【#5】ついにコースデビュー 悪戦苦闘の結果、スコアは…?
ゴルフの世界では「上手くなりたいなら、延々と練習ばかりしていないで早めにコースに行った方がいい」という定説があります。なぜなら、実際のコースと練習場の環境が大きく異なるからです。
練習場では、平らで障害物のないマットからボールを打つことができますが、コースでは完全に平らな場所というのは存在しません。コースは自然環境を生かして作られているので、どんな場所にも多少の起伏があります。場合によってはかなりきつい角度の斜面からボールを打たなければいけないこともあります。
地面の状況にもいろいろあります。長い芝のラフもあれば、砂が敷き詰められたバンカーもあるし、土がむき出しになったベアグラウンドもあります。状況に応じて打ち方を変えていく必要があるのです。
ベストスコア135の漢が語る、ゴルフの本質
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また、練習場ではただまっすぐ飛ばす、遠くに飛ばす、といったことを考えがちですが、実際のコースでは、狙った距離と方向に正確に飛ばせるかどうかということが問われます。あくまでも目的とする場所があり、そこにどうやってボールを運んでいくのか、というのがゴルフの本質なのです。
……などと、ベストスコア「135」の産業廃棄物ゴルファーが偉そうにゴルフ論を語ってしまいましたが、とにかく練習場とコースは違うということです。だからこそ、「コースには早めに行った方がいい」「一度コースに行かないとどういう練習をすればいいのかがわからない」などと言われたりするのです。
しかし、一方で、ゴルフコースでは「プレーファースト」が求められ、後続の人を待たせないために素早いプレーを心がけなくてはいけない、とも言われます。空振りやミスショットを繰り返すレベルの初心者は、どうしてもプレーに時間がかかり、迷惑をかけてしまう可能性があります。
上達のためにはコースに早く出た方がいい。でも、まともにプレーできないぐらい下手だと迷惑になるからやめた方がいい。この2つの一般論のせめぎ合いによって、初心者ゴルファーは「じゃあ、いつになったらコースに行っていいんだよ」と思い悩むことになります。
私も自分ではなかなか決心がつかなかったのですが、前回書いた通り、「ラリーさん、ゴルフスクール通い始めたんですよね?だったらもう完璧じゃないですか!一緒にコース行きましょうよ!」というイケメン編集者スダ(仮名)の誘いに乗り、ゴルフを始めて約2カ月でコースに挑戦することになりました。これで上手くいかなければスダの責任です。
私が実力不足でスローなプレーをしてしまっても、イライラする後続組に土下座して詫びるのは彼の仕事。私自身は「なんででしょうね?必死でやってるんですけど、うまくいかないんですよね」と他人事のような顔をして必死にクラブをブン回すのみです。
そんな気持ちでドキドキしながら臨んだ初ラウンドは、何とか大きなトラブルもなく終わりました。スダによると、私は終始、金剛力士像ぐらい厳しい表情で黙々とプレーをしていて近寄りがたかったそうですが、自分ではよくわかりませんでした。
スコア184?そこは気にしてません
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スコアは184でしたが、そこは気にしていないから別にいいのです。ただ、やっぱり練習と本番は全然違う、ということを思い知らされました。
練習ではそこそこ当たっていたアイアンも、コースでは空振りとダフリが頻発する。まともに気持ちよく当たったことはほとんどなし。ただ普通に打てばいいだけなのに、その「普通」ができない。
あと、段取りがわからなくて戸惑う場面が多々ありました。自分の打ったボールがどこに行ったのかわからなくて探すのにやたらと時間がかかったり、ボールを打つ場所に行くまでにどのクラブを何本ぐらい持っていくか迷ったり、カートに乗るか歩くかの判断を間違えたり、ティーショットの後でティーを拾い忘れたり。
とにかく、ゴルフというゲームをしながらゴルフ場という広大な空間を動き回る、というミッションを無事にこなすことに精一杯で、プレー自体のことを考える余裕はほとんどありませんでした。
初めてファミコンのコントローラーを握った少年が、どれがAボタンでどれがBボタンなのかを考えることだけに気を取られて、敵を避けたりジャンプしたりすることもままならないのと一緒です。2022年にファミコンでたとえる勇気だけでも覚えて帰ってください。
初めてコースに行った感想を一言で言うと「これがゴルフか…」です。それまでにも2カ月間、インドアのゴルフスクールに通って自分なりに練習はしていたつもりだったのですが、あれは全くゴルフではなかったな、コースに行ったときのことを何も考えてなかったな、と思いました。
「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」風に言うと、ゴルフはコースでやるものであって、練習場でやるものではないのです。コースでいいスコアを出すためには、練習への意識を根本から見直す必要がある、ということに気付かされました。
あと、2022年に『踊る大捜査線』でたとえる勇気だけでも覚えて帰ってください。(続く)
>>【連載】連載:ラリー遠田の「ゴルフ沼へようこそ」〜日本一不器用な初心者ゴルファー奮闘記〜
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