最高の一瞬『西日と投手_ダルビッシュ有(野球)』

甲子園球場の屋根が改修される前、このように西日を受ける投手と、その陰を写す写真を、1塁側スタンドから撮影するのが定番となっていました。

写真は、現在MLBのサンディエゴ・パドレスで活躍する、ダルビッシュ有選手の高校時代です。東北高校で2年生の春夏、3年生の春夏と甲子園でプレーしましたが、これは2年生の夏に出場して、準優勝したときのものです。

高校時代に何度か取材をさせてもらったことがありますが、野球に対して非常に真面目な感じで、それが現在の活躍につながっているのだと思います。松坂大輔選手以来の怪物として騒がれて、人気もすごかったですが、本人の雰囲気はクール。それでもこの大会の決勝で敗れたときは大泣きしていて、びっくりさせられたのを覚えています。

とにかくこのときからピッチングはすごくて、才能を感じました。結局、高校のときはダルビッシュ選手が打ち込まれて負けたという試合はなかったんですよね。糸を引くようなストレート。キレキレの変化球。195cmという大柄な体格なのに身のこなしが柔らかいピッチングをしていて、いわゆる「日本人離れした」印象を受けました。

▼小内慎司(こうち・しんじ)

1968年、東京都生まれ。写真学校卒業後、朝日新聞出版写真部嘱託となり、アサヒグラフ、週刊朝日の取材で71回大会から100回大会まで夏の高校野球選手権を30年連続で撮影。現在は通信社と契約し、プロ野球を中心に活動している。

関連記事