やってやろう!」という気になります。ギャラリーあっての大会なので、僕自身が会場を盛り上げていくのも大切なことですね。

-それでもやはり日本より海外の方が大会は盛り上がりますか?

そもそも日本はBMXを知っている、やっている人口が少ないですからね。一方で海外はママチャリかBMXか、と言われるくらい乗っている人がいます(笑)子供達が遊ぶ公園にパークがあったりもします。

僕は特にBMXの本場アメリカの大きな大会で活躍したいです。そして世界でも有名な選手と同じチームに入って、一緒に乗ったりしたいですね。

-競技を通して外国人の友達もできましたか?

そんなにたくさんはいませんが、今年(2015年)海外に行った時に友達ができましたし、instagramで繋がったりもしています。そういう友達と合宿とかをやってみたいです。

-語学の勉強も必要になってきますね!

一応毎日英語の練習はやっています。「勉強は嫌やけど、話せたら楽しいだろうな」とは思うので。BMXの練習と同じくらい重要だと考えています。

中村輪夢

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