【#18】ゴルフで大切な「力を抜く」とはなにか “球を飛ばす”と“脱力”の矛盾

ゴルフ沼

「力が入っている」と言われがちな人生を送ってきました。スポーツや運動が全般的に苦手だったのも、主な原因はこの点にあるように思われます。自分では意識していないつもりでも、余計なところに力が入っているために正しい動きができないことが多かったのです。

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ゴルフを始めたばかりの頃は特に、力を抜くというのがどういうことなのかよくわかっていませんでした。講師には「力を抜いてください」とたびたび言われるのですが、意識して力を入れているつもりがないので、力を抜くこともうまくできないままでした。

そもそも、私の感覚では、ゴルフで力を抜くって難しくない?と思うんですよね。ゴルフクラブって結構重いじゃないですか。ある程度の重量がある金属の棒を両手で持ち上げて振るわけだから、力が入るのが当たり前であって、力を抜いたらクラブが持ち上がらないんじゃないでしょうか。
持ち上がる程度の力は入れろっていうことなのかもしれませんが、だったらやっぱり力入ってるじゃん、っていう話になるわけで。力を抜くっていう話はどこに行ったの、と。
初対面で「お互い敬語とかナシでいこうよ」って言ってくるタイプのバイト仲間ぐらいめんどくさい気がします。そう言われて敬語なしにするのを意識する方が気を使うからむしろ敬語ありの距離感を保ちたかったんですけど、みたいな。(このたとえが合ってるかどうかは自信ないです)

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ゴルフクラブを握るときの力の強さに関しても、いろいろな流派があるとは思うのですが、どちらかと言うと「力を入れず、なるべくゆるく握れ」という教えが一般的だと思います。「ゆるゆるグリップ」という専門用語もあります。
ゆるゆるグリップを推奨する人の理論によると、クラブは極限までゆるく握った方がいい。どのくらいかというと、グリップを握った状態で真正面から誰かがクラブを引っ張ると、そのままスポッと抜けてしまうぐらいの力加減でいいそうです。
ゆるく握るのに慣れていない人は、そんなにゆるく握ったら振ったときにクラブが手を離れて飛んでいってしまうのではないか、と思ったりする。でも、心配ない。グリップの根本は少し太くなっていて、そこに指が引っかかるのでクラブがすっぽ抜けることはない、とのこと。

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私は、ゴルフを始めた頃にこの理論を知って、へえ、なるほどね、と思って自分でも試してみたのですが、実際はなかなかうまくできませんでした。ゆるゆるグリップ理論を文字通りそのまま実践すると、たしかにすっぽ抜けることはないのですが、クラブを振っているときに手の中でクラブが滑って回転してしまうことがあるのです。
これが起こると、フェースの向きが変わってしまうので、打球は大きく曲がってしまうことになります。それを避けようとすると、どうしても多少は力を入れてグリップを握ることになる。ほら、また出てきた。敬語ナシにしようって言ってくるタイプのバイト仲間。(このたとえは合ってない気がしてきました)そのあたりで行き詰まっていて、ゆるゆるグリップからは長く離れていました。
しかし、前回書いた「左手主導か、右手主導か」にまつわる試行錯誤を経て、やっぱり力を抜くのは大事だよね、というところに戻ってきました。そこで、改めて力を抜いて振ることを心がけるようにしました。


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現在の私は、最初に左手でクラブを握ってから、そこに右手を添えるようにして握っていくようにしています。この右手を握るタイミングで、両手の力を意識的に抜くことにしたのです。一連の動作の中で、このときに抜く、というふうに決めておけば、毎回それをできるのではないかと考えました。
このルーティンを導入することで、手元の力を抜くことは何とか意識できるようになってきました。少なくとも、グッと強く握ることはなくなってきました。
しかし、実際のところ、一般的なゴルフ理論で力を抜くべきだと言われるのは「手元、腕、肩」のすべてに関してだと思います。私がかろうじてできるようになってきているのは「手元」のみ。腕と肩はまだまだ力が入っていることが多い。これを克服するにはまだ時間がかかりそうです。

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ゆるゆるグリップから、ゆるゆる腕、そしてゆるゆる肩へ。ゆるゆるマスターを目指して全力を尽くします!って言うとほら、また力が入ってることになる。この矛盾をどうすればいいのか。誰か助けてください、いや、助けて!(敬語なし)


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