宍戸大樹。「ミスターシュートボクシング」が振り返る、18年の軌跡
18年間で積み重ねた試合の数々、有名選手との対戦
——選手としては81戦を戦ったとのことですが、これはすごい数字だと思います。
宍戸 1番多い時は年に8試合くらいやったこともありました。月に2回というのも経験しましたね。シュートボクシングにはS-CUPという世界大会があって、その頃自分は中堅くらいの立場で、海外の選手とのワンマッチに出場させてもらい、なんとかKOで勝つことができたんです。そしたらその3週間後にオーストラリアで開催されるイベントに出場するはずだったうちの選手が怪我で欠場することになって、急遽『宍戸、お前、この試合でKO勝ちしたからダメージないだろ』と言われて海外遠征に送り込まれたなんてこともありました(笑)。
宍戸さんの人生を狂わせることになるブアカーオ選手(右)との対戦
——最も印象に残っている試合は?
宍戸 僕の人生を狂わされたという意味では、ブアカーオ(・ポー・プラムック)と試合をして15秒でKOされたあの試合ですかね。
その当時のK-1はTVの全国放送があって、対戦前に自分には“日本中量級最後の大物”というキャッチフレーズを付けられ、業界内でも『宍戸をK-1 MAXに出したら面白いんじゃないか』という待望論みたいなものまであって、自分も調子に乗って浮かれてしまっていたんだと思います。
いざ試合になったら会場の空気に飲まれてしまい、“攻めなきゃ、攻めなきゃ”と思っていたところで1発を食らってあっけなく倒されたんです。その後はみんなの視線が『何をやっているんだ、お前は』というような感じでしたね。世間に、まるでシュートボクシングが負けたというような印象をつけることになってしまいました。
ネットでも炎上騒ぎになっていることを友達から伝えられて、見ちゃいましたよ。『シュートボクシングの看板を背負ってあれかよ』というようなことを言われていました。当時は2ちゃんねるの全盛期でしたから、本当にすごかったです(笑)あれはだいぶ引きずりました。相手が強かったという意味でもそうですけど、印象的ですよね。
その強さに衝撃を受けたアンディ・サワー選手(右)
——シュートボクシングでいうと、アンディ・サワー選手が有名ですが、対戦はいかがでしたか?
宍戸 アンディ・サワーの強さは衝撃的でしたよね。彼とは3回戦いましたが、3敗しました。 1回目はトーナメントの決勝戦で自分もボロボロの状況でした。2回目はまたトーナメントの準決勝で当たりました。これも結局はやられたのですが、途中強烈なボディーを入れられたんですよね。
普通だったらワン・ツー・ボディーというコンビネーションでも3発のテンポがあるため、タイミングに合わせて腹筋に力を入れるのですが、アンディのスピードは他の選手と比べ物にならなくて、力を入れる間もなくボディーをエグられるようなパンチを食らってしまいました。あれは衝撃でした。パンチの回転も速いし連打もすごいし、重さもある。2004年の初めての対戦では1ラウンド中に3回気を失ったりもしました。本当に、アンディ・サワーとブアカーオはレベルが違いましたね。
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