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大谷翔平を見つけた野球ライター選出! 2021ドラフト“滑り込み候補生“

10月11日に開かれるプロ野球新人選手選択会議、通称・ドラフト会議。野球専門誌ではドラフト特集が組まれ、数々のドラフト候補選手が紹介されている。

だが、毎年ドラフト会議直前になって猛アピールに成功し、スカウト陣の評価を高める「滑り込みドラフト候補」の存在がある。そこで今回は、雑誌ライター泣かせの“滑り込みドラフト候補”たちを一挙に紹介していこう。

文・写真=菊地高弘
編集=花田雪

秋の快投で注目度急上昇!東西・大学生右腕

この秋、別人のようなアピールを見せているのは岡留英貴(亜細亜大)[写真]だ。

沖縄尚学時代は本格派右腕として知る人ぞ知る好素材だったが、亜細亜大では腕を振る位置を下げて台頭。サイドハンドから高めに向かって吹き上げるようなストレートが魅力だった。

だが、今春のリーグ戦では6試合の登板で防御率6.39と結果を残せず。リーグ戦終了後、「生田(勉)監督に勧められて腕を振る角度を少し低くしたところ、感覚がはまった」ときっかけをつかんだ。

今秋のリーグ戦では10月4日現在、5試合に登板して25イニングを投げ、防御率0.72と結果を残している。高めだけでなく低めにも力強いストレートを投げ込めるようになり、スライダー、カーブ、ツーシームのコントロールも向上。リリーフ適性の高いタイプながら、リーグ戦では先発やロングリリーフでも快投を見せている。

亜細亜大といえば昨年の平内龍太(巨人)も大学最後のシーズンに強烈なパフォーマンスを見せ、ドラフト1位指名を勝ち取っている。大事な時期に心技体を仕上げてくる調整力は、さすが名門と言えるだろう。

東の急浮上大学生右腕が岡留なら、西の急浮上大学生右腕は翁田大勢(関西国際大)。右ヒジの故障から短期間で這い上がってきた。

もともと球威のあるストレートを武器に、阪神大学リーグを代表する剛腕と評判だった。だが、最終学年の今年は5月のリーグ戦で1アウトも奪えず4失点の乱調で降板し、さらに右ヒジの疲労骨折も発覚。ドラフト戦線から脱落したかに見えた。

ところが、今秋は9月19日の大阪産業大戦で自己最速となる157キロをマークして、復活をアピール。速球派としての資質の高さはすでに認められているだけに、ドラフトに向けて大きなデモンストレーションになった。リリーフタイプとして需要が高まりそうな気配だ。

ただし、阪神大学リーグは新型コロナウィルス感染対策のため、緊急事態宣言中は入場者数を限定していた。プロスカウトが公式戦を視察できたのは、10月4日の大阪体育大戦のみ。ただし、この日は全12球団総勢40人超のスカウトが視察に訪れている。視察回数が乏しいなかでドラフト指名につながるのか、コロナ禍ゆえのハードルが立ちふさがる。

甲子園を沸かせた“あの左腕”もドラ1候補に

社会人で目覚ましい進化を見せ、ドラフト1位候補に急浮上してきたのは山田龍聖(JR東日本)[写真]だ。高いリリースポイントから最速153キロの快速球を投げ込み、決め球のチェンジアップが冴え渡る。マウンドで雄叫びをあげる姿もエネルギッシュな、高卒3年目のサウスポーである。

高岡商では、3年夏の甲子園で春夏連覇した大阪桐蔭を相手に8回11奪三振の快投で一躍スポットライトを浴びた。高校時から痛めていた左ヒジの回復に時間がかかったこともあり、本格的に公式戦に投げるようになったのは今季から。夏場から「JRの山田が化けてきた」という噂がアマチュア野球のバックネット裏で駆け回っていた。

実戦経験の乏しさゆえの詰めの甘さは残るものの、イキのよさと将来性は魅力十分。将来的には奪三振を量産できるタイプの左腕に成長しそうだ。

もどかしい時期を越え、豊かな才能を開花させつつあるのは、吉村貢司郎(東芝)である。日大豊山高、國學院大と目を見張る快速球を投げ込んでいたが、近年は大事な試合で実力を発揮できずもどかしい時期が続いた。

ところが、9月27日の都市対抗西関東予選・ENEOS戦では一世一代の投球を披露。自己最速の153キロを計測し、縦の変化球を駆使して10三振を奪った。中1日で登板した29日は7回途中で降板したものの、ようやく殻を破った感がある。

ただし、NPBサイドから大卒社会人に求められるハードルは高い。年齢的に即戦力になることが求められるため、年間通してコンスタントな投球を見せた投手が評価される傾向にある。右肩上がりの成長曲線を買うのか、波の激しい投球内容を見るのか、スカウトの判断力が問われそうだ。

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