• HOME
  • 記事
  • その他
  • 止まったボールを打つ野球!女子プロ野球選手も薦めるティーボール

止まったボールを打つ野球!女子プロ野球選手も薦めるティーボール

野球経験がない人にとって、直径6〜7cm程度のバットを人が投げる野球ボールに当てるというのはなかなか難しい。守備においても硬いボールが飛んでくる恐怖心と、取って投げる動作の難しさがあり、そういう意味で野球は初心者にはハードルの高い競技の1つと言えると思う。

そんなハードルを限りなく低くしたのが、ティーボールという競技だ。3月9日に女子プロ野球・埼玉アストライアの強化練習最終日にファン交流イベントとしてティーボール大会が行われたので、実際に体験してきた様子と合わせてご紹介したい。

簡易版野球、それがティーボール。経験者には意外と難しい!?

ティーボールとは打ったボールがホームに帰ってくるまでに、打者がいくつ進塁できるかで得点を争う競技。ボールがホームに戻されるまでに2塁まで到達したら2点、3塁まで到達したら3点といった形で得点が加算されていく。ランナーは塁上には残らない。ノーバウンドでキャッチされてしまったら0点で次の打者に回る。

打者はホームベースの上に筒状の台を立てたもの(いわゆる“置きティー”)の上にボールを置き、それを打つ。止まっているボールなので、誰にでも簡単に打つことができる。使用するのは柔らかいポリウレタン製のバットとボールで、当たっても痛くなく、捕球にグローブも必要ない。アウトカウントの概念はなく、チーム全員に1回ずつ打順が回ったら攻守を交代する。

つまり野球からピッチャー、塁上ランナー、アウトカウントの要素を省いたのがティーボールである。

実際にティーボールを打ってみたが、野球経験者である筆者にはかえって難しかった。というのも、まずバットが通常の野球用のものよりも軽く短いので、普通の感覚で振るとしっかりミートしなかったりするのだ。ボールも軽いので、思ったより飛ばない。

逆に技術や力の差が出にくいので、子どもから大人まで男女問わず、楽しめる競技になっている。当日も女性や野球未経験者に加え子どもも一緒に参加していたが、経験者より器用に打球を飛ばし、キャッチする者もいたほどだ。

ティーボール

ティーボールを通した野球普及に取り組む女子プロ野球

誰でも簡単に野球のプレーの魅力を体験できるティーボールの普及活動に力を入れているのが女子プロ野球・埼玉アストライア。選手、コーチ、スタッフ全員が日本ティーボール協会の発行する「TTA公認指導者認定証」を取得しており、小学校を中心にティーボール教室などを行っている。ティーボールは文部科学省制定の学習指導要領にも入っており、全国の小学校の体育の授業でも実施されるようになってきている。

その体験教室の窓口業務も行い、自身も積極的に指導を行っているのが、岩谷美里選手だ。他にも昨年末に行われたイベント・ありがとうパーティーの企画を行うなど、ファンとの交流や野球の普及発展活動に取り組んでいる。

「一番は野球を広めていきたいという想いからです。今の時代は公園で野球が禁止されていたり、なかなかやる環境がなくなっています。その一方で授業の中でティーボールを取り入れる学校が出てきているので、私達にできることとして、その指導をしていこうということになりました。」

ティーボール

この日のように練習や試合後に解放されたグラウンドを目一杯に使って、選手と交流しながら野球やティーボールを楽しめるというのは、子どもにとって貴重な体験だろう。女子プロ野球選手の“お姉さん”に教えてもらえるのは親近感もあって嬉しいはず。

一方で選手活動と並行して、学校での体験教室の窓口業務もこなすのはなかなか大変なようだ。

「すぐ返事ができなかったりして、相手の方にご迷惑をおかけしてしまうこともあって、そこは本当に申し訳ないです。試合や練習の兼ね合いもあって、なかなか日程を調整するのが大変で。でもこちらとしても数多くやりたいので、どうにかできるように動いてはいます。」

岩谷美里選手

打席に立つ岩谷選手

関連記事