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元ヤクルト・加藤幹典がアカツキと共に描く“Hero’s academy”の裏側

食堂で勉強をしているときに言われた一言

ー加藤さんに聞きたいのですが、プロを引退した方はどういうキャリアを歩んでいるんですか?

加藤:僕らがいた頃までは、半分以上が球団や野球関係の仕事に就いています。その中の3分の1くらいは、もともと親の会社を引き継いだり、自分で仕事を立ち上げたりしています。あと3分の1は何をしているのか良くわからないというのが正直なところです。

ーアスリートのセカンドキャリアについては、多くの議論がなされています。現役時代から引退後を考えて動くのもありかなと思うのですが、競技以外のことに力を入れていると批判されがちですよね。

加藤:僕も現役時代、3年目で肩を痛めたことがあって。キャンプ期間中の夜、練習と食事が終わった後ぐらいに簿記の勉強をしていたんですよ。その勉強を食堂でやってたのがいけないのかもしれないですけど「お前、何やってるんだ?」と言われて。まさしくですよね。

「ここに何しにきたんだ、野球しにきたんだろう!」とめちゃくちゃ怒られたんです。私の先輩が現役時代、ロッカールームで六法全書を読んでいたときにも「お前、何しにきたんだ!」と言われたことがあると聞きました。そういう世界なんですよ。怒られてしまいますし、そのまま蓋をされている状態なので、変人扱いされてしまう側面はありますよね。

遠藤:僕は1つの人生で、2つ、3つと自分のやりたいことがあることは正しいと思っています。別に引退した後の自分にセーフティネットを張っているわけではなく、単純に法律や税務に興味があるわけじゃないですか。ビジネスマンとしての自分に可能性を感じていることに対して、蓋をする習慣はなくしていくべきだと思います。

加藤:とはいえ、自分はスポーツ畑で生きてきたし、ドラフト1位というありがたい肩書きがある。それを活かさなければいけないとも思っていました。それを活かしながら、次のキャリアに展開できたらなと。いろいろなことにチャレンジはしたいですけど、最終的に柱となるのはスポーツ。スポーツに還元することを柱に置きながら、そのつながりで何か仕事があればチャレンジしたいなとは考えています。

ーこのアソビルを通じてスポーツ業界に還元したいものはありますか?

遠藤:象徴となるものを作りたいと思っています。東京マラソンが始まったときに、本当に素晴らしいものができたと思ったんです。一般の方でも何かがんばりたいと思えることが、仕事以外でできた。先頭で走っている日本代表クラスの人たちもヒーローですけど、彼ら彼女らだけではありません。

今回のHero’s academyという名前は2人で考えたのですが、やはりスポーツは自分がヒーローになれる場であり、自分を人生の主役にできる場。自分の人生でこれをがんばっていて、今はこれをやっている自分が好きなんだ、主役なんだと思えるような瞬間を、練習というプロセスを含めて作りたいんです。この動きは人々の幸福度をあげることになりますから。他のスポーツであっても甲子園、箱根駅伝に次ぐ学生スポーツの象徴を作ってみたいですね。

加藤:このネーミングをつけた背景にある思いを挙げさせていただくと、スポーツ界は先ほどのセカンドキャリアという言葉で悪いイメージがあるじゃないですか。でも実際に今、古木さん(古木克明 元DeNAベイスターズ)も関わってくれていますけど、「プロを引退しても、もう1度輝ける場所があるんだよ」というメッセージを込めたいんです。彼らもヒーローであり、選手人生だけで終わってほしくないので。

あとは、僕は横浜で生まれ育ったので、もう1回この地域を盛り上げたいとも思っています。自分を育ててもらったという意識はありますし、このあたりはスポーツができる環境がそんなにない。せっかく貴重な場所ができたので、ここからもう1回横浜をスポーツで盛り上げられることができたらなと思っています。

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