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新スタジアム、海外進出、地域貢献…セレッソ大阪が企業に提供する価値とは

UPDATE 2021/08/30

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プロスポーツクラブの経営において、パートナー企業からの支援は欠かせないものです。そしてその対価として、クラブは自らが持ちうる資産や強みを通じ、パートナー企業に対して最大限の価値を提供する。これは今も昔も変わらないクラブとパートナー企業との強固な関係性です。

しかし、一昔前は、スタジアムの看板やユニフォームのロゴ掲出などによる“露出”や、それに伴う“企業イメージの向上”がパートナー企業にとって主たるメリットでしたが、時代の移り変わりに伴い、クラブが提供できる価値は多様化してきています。

では、セレッソ大阪(以下「セレッソ」)がパートナー企業に提供できる他クラブには無い価値とは何なのか。今回は現場で動くスタッフの話から、その問いを紐解いていきます。

(取材日:2021年7月21日)

ヨドコウ桜スタジアムが生み出す新たな価値

2021年7月にこけら落としを迎えたヨドコウ桜スタジアムも、パートナー企業へ新たな価値を提供できうるアセットのひとつです。新設されたVIPラウンジ(プラチナラウンジ)はパートナー企業の社内イベントやコワーキングスペースとしても利用可能な他、複数のVIPルーム(“SAKURA ROOM”)では、権利を有する企業が、年間を通じて他では得られない特別な観戦体験を楽しむことが出来ます。

また、観戦だけなく商談の場としての活用も可能であり、“非日常の体験ができる場所の提供”という意味で、これまでにはなかったパートナーシップの形のひとつとなります。

SAKURA ROOMの内装

「ヨドコウ桜スタジアムの体験を、より期待されるものにしていきたいなと思っています。25,000人収容のスタジアムの席をプラチナチケットにしたいなと。もちろんチーム成績なども関わってきますが、常に満員になるように。入手が困難なチケットをパートナー企業であれば入手できるとなると、自然と価値は上がっていくと思います。

それに付随して、VIPルームでは食事をしながらサッカー観戦を楽しむことができる。この部分の質も高めたいので、食事や飲料の質のみならず、おもてなしの質も高めていこうと。こういった形で、色々な側面からブランド力を上げていくことが今のセレッソには必要です。価値が上がることでパートナー企業の満足度も最終的には上がっていくと考えています」

セレッソ大阪 事業部 部長 猪原 尚登氏

ヨドコウ桜スタジアムについて、事業部の猪原尚登 部長はこう語ります。

活用方法は様々で、社員さんの家族を招く“福利厚生”として使うこともあれば、自社サービスや商品のPRのために行うキャンペーンの体験型商品として利用する形もあるとのこと。

「一例として、セレッソ大阪のパートナー企業である食品メーカーは、新商品が出た際に小売店へ営業するための商談の場として利用されています。もちろん、その後のサッカー観戦もセット。2時間以上一緒にいるので、普段の営業よりも距離が近くなる効果があります」

ビュッフェ式の食事をとりながら試合観戦を楽しめるプラチナラウンジ

海外ビジネス拡大のハブとなる

企業の海外進出をサポートできるのもセレッソの強みのひとつです。

2012年にタイのプロサッカークラブであるBGパトゥム・ユナイテッド(以下、「BG」) とパートナーシップを締結して以降、選手や指導者、アカデミーの交流という現場サイドでの取組みに加え、パートナー企業の東南アジア進出といったビジネス面での協業も行なっています。その一つの事例として挙げられるのが、セレッソのプラチナパートナーであるナカバヤシ株式会社(以下、ナカバヤシ)です。

もともとナカバヤシはタイでの事業拡大を図るべく自社で動いていましたが、価格等の条件面での折り合いがつかず難航していました。しかし、思わぬところで商機が生まれます。

セレッソのイベントでBGのグラウンドを訪れた際、BGの親会社であるガラス製品メーカーと出会ったのです。その面談中に、両者が意気投合しサッカーの話からビジネスの話へと展開した結果、この企業の調光ガラスを日本に輸入して販売してはどうかという声が上がり、本格的にナカバヤシが事業のパートナーとなって進めるという話に至ったのです。

