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鍵は目的×共感!五輪を100年スポンサーする企業が語るスポーツの価値

約半世紀ぶりに五輪夏季大会が東京にやってくる。来る2020年に向け、東京五輪に関わりたい、これを機にスポーツを活用してみたいという企業は多いが、どのように関わったらよいのか、またどうしたら関われるのか、困っているというのが本音だろう。

そこで日本最大級のスポーツ業界求人情報サービスであるSPORTS JOB NETWORK が、企業とスポーツの関わり方の事例を紹介し、そのヒントを探るイベントを開催した。その中で100年近く五輪のスポンサーをしているコカ・コーラ社の渡邉和史氏が2020年とその後に向けて、企業とスポーツの関係構築について、語ったのでその模様をお届けする。渡邉和史氏は博報堂でトヨタ自動車の担当として、リベルタドーレス杯の運営や同社キャンペーンなどを担った後、FIFA Marketing AG、博報堂DYメディアパートナーズを経て、日本コカ・コーラに入社し、2014年ブラジルW杯のキャンペーンなどを手掛け、現在はコカ・コーラのスポーツ/エンターテインメントの交渉窓口、コミュニケーションプロデュースのほか、IOCとの共同プロジェクト、五輪ムーブスにも携わっている。

スポーツマーケティングの基本

私は広告代理店で10年、FIFA国際サッカー連盟で3年、コカ・コーラで7年、と計20年間スポーツマーケティングに携わっているので、今日はその観点から、どのようにスポーツに価値を見出し、なぜスポンサーがお金を出すのか、というところをお話できればいいなと思います。

まず、1980年代後半から1990年代前半にかけて、日本の高度経済成長で大成功を収めた企業が、みんなこぞって日本のみならず海外に自分たちの名前を宣伝しようと考えたときに、スタジアムの電光掲示板などではなく、もっとインパクトのあるマーケティングが必要なんじゃないかということで外国の有名サッカーチームのユニフォームの胸スポンサーをし始めました。

スポンサーシップには必ず目的があるんですよ。目的を達成したいから、お金を出す。そういう面で、「自分たちの名前をヨーロッパ中に売る」という目的のためにスポーツチームの胸スポンサーというコンテンツを活用することは、基本中の基本のスポーツマーケティングであると言えます。

コカ・コーラと五輪の深い関係

我々コカ・コーラは1886年にアトランタで生まれ、2〜30年かけてフランチャイズシステムを使用してじわじわと事業を拡大し、アメリカで成功を収めました。

その後さらにもっと事業を世界に広げるためのコンテンツを探しているときにIOCと出会って、1928年のアムステルダム五輪からスポンサーをしております。

その時はアメリカから5,000ケースのコカ・コーラを船に積んで、太平洋を通ってアムステルダムへと渡っていきました。コカ・コーラは、世界各国から集まるアスリートにコカ・コーラを味わって頂いて、その瓶を自国に持って帰ってもらって存在を広めてもらう、という戦略をとったんですね。

その戦略を成功させることこそが一番初めにコカ・コーラが五輪をスポンサーした目的になります。

IOCとしても1928年からスポンサーをしている我々に敬意を表してくださっているので、今いるスポンサー(※)55社がABC順で並べられている中で、我々の名前は一番最初に挙げられています。

現在コカ・コーラは、209カ国が加盟しているFIFAや210カ国が加盟しているIOCとスポンサーシップを結んで、各国でコカ・コーラを広めるという目的のために前衛的な販売戦略を取っています。ではなぜ多額のお金を払ってまでIOCやFIFAと契約するのかというと、大会を盛り上げるとかいう日本的な発想ではなく、「全てはビジネスのため」という一言に尽きます。

今東京五輪のスポンサーで、(※)55社のうち42社が国内企業なんですけど、中には目的がないまま五輪のスポンサーをしているところもあると思うんです。何のためにやっているのかがわからないと中途半端なコミュニケーションしか出来ないですよね。

明確な目標を持って、何のために五輪をスポンサーするのか、五輪を使って自分たちのビジネスをどう考えるのか、どう変えるのかという目的がない限り、スポンサーをすることは意味ないのかなという風に思います。

※2017年5月30日にリクルートホールディングスが新たにオフィシャルパートナー契約を結び、東京五輪のスポンサー企業は56社、うち国内企業は43社になった。

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