最高の一瞬『1区・朝のスタート直後の風景(箱根駅伝)』

これは2019年の1区の様子。選手たちを真正面から撮れる、報道カメラ車に乗って撮影したものです。

まだスタートして間もないところでは、選手たちは東京のビル群のなかを南に向かって走っていきます。集団がビルの影に入ったかと思うと、次に東から朝日がさしてきて、またビルの影に入っていく。

こうした光と影のコントラストを出したいと思って撮った写真です。2区以降になると選手たちがバラけてしまうので、この集団の感じは出せません。また前を先導して走っている白バイのヘッドライトもあるので、その光も意識して押えました。

報道カメラ車には、4、5年に一度順番が回ってきて、乗車して撮影することができます。朝8時にスタートしますが、一度乗車したら、ゴールまで約5時間半乗りっぱなしになるので、スタート前はトイレにしっかり行っておかないといけません。

また前日も夜8時くらいまでには食事を済ませるといった、健康診断の時みたいな準備をします。そのほか、防寒対策をしたり、天気を気にしたりなど、前日からなかなか緊張する撮影なのですが、面白い体験をさせてもらっています。

▼岸本勉(キシモト・ツトム)

1969年生まれ、東京都出身。10年余りスタッフフォトグラファーとして様々な国内外のスポーツイベントを撮影。2003年に独立、「PICSPORT(ピクスポルト)」を設立。良くも悪くも人の記憶に残る写真を撮ることを心がけている。オリンピックは夏季冬季合わせて13大会、FIFAワールドカップは7大会、ほか国内外問わず様々なスポーツイベントを取材。2015年FINA世界水泳選手権カザン大会より、オフィシャルFINAフォトグラファーを担当。国際スポーツプレス協会会員(A.I.P.S.)/日本スポーツプレス協会会員(A.J.P.S.)

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