オフィスのプライバシーを守るナカバヤシの調光ガラス「N-Smart」

「こういったマッチングは増やしていきたいと思っているので、一つの良い事例になったなと思いますね。パートナー企業になれば看板がでる、チケットが貰える…ということを謳い文句で売っていたのが20年前。

ただ最近はナカバヤシさんの事例がきっかけにもなり、“いかにクラブとパートナー企業が協働してビジネスチャンスを創ることができるか”ということを意識していますね。クラブとして、従来の露出に加え、協業、ビジネスマッチングといった新たな価値を提供しなければならないと。ナカバヤシさん以外にも、既にいくつかのパートナー企業とそのような取組みを行っており、今後もクラブ側から積極的に仕掛けていきたいと考えています」と猪原氏は言います。

地域課題を共に解決するパートナーシップ

セレッソはパートナー企業と共に積極的に地域貢献に取り組んでいます。代表的な活動の一つとして、2018年より大阪市立図書館と実施している読書手帳の作成が挙げられます。この活動は、小学生が夏休みの期間中に一定数の本を読むと、抽選でステッカーやノートなどのセレッソグッズやホームゲーム招待券がプレゼントされるというものです。

元々この活動が始まった背景は、大阪市が小学生の読解力低下という課題を抱えていたことでしたが、2019年よりナカバヤシ株式会社、株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング、東洋シール株式会社、株式会社ヘソプロダクションといったセレッソのパートナー企業4社が活動の趣旨に賛同し、協賛する運びとなりました。

企業として無視できない地域課題解決を、セレッソと共に進めていく。こういった「協業」もパートナーシップの魅力の一つです。また、昨今話題となっているSDGsの取組みについても、現在進行形で動いています。企業として向き合わなければいけないSDGsのゴール達成を、セレッソと共に目指していくという形です。

社長室 ホームタウングループ グループ長 長谷川 顕

「クラブのホームタウンである大阪市や堺市を中心とした地域の困りごとを、このヨドコウ桜スタジアムをはじめとするセレッソのアセットを起点に解決していこうと思います。そして、その趣旨にご賛同頂いたパートナー企業と共に、活動の量や質を高めていき、色々な人を巻き込みながら大きなムーブメントへと育てていく。

企業も看板を出します、名前を売ります、というような時代ではなくなってきているので、そういったクラブの地域貢献活動を共に支える形が新たな価値を生むのかなと思います。派手さはないですけど、共に地域課題解決に取り組むことが企業のイメージアップにも繋がり、ビジネス拡大に貢献できますから。」

地域との取り組みについてこう語るのは、長谷川顕 ホームタウン グループ長です。

ただ、長谷川氏は「セレッソは“売りもの”にしたいがために地域貢献をするわけではない」と強調します。「あくまでもプロサッカークラブが地域に果たす責任を全うする」と。

ビジネスに偏った地域貢献になるのではなく、あくまでその活動に共感する企業が現れれば、適切なパートナーシップを作っていく。地域に根差すプロサッカークラブとしてセレッソがどのような形でパートナー企業とともに地域貢献できるのか、ホームタウングループを中心に、クラブスタッフの間では日々議論が交わされています。

多くの魅力をこれからも伝えていく

セレッソがパートナーに提供できうる価値はこれだけにとどまりません。“100社あれば100通りのパートナーシップの形がある”、セレッソではこのことを強く意識し取り組んでいます。しかし、まだまだ伝えきれていない面が多いことは事実。

「パートナー企業はスタジアムに広告を出して終わりと認識されがちですが、そうではなくて、さまざまな権利がついています。広告を出して試合の招待券がついているだけではなくて、『こういう取り組みができます』ということは我々が主体的にパートナー企業へもっと伝えていかなければいけません。

ビジネスマッチングもしかり、キャンペーンの活用法の紹介もそう。社員の皆さんのES向上にも活用されていますよ、ということも。この点はもっとセレッソとしても意識してやっていかなければいけないですね」と猪原氏は話します。

セレッソがパートナー企業へ提供する価値の追求はこれからも続きます。

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